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15 パート1、パート2ゴー! パート3ゴー!(ガイキング)

 今回は、前々回の「巨神ゴーグ」の時に書いた“大空魔竜つきガイキング”の説明です。

 先日の「巨神ゴーグ」の時、“武器が一番多いのは、大空魔竜付きガイキング”と書いたところ、「どうして“大空魔竜付き”なの?」という質問を受けました。

 あれは鷹羽が数えたわけではなく、雑誌に書いてあったことを例示しただけなので、「雑誌がカウントしたものなので、なんとも」と回答したのですが…。


 よく考えたら、“大空魔竜”はガイキングの武器でした!


 何を言ってるのかわからないでしょうが、ガイキングは大空魔竜を武器として使ったことが複数回あるんです。

 放送リストを見てもらうと、「火車カッター」とか「ジャイアントカッター逆さ斬り」という言葉が入っている回があります。それが大空魔竜を武器として使った技の名前です。


 まずは、ガイキングについて軽く説明しておきましょう。

 ガイキングは、「大空魔竜ガイキング」というロボットアニメの主役ロボです。

 後で説明しますが、“竜の頭の骨がそのまま胴体になっている”という悪役のようなデザインです。

 途中で大改造されてパワーアップし、それを境に、前期型・後期型と呼ばれます。後期型は、“フェイスオープン”といって、頭部の装甲をパージすることで、顔面に内蔵されている強力な武器を使えるようになりました。“超兵器ヘッド”と呼ばれるこの顔も、悪役っぽいと有名です。

 前期型と後期型の違いは、前腕部や脛が太くなったこともさることながら、口元を見れば一目瞭然です。口元にマジンガーZのようなスリットのある前期型に対し、後期型は(リベット)打ちしたような一枚板になっています。あと、スリットがなくなった分、目に縦線が入りました。


 ガイキングは、大空魔竜という機動要塞から発進した3つのメカが合体して完成するロボットですが、2つほど変わった特徴があります。

 1つめは、“出撃するとすぐに合体する”ことです。

 分離したままでは活躍しません。移動すらしません。パート1(両手と翼)、パート2(腰から下)、パート3(胴体)という3つのメカのうち、人が乗って操縦するのはパート3だけで、あとの2つは射出されると自動で合体するだけです。「機動戦士ガンダムSEED Destiny」のインパルスガンダムのチェストフライヤー、ボトムフライヤー、コアスプレンダーのパーツ交換なしみたいな感じです。あるいはファーストガンダムのAパーツ、Bパーツ、コアファイターによる空中換装のようなもの、と言えば伝わるでしょうか。

 商品展開の都合上、合体ロボにするためだけに分離していると言っても過言ではありません。

 ちなみに、ガイキングは分離しなくても大空魔竜に登載可能ですから、“分離しないと運べない”ということはありません。なにしろ後期型への改造は、大空魔竜内部にガイキングを横たえてやったんですから。


 2つめは、“パート3が大空魔竜の頭部である”ことです。

 母艦の一部が合体ロボのパーツになるという作品は、ほかにありませんよね。なにしろ、ガイキングが出撃すると大空魔竜は頭部がなくなるのです。見た目としてもマヌケですが、もっと重大な問題を孕んでいます。

 大空魔竜の頭部には、パライザー()ザウルガイザー()ハイドロブレイザー()キラーバイト()と、ガイキングの武器の中でも強力なものが装備されています。なんせガイキングの主要パーツ(ボディ)ですからね。ガイキングの手足には大した武器はありません。カウンターパンチと脛のカウンタークロスくらいなもんです。

 そして、これら頭部(パート3)の武器は、大空魔竜の時も使えます。

 つまり、ガイキングが出撃すると、大空魔竜は主要な武器を使えなくなるわけです。そのため、大空魔竜はガイキング発進後、“渦巻き防御体型ボリューションプロテクト”という、背中を丸めて尻尾の先を首まで持ってくる体勢になって防御に徹するのです。ドーナツを立てて脚を生やしたようなものをイメージしてもらえばいいです。

 この“ガイキングが発進するとロクな武器がない”という根幹的な弱点を克服するため、大空魔竜は数回にわたり強化武器を開発します。最初からわかるだろ、ボケ! というツッコミは、とりあえず置いておいて。

 強化された武器は、腹から飛び出す巨大な刃:ジャイアントカッターや、脚の爪の上から装着する巨大なドリル:ミラクルドリルなど、視覚的なインパクトも抜群です。ジャイアントカッターなんか、大空魔竜の胴体の厚みと同じくらいの長さがあります。これに対抗できるのは、腹から出てくるくせに体の厚みの3倍くらい長さがあるコン・バトラーVのビッグブラストくらいでしょう。

 ミラクルドリルは、サイズが小さいだけのガイキング用もあって、こちらはガイキングの拳の上から装着します。

 こんな感じで、大空魔竜とガイキングは武装もかなり共通しているのです。


 さて、それで、ガイキングが大空魔竜を武器として使うという話ですが。

 まず、大空魔竜用のミラクルドリルをガイキングが使う話がありました。でっかいんで、手にははまらず、抱えて投げつけました。

 驚いたことに、ガイキングの推力は化け物じみていて、母艦である大空魔竜を抱えて飛べるほどです。

 前述の“ジャイアントカッター逆さ斬り”は、エンジンが故障して動けなくなった大空魔竜を逆さまに担ぎ、ジャイアントカッターを出させた状態で運んでいって敵を叩き斬ったというものです。大空魔竜を巨大な斧として使っていますね。

 また、大空魔竜が故障してボリューションプロテクトしようとしても首と尻尾に隙間ができてしまうことから、その隙間をガイキングが補う形で入ったことがありました。そのままフリスビーのように回転しながら敵に突っ込みつつ、デスファイヤー(超兵器ヘッドの口から放つ炎のような熱光線)で全体を包み、火の輪のようになって敵を真っ二つにする技、それが“火車カッター”です。

 いずれの技も、大空魔竜の巨体を質量兵器として使っているんですが、それを動かしているのがガイキングの推力だというのがなんとも…。

 そんなわけで、大空魔竜を利用した技が2つもある以上、ガイキングの武器・技を数える上で大空魔竜をセットに考えざるを得ないわけです。


 「大空魔竜ガイキング」は、ロボットアニメ乱立時代に個性を出そうとした結果、かなり特異なものになってしまいました。

 あ、鷹羽は好きです。超兵器ヘッドも大好きです。

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