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異世界を旅する少年少女物語・上【親愛】  作者: 碧
第一章『始まり』
2/2

プロローグ⒈

本編はここから、この作品は三人称で書いていきます。

 ここは日本のとある町にあるJRの駅、そこに1人の少年がいた。


 その少年の名前は、神無ルカ(かんなぎるか)高校に通う2年生だ。


 彼は、空を見上げながら思っていた。この世界から消えたいと。


 別に、嫌な事があった訳じゃない。


 ただ、生きている事への意味が見出だせなかった。


(どうして、僕はここに居るんだろう…)


 そんな想いを抱えるルカに、肩を叩いて話し掛ける少年がいた。


「おい、ルカ!聞いてるか?」


「…ぇ?」


「え?」


(あ…そういえば、話してる途中だったか? やばいなぁ、聞いてなかった…)


「あ、ああ!? もちろん聞いてるよ」


「嘘つけ、じゃあ俺が何て言ったか言ってみろよ」


「え〜と、あれだろ…あのー、彼女がほしい?」


「ふっ、なんで疑問形なんだよ。やっぱり聞いてなかったな……次聞いてなかったら許さないからな」


「ああ、ごめん」


 今、ルカと話しているのは高校に入ってから知り合った友達の鈴城拓也(すずきたくや)。彼らは、2年生になって初めて同じクラスになったクラスメイトだが、普段から駅で見掛けていた事もあってすぐに仲良くなれていた。約半年、それが2人が友達として過ごした時間である。


 時間としては短いが、何故か不思議と2人は距離を感じる事もなく、お互いに歩み寄れた。そのお陰もあって、今では親友とも言える仲になっている。


「悪かったよ。ちょっとぼーっとしてて…な」


「お前なぁ、そんなんだとすぐに友達いなくなっちまうぞ?」


「それは、大丈夫だよ。…僕には拓也が居てくれればいいから」


「えっ!?おまっ…、そっち系じゃないだろうな」


「…そんな訳ないだろ、冗談だよ冗談真に受けんな!!」


 恥ずかしいのか、少し顔を赤くしていうルカにそのことでより真に受けた体をして、身の危険を感じたように半歩下がる拓也。普段からの掛け合いで、息が合うことも距離が一気に縮まった理由である。


「…だよな〜、一瞬本気にしちまったぜ」


 そんな冗談を言い合いながら2人は電車を待っていた。そしてそれは電車に乗ってからも続き、時間が許す限りふざけ合ったり冗談を言い合って、2人は笑い合った。


 周りの乗客にしてみれば騒ぐ高校生は迷惑だろうが、幸いにして人数は少なく2人を気にしている者もいない。


 だがそれは暫くして、ふっと初めの言葉が気になったルカの、思い出した様に聞いた言葉までの事だった。


「そう言えば、初めにしてた話しって何だったんだ?」


「おい、今更聞くのかよ?」


 拓也は少し呆れながらも、もう一度あの時の話をする。


「明日から冬休みだろ? だからどっかに遊びに行かないかって言ったんだよ」


「ああ…そう言えばそうだなぁ〜」


(そうか…明日から冬休みか…あんまり気にしてなかったから忘れてた)


 そう、今日は12月24日


 クリスマスイブで、高校における2学期の終業式の日だった。


 だが、残念ながらクリスマスイブといってもここは田舎で都会のような大々的なイベントもない。拓也もルカも彼女がいないのでそんなに関係のない日でもあったが。


「で、どうする?」


「う〜ん、辞めとくよ。わざわざ休みの日にまで、外に出たくないからなぁ」


 ルカのその言葉を聞いて、拓也は正直に思った事を言った。


「この引きこもりがー」


 だが、その言葉に悪意はなく何時ものように笑いながら冗談半分に言っていた事は分かる。ルカもそれがわかるのか返す言葉をできるだけ笑い合える様な言葉にしていた。


「おい、流石に直球すぎるだろ〜僕のガラスのハートが砕けたらどうしてくれるんだよぉ?」


「そんな事で壊れる心なら棄ててしまえー! ほんとに…俺が無理やり連れ出してやろうか?」


 そして拓也と笑いあう、だが何がそんなに面白いのか、自分達にも分からなかった。ただ不思議と笑いが止まらない。そんなルカの瞳に影が差したのは一瞬の事だった。


(こうやって拓也と笑っていると悩んでいることも忘れて楽しくなる。そして、必ず考えてしまう…もしもこうして、ずっと笑っていられたら、僕はここで生きていけるのかもしれないって)


 そんな思いが過る中、ルカは同じ失敗を繰り返さないように拓也との話もちゃんと続けていた。


「…でもさぁ、この季節に男だけで遊ぶって、悲しくないか…?」


 そう尋ねたのはルカだ。


「なら、明日2人でナンパでもするか?」


 予想の斜め上をいく答えが返ってきた。正直言ってルカは、バカかっ! とツッコンでやりたかったようだが、拓也の目が本気だったので自粛せざるおえなかった。そもそもの問題として、彼女いない歴=年齢のルカと違って拓也は相当にモテる。


 主観で言えば、顔はそこそこなのだが体格がやたらにいいのだ。身長は180以上もあるし、身体はバスケット選手の様に引き締まっている。そんな拓也を見ながらルカは、思ったことを素直に口にした。


「…無理。僕は拓也と違って女の子と接するのが苦手だって、前から言ってるだろう?」


「お前がそんなんだから、彼女ができないんだ。ものは挑戦だー、下手な鉄砲も数うちゃ当たる!!」


 拓也はルカを励ましているつもりなんだろう。だが、言われたルカからしてみればこうなる。


(下手な鉄砲って僕はそんなに駄目なのか?)


 チクショーー、拓也を見返してやりてーっと心の中で叫んでいた。しかし、流石に表情に出すようなヘマはしない。


「ゲッホ、じゃ、じゃあ、どうやって女の子と仲良くなるのか教えてくれよ…」


 ルカは拓也に懇願した。それ(モテる奴にモテる方法を聞くこと)は、血ヘドを吐く程に屈辱的な事だった。だが、これから先も灰色な青春を送る事に比べれば、まだ堪えられるレベルだ。


「えーと…何でいきなり本気(マジ)になってんだよ?」


 拓也は少し退きながら、聞いてきた。だから答えてやった。


「お前には下手な鉄砲を射つ奴の気持ちなんか、一生分かんねぇよーっ!!」


「はぁ? 大丈夫か、お前」


 それは、完全な八つ当たりだった。だが、そんな事はどうでもいい。今、ルカの目に見えているのは青春を色鮮やかに彩る未来だけだ。


「大丈夫だと? 大丈夫に決まってるだろーが。それよりも、早く女の子と仲良くなる方法を教えろ」


 何故か無駄に叫んでしまったが、意気込みは通じたようだ。


「お前、変なスイッチ入ってるぞ…そんなに彼女が欲しいのかよ?」


 拓也は3歩下がってから、恐る恐る聞いてきた。


「ふ、ふふふふっ…この世に彼女が欲しくない男が居ると思うかー」


 もう、ルカの心の天秤『見栄(理性)と欲』は、欲に傾いていた。だからこそ、周りの目を気にせず拓也に詰め寄っていく。


「ちょ、ちょと待て!わ、分かったから、そんなに本気になるなって…なぁ? さっきとは、別の意味で身の危険を感じるから、いったん落ち着こう、な」


 それを聞いたルカが止まると、拓也は安堵の息を吐いて、1歩下がった。


「で、何が聞きたいんだ?」


 ルカはその質問に間をあけずに答えた「全部!!」と。拓也はその答えに呆れながらも、渋々と話し出す。


「まず、ターゲットを決めるんだ。例えば…可愛いと思った子とか好きな子とか、な。そして、その子をよく観察する。ここまでは、分かるな?」


 恋愛に関して、何処までも見下している拓也に少し腹がたったが、ここは大人しく聞き入る事にした。


「ああ」


「よし……じゃあ、ここで大事な事を言おう。観察に大事なのは、その子の好きな物を知ることだ。いいか、好きな物を知ってれば、効率よく仲良くなれる」


「へぇ〜好きな物か…」


 驚きの声を上げたルカは、急いでポケットから携帯を取り出し、さっきの言葉をメモし始めた。ここまでくると、拓也も周りの目を気にしない。


 という訳ではなく、周りの乗客達がどんな顔で見ているのかを知るのが恐くて、見ないようにしていた。だが、拓也は知り合いでもない人達の前で個人的な意見に基づいた恋愛術を説明しなくてはならないのだ。それは、意味的に公開処刑と同じだった。


 しかし、元は自分の言動が原因なだけに、死ぬほど恥ずかしくても逃げられない。なにより、ここは電車という密室空間だ。精神的にだけでなく、物理的にも逃げられない。


「つ、次に大事なのは、その子の感情変化を見分ける事だ。泣く、笑うなら分かりやすくていいんだが、普段の表情からだいたいの感情を見分けられないといけない。これが非常に難しい…」


 そこで拓也の表情が曇った。そして、一息溜めてから言った。


「3ヶ月前、俺はそれに失敗して彼女に振られたからな…」


 その言葉にルカだけでなく、聞き耳をたてていた周りの乗客達も重い空気になる。


「そ、それは、そのー残念って言うか…何て言うか、…い、一緒に頑張ろうな」


 ルカは必死に励ましたが、拓也の顔が晴れる事はなかった。


「…っ! あははは──そんな俺にまだ何か聞きたいかぁ?」


 もう、自棄(やけ)だった。周りの乗客達も、流石にこれ以上は…と同情の眼差しを送ってくれる。


 だが、そんな事を気にしないルカはさらに切り込んでいく。


「ん? ああ、もちろん。実体験も聞きたいなぁ」


 一瞬、この場に居る全員の時間が止まった。そして恐らく、この会話を聞いていた人達の想いは1つだろう。


『空気読めよー!?』


 だがそんな想いは、ルカには届かない。


「お前、悪魔だ」


 拓也が小さく呟いた。もちろん、ルカに聞こえないように…。


「…実体験って、振られた時の事が聞きたいのか」


 拓也は消え入りそうな声で聞いた。


「あーーいいよ、振られた時の話は…。それよりも、その子と別れるまでの過程が聞きたいなぁ」


 それを聞いた、乗客達の思いがまた重なる。


『おいーーっ!? 鬼かお前はー』


 そんな中、拓也は振られた話をしてしまった事に凄く後悔していた。そして、うっかり口に出してしまう。


「クソッ…諦めてくれると思ったのに…」


「ん?何か言ったか…」


 だが、幸いにもルカには聞こえていなかったようだ。


「何も、言ってねぇよ。それより……ぁ!?」


 ここで、拓也はルカが降りる駅にもう少しで到着することに気がついた。これで助かるっと、拓也は急いでその情報をルカに伝える。


「…おいっ、もう時間もないみたいだし、俺の元彼女の話はまた今度にしないか?」


 拓也は電車に付いている電光掲示板を指差しながら言った。


「えーー」


 時間のない事に気づいたルカだが、あからさまに不満げだった。そこで、仕方なく拓也はルカが納得しそうな話をする事にした。


「分かったよ、じゃあ取って置きの方法を教えてやる。それで勘弁な…」


「…ああ!そっちの方が知りたい」

 

 ルカは嬉しそうに頷く。それを見た拓也は、話さなくていい事への安堵と、実体験への興味がなくなってしまった事への虚しさを感じていた。そしてその複雑な心境の中、拓也は苦笑いを浮かべて話し出す。


「…これは、一気に進展する方法だが、チャンスが少ないのが難点だ。いいか、人は弱っている時に優しくされると弱い…」


「え〜と、つまり病気とかか?」


「バカかお前は、それは女から男へのパターンだ。考えてみろ、 男にリンゴ剥かれて『はいあーん』なんてされたら…」


 拓也は複雑な心境のせいか、テンションがおかしくなっていた。そこにルカがツッコミをいれる。


「いやいや、それは…僕達が男だからじゃないのか? 女の子からしたら別に……って、そんな話はどうでもいいから、早く本題を…」


 ルカは慌てた、だがそれも仕方のないことだ。なにせ今、丁度電車が駅に到着した処なのだから。そして、扉が開く。


「分かったよ、いいかよく聞けよ。男の場合は女の子の感情が複雑な事を利用して、泣いている時にそっと抱き締めるんだ。そして耳元で優しい言葉を囁く。これで進展は間違いなしだ!!」


「えっ!?」


(抱き締める?……………へぇ、女の子を…抱き締める……!?  僕が…)


 その瞬間を想像しただけで、ルカの心臓は破裂しそうなぐらいに脈打っていた。そして、完全に意識が上の空になったルカは、ロボットの様な動きで電車を降りていった。そこへ、拓也が一番大切な事を伝える。


「だが、気をつけろよ!この方法はある程度進展していないと逆効果だからなー!? それと、当たり前だが初めて会った人とかに抱きつくなよ?」


 しかし、今のルカにその言葉は聞こえていなかった。そして、拓也の「大丈夫かなぁ」という不安を残して電車の扉が閉じる。


 拓也は自分の声に無反応なルカを心配したが、電車が動き出してしまったので祈る事しかできなかった。


 だがそんな心配を他所に、ルカは想像の中で女の子を抱き締めていた。そのせいで、現実が疎かなになっていただけなのだ。なぜ、女の子を抱き締めていたのか? それは言うまでもないだろう。もちろん、さっき拓也から聞いた恋愛術を想像していたからだ。そう、ルカはあの時に好みである髪が長くて同い年ぐらいの女の子(泣いている)を想像して、その子をぎゅっと抱き締めたのだ。


 もちろん、自分の頭の中で……。だが想像の中とはいえ、女の子を初めて抱き締めた(初な)ルカは、優しい言葉を掛けようと耳元に顔を近づけた瞬間、自身の限界を超えた。機械でいう処のオーバーヒートだ。もしこれが、漫画なら頭から煙が出ているだろう。


 だが、幸いにも人は慣れるのだ。想像の中でだが、だんだん女の子を抱き締めている事に慣れてきたルカは、思い切って言葉を発した。


「大丈夫だよ、僕がずっと側にいてあげ……ツルッ〈ドンッ〉 いってー」


 だがその時、想像に集中し過ぎていたルカは現実を疎かにし過ぎていた。その為、お尻に強い痛みを感じてやっと正気を取り戻したのだ。そして、気がつくとそこは駅の階段だった。


 ルカは慌てて周りをキョロキョロと見回し、状況を察するのだが現状は階段の下に座り込んでいる自分、周りの人は笑っていて、お尻には強い痛み…ここから察するに、階段に滑って転び、尻餅をついたようだ。そこまで、考えついたルカは急に恥ずかしくなって顔を真っ赤に染めた。


 その状況にルカの頭は混乱し、正確な判断もできなくなる。


 もちろん、大勢の前で醜態をさらしてしまった事も十分に恥ずかしかったのだが、それ以上にさっきまでの想像の内容が恥ずかしかった。誰も知らないとはいえ、自分があんな事を想像してしまうなんて…。


 自虐や羞恥心など様々な感情が溢れてくる。そして、このままでは冷静でいられない…そう思ったルカは周りの目も気にせず、壁に頭を打ち付け始めた。


〈ガンガンガンッ───〉


「はぁはぁはぁ…」


〈ガンッ〉


 と、渾身の一撃を壁に打ち込みながら、ルカは心の中で叫ぶ。


(うあーー何考えてんだ、僕はー)


 その後、8、9、10と10回頭を打ち付けたルカは、強烈な痛みで無理やり頭を冷やした。そこまでしてやっと冷静になれたルカだが、落ち着いて考えてみると、別に誰も知らないのだから恥ずかしがる必要もなかったのではないかと思えてくる。


 しかし、今更頭を打ち付けた事をなかったことにはできない……


 そう後悔していると、今まで聞こえていなかった周りの雑音が聞こえてくるようになった。


 だが同時に危ない人を見るような目で此方を見ている人達の存在も認識することになる。その人達と目が合ってしまった。


「……あ、ははははは」


 ルカは仕方なく、冷たい視線を向けてくるその人達に笑い掛けながら逃げるように駅をあとにする。


 駅を出ると、ルカは後ろを気にしながら、目の前にある駐輪場から自分の自転車を取り出した。辺りはもう暗闇に包まれつつあったが、逆に夜風が火照った身体に気持ちいい。だが、自転車を漕いでいると後悔の気持ちで一杯になる。


(あーあ、またやっちゃった…。いつもは現実を疎かにしないように気をつけてるんだけどなぁ、今回はさすがにインパクトが強すぎたからな…)


 ルカは今回のような失敗(階段から滑り落ちる)を何度も経験していた。そのせいもあって、普段は気をつけているのだが、ふっとした時に入り込んでしまう。


 自分の想像の中へと…





 彼は昔から、無駄に想像力が高かった。


 だがそれは、彼にとってマイナスにしかならない。なぜなら、その想像力を活かすための力が、彼には備わっていなかったからだ。その為、彼にとって想像力はどこまでいっても無駄な力でしかなかった。


 ルカが反省や後悔をしながら自転車を漕ぐこと30分…


 やっと最寄り駅から家にたどり着いた。周りには田畑が広がっているような文字通りの田舎だ。


 そして、彼の家も田舎らしく木造建築の一軒家だった。


 時間は午後6時、辺りは完全に暗闇に包まれている。


「ただいまー」


 そう言いながらルカは暗い家の中に入っていく、返ってくる言葉も無い静まり返った家には誰も居なかった。そんな家の中を無感情に真っ直ぐ自分の部屋に向かって歩きだすルカ、だが部屋に入ると深いため息をついて椅子に座り込んだ。


「はぁー」


 ルカはこの瞬間が何よりも嫌いだった……誰もいない家に帰ってくるこの時が、部活をしていないルカの帰宅時間がこんなに遅いのもその為だ。


「やっぱり、1人になると駄目だな…」


 ルカはそう呟いてから、沈んだ気持ちをかき消すかのように本棚の漫画を手に取って読み始める。


 それが、ルカの日常だった。


 当たり前に過ごしている、どこにでもあるような平和な日常…



 ただ平和であるだけで、その他に何もない日常…



 当たり前にあるがゆえに、その大切さに気づかない日常…



 ルカはそんな日常を嫌っていた。所詮は誰かに押し付けられた日常だ。


 大人に、町に、国に、世界に──


 自分で選べるのは、その日常を 許容し生きるか、拒絶し死ぬか だけ…




 彼の悩みもそこにあった。


 彼に与えられた日常は、他の人達と比べても遜色ない充実した日々だった。


 ただ1つを除いて…


 彼はその1つを求めていた。自身がどれだけ頑張っても手に入らないもの。


 それは彼がこれから先も生きていく為に必要なものだった…


 だが、彼は心のどこかで諦めていたのかもしれない…それは絶対に手に入らないと…


 何故ならそれは────





一人称の作品を、個別で出していきたい……

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