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『意識』
眉目秀麗、頭脳明晰、文武両道と様々な四文字熟語で賞賛される中、俺の机にテスト用紙を叩きつけ、こちらを睨みつける女子がいた。
正面から正々堂々と、勝負を持ちかけてきたはずの彼女は、ただ一言。
「手首、痛い」
そう言って引き返すどころか病院に直行した。
運が悪いと言うより自業自得な出来事だったが、それ以降の彼女はその不幸体質を存分に発揮していた。
する事なす事全て不幸に転じ、俺の前で醜態を晒す彼女は必ず、
「絶対に不幸にしてやるっ」
と言って去っていく。
何か悪い事でもしたのだろうかと記憶を巡らせるも、思い当たる節は見当たらない。
今度聞いてみるかと、その時初めて俺は彼女に興味を持ったのだった。