無理なミッション
無理なミッション
「ここがミスターイゴーか」
店に入って来た女性は店の中を見渡しながら言った。
見るものなんて碁盤と碁石しかないんだけどね。
「はい、いらっしゃいませ」
「ここにある碁盤と碁石が欲しいのだが」
こんな綺麗な女性にも広まってるのか、
そう思いながら僕は碁盤と碁石そして説明書を袋に入れた。
「はい、どうぞ」
僕は袋を渡した。女性は袋の中身を確認すると、
「おい、説明書も入ってるぞ、これはいくらだ」
「いえ、それはオマケですよ」
説明書の料金は女性からはとらない。これは、この店の鉄の掟である。
「そうか、ありがとう」
そう言って女性は店を出て行った。出て行った後にも女性の微かないい匂いが店に残っていた。
名前だけでも聞いておくべきだったかなと後悔していると、店のドアが開きダニエルが入って来た。
「トモヤ、今来てたの領主様じゃないか」
「リョウシュサマ」
変な名前だな。あんな美人なのに残念だな。
「名前じゃなくて、ここら一帯を統治している人の事をそう呼ぶんだ。本当の名前は誰も知らないらしい」
ああ、領主様ね。しかし、なぜ名前を
誰も知らないのだろうか。何か理由があるのだろか。
「いや、しかし領主様にまで囲碁が広まるなんてすごいじゃないか」
「領主様ってのはそんなにすごいのか」
「ああ、さっきお前も見たとうり美人なうえに、どんな人でも平等に接してくれるんだ。そして、なんと言っても騎士だからなみんなから尊敬されまくりだぜ」
「棋士だと、この世界には棋士がいるのか」
「ああ、子供の頃から英才教育を受け、その中でも帝国に大きな繁栄をもたらした者にしか与えられないすごい称号それが騎士だ」
なんだ、棋士じゃなくて騎士か紛らわしいな。でも、待てよ。そんなにすごい人が来てくれたということは、これをネタにもっと囲碁を広めれるかもしれない。
「ダニエル手伝ってくれ」
そう言って、僕はダニエルに紙を渡した。
それから数日後、遂に囲碁は町の30%の人に知れわたった。
何をしたかだって、そんなの決まっている。
"囲碁それは今までにない予測不可な人智を超えたゲーム。
なんとあの領主様もハマっている。
さあ、これを見たそこのあなた領主様もハマっているこのゲームやってみませんか。
興味がある方はミスターイゴーまで起こし下さい。 (ただし、碁盤と碁石には数に限りがございます。ぜひ、お早めにお越し下さい)"
という紙を町中に貼らせてもらった。その結果、囲碁は広まり店は大繁盛。
まったく、領主様さまさまだぜ。
そして、もう一つ良い事があった。それは、今回ミッションをクリアしたことで手に入れたスキルだ。
スキル
・封印されし悪魔との契約 (神により封印された悪魔を召喚する。ただし、召喚すると死ぬまで消えることはない。ここぞという時に使う事)
これだよこれ、こういうスゴそうなスキルが欲しかったんだよ。
試しに、使ってみようかと思ったが危なそうなのでやめた。
そういえば、近頃ギルドに行ってないな。久しぶりに行ってみるか、もしかしたら新しいスキルを使う機会があるかもしれないしな。
そう思い、僕がギルドに向かをうとすると。
"ミッションが発令しました。メールで確認して下さい"
という、告知が来た。
今ならどんなミッションでもこなせそうな気がする、そう思いながらメールを開いた。
"ミッション4、領主様に頭をおもいっきり踏んでもらえ 期限は3日"
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい、無理〜。