封印されし悪魔
封印されし悪魔
領主様は僕達が来たのに気づいていないのか黙々と囲碁をしていた。
てか、どうして気づかないんだよ普通部屋にいきなり入ってこられたら気づくだろ。
「どうやら、領主様は究極奥義"五里霧中"を使ってるみたいだな」
ダニエルは険しい顔で言った。
「なんだよ、その究極奥義っていうのは」
「奥義っていうのは、騎士なった者みが使うことができる技で、その中でも究極奥義は騎士の中でも使えるのは、ほんの一握りしかいないんだ。しかし、究極奥義は使うと凄まじい力を手に入れられる代わりに代償を受ける諸刃の剣なのさ」
え、そんなスゴイ技を囲碁なんかのために使ってんの。
「で、ダニエル"五里霧中"ていうのはどういう技なんだ」
「ああ、"五里霧中"は自分の全ての集中力をあるひとつの事に向けることができる。しかし、その代わりに周りの物事の様子が全くわからなくなるんだ」
それは困ったな、これじゃあ領主様に踏んでもらえない。なんとかしないと。
「"五里霧中"を中断させる方法は無いのか」
「この技は、本人が止めようとするまで続く。つまり、本人が嫌がるような事をして無理矢理にでも中断させるしか手はない」
「でも、周りの様子が全くわからなくなるんじゃ何しても意味ないじゃないか」
「その通りだ。だから、これを破るには究極奥義以上の何かを使いコッチに注意を引き付けるしかないんだ」
クソ、せっかくここまで来たのに何もだきないんなんて、こうしてる間にも時間が迫ってきているのにいったいどうすればいいんだ。
と、僕が悩んでいると頭の中に謎の声が入ってきた。
[我を使え、選ばれし者よ]
お前は誰だ。
[我は、神により封印されし悪魔"ベルゼブブ"。我ならばそこの女の奥義解くことができるぞ]
本当か。
[ああ、さあ我を使うのだ選ばれし者よ]
よし、お前を使う。
"スキル 封印されし悪魔との契約 を発動しました"
すると、僕の前に大きな魔法陣が出てきた。
[今そちらに行くぞ]
"ドン!"
という音がして魔法陣から出てきたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一匹のハエだった。
大事なことなのでもう一度書くが魔法陣から出てきたのは普通のより少しばかり大きなハエだったのだ。
[待たせたな]
「お前がベルゼブブか」
僕は恐る恐る聞いた。
[いかにも、我こそが神をも恐れた伝説の悪魔ベルゼブブである]
「あの付かぬ事をお聞きしますがその姿はその仮に姿だったりします」
[ああ、この姿は仮の姿である。本当の姿はこれより少し大きい]
全然変わらね〜。どんだけ弱いんだよ。
[さては貴様、我を使えないやつだと思っておるな。よかろう、我の力とくと見るがよい。くらえ "デスソング"]
そう言うと、ベルゼバブは領主様の周りを回り始めた。
すると、どうしたことだろう今まで無表情だった領主様の顔がどんどん険しくなっていき、次の瞬間。
"パチン"
という音がしてベルゼブブは潰された。そして、領主様は。
「うるさい」
と、一言いって。領主様は"五里霧中"をといたのだった。
その時、僕の目の前にはこんな文字が表示された。
"ベルゼブブが死にました"
ベルゼブブ〜。