表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

122/122

新たな冒険者たちの襲来

「……で、さっそくダンジョンに?」


 そう聞き返すと、フルベルトは背筋を伸ばして立ったまま、軽く顎を引いた。


「そのようですな。冒険者とは随分と愚かなようで……」


 笑いを押し殺すように口にされたその言葉に、首を左右に振って短く息を吐く。


「それだけ自信があるってことだろうね。Sランクの冒険者でも攻略できなかったと聞いても自信があるなら、こちらも気を引き締めておこう」


「承知しました」


 一言注意しておくと、フルベルトは笑みを消して返事をした。


「ご主人様、早速ですが……」


 そこへ、エリエゼルが声をかけてくる。画面に目を向けると、そこには見慣れた顔と見慣れない顔が並び、ダンジョン内を歩いている光景が映し出されていた。


「早いな。それに、人数が多い」


 画面に映る三十人ほどの大所帯に、思わず目を瞬かせる。それぞれが少しずつ固まっているので、四、五人で一つの班に見えた。


 ちなみに、先頭を進むのは見知った顔、グシオンだ。その後ろに業火の斧のメンバーが並んでいる。


「……中心を歩く男。面白そうだ……」


 画面に注視していると、後ろでウスルが煙をくゆらせて呟いた。どうやら、あれが一番強い男のようだ。


 金髪の白い鎧の男を眺め、口を開く。


「まずは、お手並み拝見かな」






【グシオン】


 朝一から冒険者ギルドに呼ばれ、面倒だと思いつつ素直に応じた。最初はダンジョンの攻略を心配していたが、今はむしろ調子に乗っている奴らに目にモノを見せてやりたいくらいだ。


 どんだけ規格外のダンジョンだと思っているのか。実際に入って知るが良い。


 俺は鼻息荒く、足を踏み鳴らしながらギルドへと参上した。


 しかし、即座に来なければよかったと後悔した。


「それで、このスライムの通路はどうやって渡るのだ?」


「凍らせて、砕きながら少しずつ……」


「馬鹿な。もっと効率が良い方法はないのか?」


「それで、迷路があるんだろう? それの目印は?」


「いや、毎回入る度に変わるから、目印も何も……」


「……本当か? そんなダンジョン、聞いたことないぞ」


 などなど、これまでに報告したはずのダンジョンの情報を改めて皆に共有する、という名目で、ランクが上の奴らから好き放題言われる時間を過ごした。あー、まじでぶん殴りたい。本当に、お前らがやってみろと言いたい。


 苛々しながらなんとかダンジョンの説明を終えると、何人かが立ち上がった。


「大体把握できたな」


「これくらいのダンジョンなら、まぁ俺たちだけだと二年くらいか? 今回はこれだけの面子が揃っているからな。三ヶ月で攻略できるだろう」


「よし、潜る為の準備をしてくるとしよう」


 こちらの情報を伝え終わったと思ったら、すぐにでもダンジョン攻略を始めようと動き出す。お前ら、俺に感謝の言葉はないのか。


 苛々しつつ黙っていると、ギルドマスターから声を掛けられた。


「それじゃあ、明日の朝はダンジョン前に集合するとしよう。ダンジョンに入る順番は業火の斧が先頭。戦神の矛は前後どちらでも手助けにいけるように、中心に陣取ってもらうとしよう」


「は? 俺たちも行くのか?」


 まったく考えていなかったことを言われ、素で驚いてしまう。それに、ギルドマスターは呆れ顔で眉根を寄せた。


「何を言っている。お前らが一番ダンジョンを攻略しているんだろう? なら、お前らが案内人をすれば更に攻略が進むのは間違いないぞ」


「……どうせ、後ろから色々文句を言われるんだろ?」


「それくらい我慢しろ」


 そう言われて、肩を落として溜め息を吐く。何のためにダンジョンの内容を一から十まで説明させられたのか。俺たちが行くなら黙って付いてこいと言いたい。


「俺たちが行くなら、最初から黙って付いてきてくれりゃあ良いのに」


 言ってしまった。それに、ギルドマスターは肩を竦めて鼻を鳴らす。


「冒険者は実力者の意見を聞くのが常だろ」


 きっぱりと正論を言われて、仕方なく口を噤む。本当なら今日は皆で美味い飯でも食べようかと話していたのだが、残念ながら急遽ダンジョンに籠る為の準備をする羽目になってしまった。そりゃあ、溜め息も出るというものである。


「焼き鳥食べたかったのに」


「酒だけでも……」


「……そうだな……」


 メンバーもどうやら気持ちは同じらしい。仕方なく、皆でその日は夜遅くに飲みにいくこととなった。


 結果として、翌日のダンジョン攻略で集合した時は全員ローテンションとなってしまった。しかし、これは仕方がないことだろう。俺たちの豪華な夕食の時間が遅くなってしまったのだ。責めるならギルドマスターを責めてもらいたい。


「おい、グシオン。皆準備ができたぞ」


「へいへい」


 頭の中で文句を言っていると、ギルドマスターから早くしろと声を掛けられた。それに深く溜め息を吐き、先頭に立ってダンジョンの入り口に立つ。


「……仕方ない。行くか」


 そう呟き、もう何度通ったかもわからないダンジョンの入り口へ足を踏み出したのだった。





新しく『都市開発スキルで楽々異世界街作り!』をスタートしています!

こちらも自分が好きなゲームを参考にして書いた趣味特化の作品です(*´ω`*)

前回の新作はRPG系の主人公が不遇な職業で頑張る話ですが、

今回の新作は都市開発ゲームのシステムを異世界で使えるというお話となります!(*'ω'*)

面白おかしく書いていこうと思っているので、

是非ご覧ください!(*´ω`*)

https://ncode.syosetu.com/n5586jt/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ