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いつだって、私の中には君がいる

作者: 渡辺 ゆき

嘘だって言ってほしかった。


そしたら、少しも、期待しなかったかもしれない。


なんで、いまさらになって…


私は、まだ、君のことを知らなかった。何も全然…。


幼馴染のれんくん。私は菜々。私は、れんくんのことがずっと好きだった。


でも、れんくんは…


私を幼馴染の人としか、見てくれていなかった。


それが、わかったのは、私たちが、まだ、小学生の時のこと。


ある日、教室の掃除をしていた時、れんくんの友達が、

「お前、菜々と仲いいよな。」

私は、その時、聞いていないふりをしながら聞いていた。すると、れんくんは、

「幼馴染だからだよ。」

と呆気なく答えた。すると、

「にしても、よく、一緒にいるよな。」

と続く。れんくんは、

「そう?でも、幼馴染だから、一緒にいることが当たり前みたいな感じかな。」

とさりげなく言う。


私は、その時、れんくんは、私をただの幼馴染というつながりの中だけなんだと知った。


ただでさえ、れんくんは、女の子からモテる。なんていったって、イケメン。女の子がほっとくわけがなかった。


それでも、私は、れんくんといたい。だから私は、そのままの関係でいいと思っていた。壊したくない。一緒にいられるなら、それでよかった。


なのに…


今さらになって…


れんくんのほうから…


私は、今、付き合っている人がいる。れんくんにも、彼女がいる。


彼氏は、たつやくん。通称、たっちゃんと呼んでいる。たっちゃんは、私がれんくんのことを好きなのを知っているけど、それでもいいと付き合い始めた。


初めての恋愛。ドキドキに。ワクワク。手を繋いだり、デートしたり。彼に惹かれていった。


たっちゃんは、よく、デートに誘ってくれた。映画に遊園地、公園。


だけど、いつも、私の頭の中には、いつだって、彼がいる。


私は、彼が出てくる時、たっちゃんに甘えていたことに気づく。それでも、諦めなちゃ諦めなちゃと何度も何度も、自分に思い込ませる。


ある日のことだった。たっちゃんから、メールが来ていた。

「明日は、どう?」

と。私は、

「明日は、大丈夫だよ。」

と、返した。

「じゃあ、明日、どこかに行こうか。」

と言う。彼は、

「どこがいいのか、考えておいて!」

と言う。

「うん!」

と答えた。その後、いつも通り、世間話が始まり、彼とのメールを楽しんでいた。


すると、君からメールがきた。


その内容は…


明日、会える?というものだった。

「え?」

と返した。

「会いたい。」

という4文字が並んでいた。私は、じっとしていられなかった。なぜなら、私は…君に会いたいから。好きだから。その欲望に押し殺されそうになった。ふと、現実を感じる。そして、

「ごめん!明日は…用事がある。」

とだけ。


すると、しばらくしてから、また、来る。

「そっか。」

とどこか、切なさを感じた。私はその後返さなかった。


次の日、たっちゃんの待っているところに君がいた。私は、

「たっちゃんは?」

と言うと、

「来ないよ。あいつ。」

という。

「じゃあ、私、帰る。」

と帰った。その後、たっちゃんにメールした。返信がこなかった。


次の日、学校に行くと…


たっちゃんはいなかった。


先生が入ってきた。そして、

「みんなに、報告がある。」

と話を切り出した。先生は口を開いた。

「狩野たつやは…」

と言う。私は耳を疑った。

「嘘だ嘘だ。」

と。涙が溢れた。

「私のせいだ。私のせいだ。」

と、つぶやくように言った。すると、君が私を抱きしめた。私は、涙が止まらなかった。君も多分、それは知らなかったんだね。と後になって思った。


私達の間はさらにあいた。


たっちゃんは…かれは…なくなった。もう、この世にいない。どんなに伝えたいことがあっても、謝りたくても。



それから、2年が経った。


私は…


真っ暗だった。


でも、微かな光。それは、君だった。


私は、たっちゃんの思いを知った。


あの日、もともと、来ないつもりでいたようだ。彼は、君に託した。


手紙の最後には大好きでした。


私の中に君がいることを彼は最初から言われる前から知っていたようだ。


私は、心の中でありがとうと言った。最後の最後には、行ってください。と。


私は走った。


君のところまで。


遠回りしたけど、やっぱり、君が好き。と抱きついた。そして、君と微笑みあった。














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― 新着の感想 ―
[一言] 心に響きました。良い作品をありがとうございます。
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