1 オープニングとエンディングが入れ替わったんです(科学忍者隊ガッチャマン)
拙作「FALL IN LOVE ~それは、坂道を転がり落ちるように~」4話「結婚する気はありません」で、ヒロインの梓がドライブ中の車の中で「倒せ!ギャラクター」という歌を流すシーンがあります。
作中で、梓は「2クール目からオープニングとエンディングが入れ替わったんです」と言っていますが、正確には、23話からの入れ替えです。
ちょうど、今週末(10月7日)から、スカパー!で「科学忍者隊ガッチャマン」が放映スタートらしいので、興味のある方はご確認ください。
で、ですね。
なんでこんなネタをエッセイで持ってきたのか、という話なんですが…
皆さん、「ガッチャマン」って誰のことかわかりますか?
ウィキペディアでも見ればすぐにわかることですが、「ガッチャマン」というのは、主人公であるG-1号、大鷲の健のことです。
1話の科学忍者隊メンバー紹介のシーンで、「大鷲の健。科学忍者隊G-1号。またの名をガッチャマン」とナレーションが入ります。
ほかのメンバーでは、「白鳥のジュン。科学忍者隊G-3号」などとしか言いません。
また、エンディングテロップでは、健のキャラクター名が「ガッチャマン」となっています。
他の4人は、科学忍者隊のメンバーであり、リーダー(なぜか隊長ではない)の「ガッチャマンの部下」に当たります。
懐かしの番組系でよく出てくる「ある時は1つ、ある時は5つ、実体を見せずに忍び寄る白い影 正義の影武者 科学忍者隊 ガッチャマン」という名乗り、あれは、科学忍者隊までが全員の名乗りで、最後にガッチャマンが「(俺がリーダーの)ガッチャマン!」って名乗ってるだけなんですね。
番組タイトルからすると違和感がありますが、それって今の感覚で見るから感じる違和感なんですよね。
この違和感の正体、それは思い込みです。
「秘密戦隊ゴレンジャー」以降、複数ヒーローの作品では、そのほとんどが「○○隊××」というタイトルの作品では、「○○隊」と「××」が同じチームを表しています。
だから、「科学忍者隊」と「ガッチャマン」が同じチームだと感じてしまうのですね。
ですが、ちょっと考えてみてください。
「聖闘士星矢」で、聖闘士って星矢だけでしたか?
星矢は聖闘士の1人ですが、全てではありません。
「サイボーグ009」もそうですね。
主人公009は、9人のゼロゼロナンバーサイボーグの1人に過ぎません。
これと同じことがガッチャマンでも起きているのです。
ガッチャマンは、科学忍者隊のリーダーであり、その一員に過ぎません。
こういったルールによるネーミングだったんですね。
ちなみに、「科学忍者隊ガッチャマン」は1972年放送、「秘密戦隊ゴレンジャー」は1975年放送と、ガッチャマンの方が早いのです。
熱血漢な主人公、クールでニヒルなライバル、紅一点、子供、気は優しくて力持ち、という構成は、俗に「黄金律の5人組」などと言われますが、実はガッチャマンで生み出されたものです。
この黄金律が少しずつ形を変えて、「超電磁ロボ コン・バトラーV」や「秘密戦隊ゴレンジャー」に踏襲されています。
「秘密戦隊ゴレンジャー」の後番組「ジャッカー電撃隊」、数年空いて「バトルフィーバーJ」と、「○○隊××」の形でないタイトルが続きます。
この辺は、スーパー戦隊の歴史として色々議論のあるところなので細かいところは省きますが、「電子戦隊デンジマン」以降、数年にわたり「○○隊××」の形が続いたため、視聴者の感覚に「○○隊」=「××」という認識がすり込まれてしまい、「科学忍者隊」=「ガッチャマン」と思われるようになったのでした。
なお、1978年放送の「科学忍者隊ガッチャマンII」では、オープニングで「肩を組め目を見ろ ガッチャマンは一体だ」などと、「科学忍者隊」=「ガッチャマン」の図式になってしまっています。
この刷り込みが制作スタッフにもしみこんでしまったのか、視聴者の認識に併せようとしたのかはわかりません。
梓と天平の会話の中で、梓には普通の人にわかる限度でオタクなネタを喋らせようと思ったのですが、そのギリギリラインがオープニングとエンディングの入れ替えネタでした。
これくらいなら、「ふ~ん」ですむかなぁ、と。
これ以上やると、大多数の読者の方が引きまくるのが目に見えてましたので。
加減って難しいですよね。