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14 今際の際に言ってやる(うる星やつら)

 マンガ「うる星やつら」のラストエピソードは、ラムとあたるの鬼ごっこです。

 元々ラムは1話で地球侵略にやってきた宇宙人でした。あたるとの鬼ごっこ(1週間以内にあたるがラムの角を掴めたら勝ち)に負けたことで侵略を取りやめ、ついでに誤解からあたるの押しかけ女房になったのです。1話の時点では、その勘違いでオチを付けてそれっきりの登場の予定でした。予想外の人気に、後にレギュラーになったのです。


 長く続いた連載のラストエピソードを、1話と同じ鬼ごっこにしたセンスはすごいですね。

 鬼ごっこが“鬼族にとってここ一番の勝負方法”とすることで、なんとなく説得力を持たせてしまいました。ちゃんとキャラが訊くんですよ、「なんで鬼ごっこ?」って。




 痴話ゲンカの果てに、再び鬼ごっこすることになった2人ですが、あたるが一言「好きだ」と言えば、ラムは捕まってくれるという状況でした。

 それを、あたるが頑なに「好きだ」と言わないため、ラムは逃げ続けます。

 期限の1週間まであと僅か。それを過ぎれば、ラムは地球人から自分達の記憶を消して星に帰ってしまう。

 あたるは、「今好きだと言ったら、本心かわからない」から言わないのですが、それは誰も知らないこと。

 最終日、「ほんとにうちのこと忘れてもいいのけ?」と言うラムに、あたるは「忘れるもんか!」と言い返します。そして、転んだ拍子に懐から転げ落ちた(先日生え替わって抜けた)ラムの古い角。

 それを大事に持っていてくれたことを知り、ラムは自ら捕まって。

 こうして、はた迷惑な痴話ゲンカは終わりを告げました。


 結局最後まで「好き」と言わなかったことについて、ラムは

 「一生掛けて言わせてみせるっちゃ」

と言い、あたるは

 「今際の際に言ってやる」

とうそぶき。

 「お前ら、一生痴話ゲンカ続けるつもりか!?」という周りのツッコミにラムが「だっちゃ」と答えて終わるのです。


 で、このエピソードは劇場版にもなっています。

 ほぼ原作どおりの展開で、非常にデキもいいのですが、最後のあたるの台詞が

 「今際の際に言ってやるっ!」

てな感じで、違和感が酷いのです。

 たった一言で、映画の評価そのものが暴落してしまいました。鷹羽の中では。

 正直、台詞のインパクトが強すぎて、その時のあたるの表情などは覚えていません。

 それくらいショックでした。

 鷹羽は、

 「一生掛けて(好きと)言わせてみせる」

 「今際の際に言ってやる」

という静かなやりとりが好きだったのです。

 鷹羽の印象では、「今際の際に」の前に「ふん、」と軽く鼻で笑っているような印象です。

 だから、「今際の際に言ってやるっ!」と高らかに宣言されてしまっては、感動が台無しなんですね。

 声優さんの演技の問題なのか、演出の問題なのかはわかりません。ただ、あの一言を受け入れることはできませんでした。今でもだめです。

 この辺りは、原作付きアニメの宿命かもしれませんね。

 原作をまったくそのままなぞるのか、アニメならではのオリジナリティを加えるのか。

 オリジナル部分が高く評価されることもあるので一概に原作を弄るなとも言えないのですが、好きだったところを変えられるのは、やっぱり許せないのです。




 実は、前回取り上げた「パトレイバー」でも、そういうシーンがありました。

 独自の目的でグリフォンを暴れさせ、シャフトジャパンという会社に損害を与えかねない内海に対し、専務が締め上げを始めます。

 そして、それに対抗するかのようにどんどん暴走していく内海。ついには、専務の別荘の前で予備パーツを寄せ集めて作ったグリフォンのダミーを爆破するという暴挙に出ます。このため、後に専務は逮捕されることになるのですが、その際の「あの黒いレイバー」と言い続けて専務の口から「グリフォン」と言わせ、「あなた、どうしてあの黒いレイバーの名前を知ってるんです?」という追い詰め方はシビレますよ。


 まぁ、それはそれとして。

 逮捕のちょっと前に、専務が内海に電話で釘を刺すシーンがあります。

 しばらく大人しくしていろと言う専務に、内海は

 「僕もそうするつもりだったんですけど、こちらの尻に火を着けた人がいまして、専務、あんたが悪いよ」

と言い放つと同時に電話を切り

 「言ってやった、言ってやった」

と晴れやかな顔をします。

 “言いたくて言えなかったこと”というより“好き放題”という雰囲気ですね。内海は、自分のやりたいことを邪魔する上層部に対して(理不尽な)怒りを感じていました。ほんとは好き勝手やっている内海の方が悪いんですけど。

 鷹羽、このシーン好きだったんですよ。

 ところが。

 アニメにもこのシーンはあるのですが、「あんたが悪いよ」の部分が「あんたが悪い!」とエセ大阪弁っぽくなっているのです。

 これが気に食わないわけです。

 脚本段階で台詞が変わったのか、声優のアドリブかわかりませんが、ニュアンスが変わってしまいました。

 アニメの方だと、内海がふざけているように見えて、怒りが伝わってこないんですよ。




 もう1つ、声優が絶対元作品を見てないだろうってネタがあります。

 昔、パソコンゲームで「ONE」という恋愛シミュレーションがありました。

 元々は声のないゲームで、後にプレステに移植されて声が付いたのです。

 メインヒロインは、幼なじみで、主人公に対する突っ込み担当でもありました。

 そのヒロインが、主人公の台詞に対して「(そんなことしたら)死ぬよっ!」と突っ込むシーンがあります。画面の絵は、焦った顔をしています。

 移植版にも全く同じシーンがあり、絵も同じなのですが、台詞の方(声)だけ、呆れたような言い方で「死ぬよ…」と言うのです。

 画面を見て声を吹き込んだのか、問い質したいです。




 あたるにしろ内海にしろ、アニメとしての演出や声優さんの演技を否定しようというわけではないのですが、好きなシーンを改変されるとガックリくるのは事実です。

 ファンとして、好き嫌いや不満を言う権利はありますよね?


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