領主様 (女)に会いました
領主様 (女)に会いました
カジノで遊ぶこと3時間、所持金は0になっていた。
今までの僕ならそこで止めるとこだが、今の僕はひと皮違う。
なぜなら、
「クソ、もっと金が欲しい」
このようにすっかりギャンブル依存症になってしまったのだから。
「お、トモヤすっかりハマったな」
そう言いながら、上裸のダニエルがやって来た。どうやら、僕同様負けたらしい。
服まで取られたのか。
「ダニエル、なんか楽に金儲けできる手はないかな」
「そうだな。ここのカジノにあるゲームみたいな面白いゲームでも作ってみたらどうだ。」
まだこの世界にはなくて面白いゲームか。そんなのすぐに思いつくわけ、
あ!
「ダニエル、あったぞ。まだこの世界にない面白いゲームが」
言うやいなや、僕は駆け出していた。ダニエルが何か聞きたそうな顔をしていたが、説明している暇はない。
僕は森へ行き、分厚い木の板と石コロを集めた。そして、工作スキルを使い分厚い木の板を碁盤に石コロを碁石にした。 (碁石は貝殻で作った方がいいのだが今回は無かったので石コロで作った。)
そして、それを持ってまたダニエルのいるカジノへ行った。
「おい、トモヤ。急にどうしたんだよ」
そう戸惑いながら聞いてくるダニエルの前に僕は碁盤と碁石を置いた。
「なんだよこれ」
「これは、囲碁っていうゲームさ」
「囲碁、聞いたことねえな」
「まあ、まずはこれを読みな」
そう言って、僕はアイテムから[囲碁の説明書]を取り出し、ダニエルに渡した。
ダニエルはそれを興味深そうに読んだ。
「どうだ、面白そうだろダニエル」
「ああ、このゲーム。カジノにあるゲームとは違い運だけじゃなく、やる人の力量もしっかりと反映しているとこがいいな」
こいつたった数分でどこまで囲碁の事を知ったんだ。この説明書すごいな。
「なあ、早速やらないかトモヤ」
「そうだな。久しぶりにやるかな」
それからしばらくの間、僕とダニエルが囲碁をしていると、周りに人が何人かいる事に気が付いた。
どうやら、僕達が何をしているのか気になっているらしい。このチャンスを逃す訳にはいかない。
「いや〜、囲碁って面白いよなダニエル」
と、大きな声で言った。
「ああ、これ絶対流行るぜ」
「だろ、みんなにも教えてやろたいんだがな」
そう言っていると、周りにいた人の内1人がこっちによって来た。
「君達、その囲碁というゲームはそんなに面白いのかね」
かかったな。
「ああ、嘘だと思うならやってみなよ」
そう言って、僕は囲碁の説明書を渡した。
「さあ、あんた達も一緒にやらないか。この説明書を読めばすぐできるようになるぞ」
周りにいた人達を誘った。
「ああ、俺にもその説明書をくれ」
その人の言葉が引き金になったのか、今まで周りにいた人達が一斉にやって来た。
よし、これで囲碁がひろまるぞ。
「でもさ、このゲームこの碁盤と碁石がないとできないんだろ。見た感じすぐ作れるとは思えないしきっと高いんだろ」
という声があがった。
それの言葉を待ってた。
「心配ご無用この私、トモヤがここにいる皆さんにだけ特別価格で碁盤と碁石をご提供しましょう。さらに、今お買い上げになった方にもれなく、そちらの説明書を無料で差し上げます」
「マジか。俺は買うぞ」
「俺も」
「俺にも1つくれ」
よし、これでお金も手に入り囲碁も広められる。まさに、一石二鳥。
笑いが止まんないぜ。
それから数日後、僕はギルドに少し休暇を取って、手に入れたお金で店を開いた。
店の名前はミスターイゴーだ。もちろん、商品は碁盤と碁石だけだ。最初は客が来るか心配だったが、カジノにいた人達が広めてくれたのか、客はよく来る。
ステータスを見る限りでは町の10%の人に囲碁が広まっているらしい。
この店の商品は費用が皆無なので商品価格がそのまま僕のお金になる。これほどいい仕事はない。
「今日もたらふく稼いだぜ」
いつもの日課である銭勘定をしていると、店のドアが開き綺麗な女性が入って来た。
それが、僕と領主様の初めての出会いだった。