17、暗転劇と炎
土曜日の夜にお祝いの食事会にしようということになったが、
「ピザが食べたい」
と博美が言い出した。西川氏はもっと豪勢な食事にしたかったのだが、
「マリーさんが食べたいんだって」
ということで、ピザをとることになった。
博美の味覚がマリーさんにつながって、マリーさんが気に入らないと物凄く不味く感じるのだそうだ。
土曜日になり、宅配ピザにはあらかじめネット予約で注文をしてあり、
西川氏はせめて飲み物には凝ろうと、ワイン選びに余念がなかった。
6時40分、門扉の呼び鈴が鳴った。
夫人が「はあい」とインターホンに呼びかけると、モニターに映るピザのケースを抱えた帽子の男性が答えた。
『ピザ・マチルダです。ご注文のお品お届けに参りました』
西川氏は時計を見て「10分遅刻だな」とちょっと不機嫌になった。
「ご苦労様です。玄関までお願いします」
夫人は支払いの財布を持って玄関に向かった。ドアが開き、受け取りのやり取りがあって。
ピザの箱を持ってダイニングに戻ってきた夫人は、後ろについて来る配達員に首にスタンガンを押し付けられていた。
西川氏はテーブルの席に着いて選んだワインのラベルを改めていて、博美はとなりのキッチンから食器の載ったお盆を持って来たところで、夫人の恐怖に引きつった顔と予期せぬちん入者に驚き、固まった。
西川氏がワインを置き、立ち上がろうとした。
「おっと、下手なことするんじゃねえぞ。俺は機械いじりが得意でな、このスタンガンは強力出力に改造してある」
後ろの男は黒いスタンガンの先を前に向け、左右の爪状の電極を結んで「バチバチッ」と太く青い電流をスパークさせた。白い煙と共にオゾンの臭いが立ち上った。
顔の間近で激しい電流を見せられた夫人は恐怖で目を見開いた。
「分かったな? 直接肌に押し付ければ真っ黒に焦げちまうぜ?」
男は目深に被ったキャップの下で陰湿に笑った。
中腰になっていた西川氏が刺激しないようにゆっくり立った。
「よせ。分かった。目的は金だろう? あるだけ用意する。抵抗はしない。警察も呼ばない。だから家族に危害は加えないでくれ」
「いい心がけだが、信じられるかなあ?」
「なに?」
西川氏はいぶかしげに男を見た。
男はうつむかせていた顔を上げ、うっとうしく伸びた茶髪を左右に振った。
あっ…、と、西川氏の顔に驚きが走った。
男の左右のこめかみに、ミミズ腫れの膨れ上がった、無惨な傷跡があった。
「おまえか……」
西川氏は凶悪な面相に変じた。
「思い出したか? そうだよ、あのこそ泥だよ。ゴルフクラブは、痛かったぜえ?」
大きく歪んだ笑いを浮かべる男の顔を、西川氏は覚えていたわけではなかったが、島田彩美の家にガスサービスを偽って侵入した空き巣に間違いないだろう。
「分かった。悪かった。十分な金を用意する。それで許してくれ」
「人形持って来な」
うっ、と、西川氏は瞳に凶悪な炎をたぎらせて男を睨んだ。
「おまえみたいな奴が……、あれを持ってどうすると言うんだ?……」
「俺は人形マニアなんだよ。一目見てすっかり気に入っちまってなあー」
「嘘をつけっ!」
大声で怒鳴る西川氏に、人質となっている夫人の方がビクッと驚いた。
「あ…、あなた……」
歯をカチカチ言わせながら哀願した。
「お、お願い、この人の言う通りにして。に、人形を、渡して……」
鼻にしわを寄せた凶悪な面相の西川氏は、テーブルを横に回ると、背もたれを掴み椅子を持ち上げた。
「やるかあっ!」
突進して、男の頭めがけて振り下ろした。
椅子の脚が、夫人の頭を殴った。
夫人は声も上げられずに倒れた。
「この、くそがあっ!」
飛び退き、部屋の外周を逃げる男を、西川氏は椅子を振り上げ、野獣のように追いかけた。
逃げてきた男は、お盆を持って立ち尽くす博美の腕を掴んでクルッと回すと、追いかけて来る西川氏向かって突き飛ばした。
西川氏は両手で椅子を振り上げている。
お盆を放り出した博美が飛び込んで来ると、その恐怖に怯えた顔を見て、さすがの西川氏も一瞬ひるみ、そのままドンと胸に受け止めた。
「どいて・・」
「ハハ、」
娘を押しのけて体を斜めにひねった西川氏に、男が振り向きざま何か投げつけた。
西川氏の品のいいセーターに突き刺さったそれは円筒形のプラスチックで、先に針がついたそれは導線でスタンガンにつながっていた。
男がスイッチを押した。
「あぐががががが・・・・」
西川氏が激しく痙攣し、椅子といっしょにバッタリ後ろへ倒れた。
「ハッハッハッハッハッ、だあーい成功お!」
男は西川氏の上に躍り上がると、直接スタンガンを押し付け、「バチバチバチバチ」と駄目押しの電流を流した。
西川氏はガタガタ震え、スイッチを切られると、口と頭から湯気を噴き出した。
「こういう物もあるんだぜ?」
男は背中に隠していた警棒をジャケットの下から引っ張り出し、一振りしてジャキッと伸ばすと、
「おらあっ!」
西川氏の頭を横から殴った。
鮮血が飛び散った。
「おらあっ! おらあっ! おらあっ!」
男は手加減抜きに殴り続け、壁に張り付いて震えていた博美があまりのひどさに、
「やめてよ、死んじゃうよ!」
と叫んだ。
男は殴り続けた。
「ああ、死んじゃうかもなあ? 俺も死にかけたからなあ、なあ、おっさんよおっ!?」
激しい音が響き続け、博美は顔を背けて泣いた。
ぐったりして無抵抗の西川氏にようやく満足して男は上からどいた。
「へへへへへ………、ざまあみやがれ」
そうして勇敢なお嬢ちゃんに目を向け、博美はひっとすくみ上がった。
「人形、ある場所分かるか?」
博美は恐怖で口がきけなかった。
「なあ? 人形。どこにある?」
血まみれの警棒で顎を撫で上げるような仕草をされて、博美は震えながらうんうんとうなずいた。
「に…………、2階の部屋に………、か、鍵が…………」
「鍵、ある場所分かる?」
博美はうなずいた。
「じゃ、案内して」
博美は引きつけを起こしたように首を振ったが、
「案内。頼むよ」
警棒を突きつけられ、よろめくように歩き出した。
仰向けで血まみれになっている父と、ピザをぶちまけてうつぶせになっている母をこわごわ見て、また涙があふれてきた。
自分の部屋に行き、机の引き出しから鍵を取り出し、アンティーク室に向かった。
鍵を開け、ドアを開くと、
「入れ」
と促され、先に入った。
部屋は明々と全部の照明がついていた。
「どこだ?」
「あの箱に……」
前方を指差した博美は、自分の目が信じられずに固まった。
男は博美の肩を突き飛ばして歩いていった。
男の背中を見ながら博美は、
逃げなきゃ……、逃げなきゃ……、
と思ったが、恐怖で足が動かなかった。
「あん?」
箱を手に取った男は、中に布のクッションしか入ってないのを見て、怒りの顔を博美に向けた。
博美はビクッと震え上がった。
なんで? なんで? どうして?
と、疑問が渦巻くばかりで、考えることが出来なかった。
「どこだ? 人形を、どこにやった?」
博美はガタガタ震えながらぎこちなく首を振った。
男の顔が獣のように怒りをあふれさせた……ちょうど父のように……
「どこにやったあっ!?」
男は警棒で博美を横に払った。
「あ・・」
男にそこまでやるつもりはなかった。怒りに我を忘れてしまったのもあるし、思い切り力任せにあのでかい親爺を殴り続けて、力加減が麻痺してもいた。
……残念ながら娘は体も頭蓋も父親のようには頑丈でなかった。
それこそ人形のように頼りなく横に吹っ飛んだ博美は、そのまま床に伏し、頭の下の濃い血だまりが丸く広がっていった。
「おい! あーあ……、くそっ」
上向かせて、顔を見た男は、ガラス玉のように感情をなくした瞳を見て諦めた。
「どこだよ、ちくしょう……」
男は西川氏のコレクションに目をやりながらイライラした様子で廊下に出て行った。
そうよ……、どこよ…………
ドクドクと血液を失っていき、冷たくなっていく体を感じながら、博美は恨めしく思った。
どこに行ったのよ……、マリー…………
斜めにじい……っとコレクションの並んだテーブルを眺めていると、金の取っ手がついた、カメオのように白い乙女が浮き彫りされた黒い壷の陰から、ひょい、と何かが現れた。
博美の瞳にかすかに光が戻った。
マリードールだった。
自分の身長がちょうど隠れるくらいの壷から、ひょい、と顔を斜めにのぞかせて、カールした髪を揺らして全身を現した。
博美の瞳の光が大きくなる。
マリードールはテーブルの端まで来て、腰を折って博美を覗き込むと、
ニッ、と笑った。
瞳が一瞬大きく広がり、しぼんで、暗くなっていった。
化け物…………
こいつは人形なんかじゃない……
生きて、自分で歩いてるじゃない……
こいつは……、こいつは……、……、……、
こいつは……………………
血をだらだら流しながら西川氏は立ち上がった。
ふらふらする頭を立て直し、真っ赤に染まった目を上に向けた。
キッチンに向かい、包丁を握って部屋を横切っていく西川氏に、
「あなた……」
妻が弱々しく呼びかけた。
「人形の呪いよ……。これは人形の呪いなのよ……。あんな人形、あげちゃって……」
西川氏は包丁をテーブルに置くと、妻のかたわらに立った。
「あなた……、何を考えているの?……」
「ふむ」
西川氏はちょっと上を気にして、妻に向き直った。
「俺がお前と結婚したのは、おまえが資産家の娘だったからだ」
妻は傷ついた顔をして訊ねた。
「どうして、そんなことを言うの?」
「まあ……、このシチュエーションで、一つくらい俺に得があってもいいかと思ってな。副社長にもなることだし、もうおまえの実家の援助もいらん。しばらくは愛する家族を暴漢に殺された悲劇の主人公として同情されるのもいいだろう」
妻は信じられない顔で頭を振り、頑張って体を反転させると腕を伸ばして床を這った。
西川氏は頭の中で警察に話すシナリオを考えながら、放り出されていた椅子を持ち上げた。
再び迫って来る夫に恐怖の顔を上げ、本当に愛のないのを見て取ると、涙を流して訴えた。
「博美は、愛してあげてくださいね?」
西川氏は困ったようにため息をついた。
「残念だが、あの子もおまえ似だからなあ」
妻の顔が絶望から憎しみへ変貌した。
「地獄へ堕ちなさい……」
「お先にどうぞ」
西川氏は、こんなものかな?、と、暴漢が暴れ回ったように、椅子を振り回した。
包丁を握った西川氏は音を立てないようにそっと階段を上がっていった。
破壊音が響いていた。鍵のかかった書斎のドアを体当たりで突き破ったのだろう。
中のゴソゴソと言う音を確かめ、外で包丁を構えて男の出てくるのを待った。博美の姿が見当たらず、何故男がとなりのアンティーク室でなく書斎にいるのか、それは後で確かめればいいと考えた。
くそ、と吐き捨てる声が聞こえ、物音がやんだ。
さあ、出てこい、と、西川氏は復讐の喜びに残忍な笑みを浮かべた。
乱暴な足音が向かって来る。西川氏は少し距離をとって、男の姿が見えた瞬間に飛びかかるように身構えた。
さあ、出て…
ギッ、とアンティーク室のドアが開いた。
ひょいと出てきた身長70センチのドレス姿の女が、
「あ」
という顔で西川氏を見上げた。
書斎から男が出てきた。
「うわっ」
「くそ」
小さな女の出現で一瞬気をそらされた西川氏は飛びかかるタイミングを逃し、男とまともに対決することになってしまった。
リーチは警棒を持った男の方にあるが、怒りに筋肉がたぎった大柄の西川氏は今さら2、3発殴られることなど何ともなかった。
逆に振り下ろした包丁で男の手の甲を切り裂いてやった。
「あ・・」
まともに神経を切り裂かれて、男は警棒を取り落とした。
「死ねえええっ!」
「うわああっ」
グサリと包丁を腹に叩き込まれ、男は息をついて西川氏に抱きついた。
西川氏は腰を入れて、グッ、グッ、と男の体を突き上げ、西川氏の肩にしがみついていた男の手が、だらんと下がった。
「ふん、ざまあみろ」
西川氏はうっとうしい男の体を床に投げ落とした。
「ブラボー!」
小さな西洋女、マリーが、無邪気に拍手していた。
「マリー……ドール…………」
西川氏は信じられない顔で廊下に立つマリーを眺めた。
マリーは拍手をやめ、嫌な目で微笑むと、西川氏の背後を指差した。
なんだろうと振り返ると、階段から妻が現れた。
馬鹿な、と驚いていると、妻は物凄い顔で、
「うやあああああ」
と叫ぶと、両腕を突き出して突進してきた。
とっさに西川氏はげんこつを振り上げて妻の顔を腕ごと払った。
妻の顔は、ぐにゃっ、と首が回って、正面に戻ってきた。
「ひっ」
思わず息をのんだ西川氏の首を、妻の両手ががっちり掴んだ。
「ぐ、ぐぐ・・」
小柄で、口の周りが吐き出した血で真っ赤に汚れた妻が、信じられない力でギリギリ西川氏の太い首を締め付けた。
「く、くく・・」
西川氏も顔を真っ赤に膨張させながら、妻の頭を両側から掴んだ。
「ぬぬぬぬぬ・・」
渾身の力を込めて、既に骨の砕けている首を、引っこ抜いた。
ブシャアッ、と大量の血が吹き上がり、西川氏も真っ赤に濡れた。
これで終わりだ、と西川氏は思ったが。
首を失っても妻の西川氏の首を絞める力は衰えず、ますます締め付けてきた。
「・・・・・・・」
呼吸が出来ず、踏ん張る力が抜けて下半身が震えてきた。
両手に持ったままの妻の顔が、グリッと目玉を動かして夫を睨んだ。
「地獄へ堕ちろお」
わっ、と悲鳴を上げようとした瞬間、妻の細い指が食い込んで、ガリッとのど仏を潰された。
最後の苦しみに痙攣しながら、ついに西川氏は息絶えた。
重くなった夫の体を放し、妻の体も崩れ落ちた。
血だまりに生首が浸っている。
トンッ、トンッ、と、広がって来る血だまりを避けてスキップし、マリーはスカートつまんで3人にちょんと挨拶した。
「ちょっと面白かったわ。バイバーイ」
彩美が寝ていると、コツコツ、コツコツ、と窓ガラスを叩く音がした。
目を覚ました彩美は、ネコ?と思いながら、コツコツ音のする窓ガラスのカーテンを開けた。
ひっ、と驚いた。
窓ガラスを叩いているのはマリーだった。
「彩美。開けなさい」
命じられて、彩美は戸を開けた。
マリーはぴょんと飛んで、布団の上に立った。
自分で動いているマリーに彩美は目を丸くしていた。
「あははは、ぶっさいくな顔」
マリーは笑って、フン、と髪を振ってふんぞり返った。
「博美の家が汚れちゃったから出てきたわ。しばらくここにいるから、よろしく」
マリーのドレスは裾が赤く汚れて、よく見ると全体に赤い点々が付着していた。
「博美ちゃんは、どうしたの?」
「あーーん……」
マリーは頬に指を当て、肩をすくめた。
「さあ。知らない」
マリーは綺麗な顔に意地悪な笑みを浮かべて彩美を見た。
「どうでもいいじゃん、あんなつまんない子」
彩美はマリーを引っ掴むと、部屋を飛び出し、階段を駆け下りた。
「こらっ、なんなのよ?」
怒るマリーを無視して、台所に入った彩美は、元栓を開いて、ガスレンジに火をつけた。
そうしてようやくマリーを睨んだ。
「殺したのね?博美ちゃんを」
マリーは火を気にしながら軽い調子で言った。
「だったら何? あんた、わたしのご機嫌を損ねたらどうなるか分かってんの?」
「殺すんでしょ?」
彩美はマリーの顔を、青い炎の輪に押し付けた。
「やめろ、やめろおー!」
マリーはじたばた騒いだ。
「火は、火は、嫌あーっ!」
出口を塞がれた火がゴオッと脇にはみ出し、彩美も手をチリチリ焼かれて痛みを感じた。
「放せ馬鹿あ! あんたもやけどするわよ!?」
彩美は意地になってマリーを火に押し付けた。
「あんた魔女なんでしょ? 魔女は火あぶりが決まりよ!」
「わー、わー、ぎゃあああっ!」
ボオオオオオオ……、と炎の静かな音がした。
マリーが静かになっても、彩美は熱さに耐えて放さなかった。
「なーんちゃって」
ゴオオオッ、と炎が吹き上がり、燃え広がった。
「きゃああっ」
火がパジャマの袖について、彩美は必死に振り払った。
明々とした炎に顔をあぶられ、彩美は信じられない思いでレンジフードを舐める大きな火柱を見つめた。
「あははははははは」
火柱の中にマリーは立っていた。中心に立って、炎はその周りを渦を巻いて吹き上がっていた。
「あなたも残念。大人しくしてればもうちょっと長生きできたのにね?」
「悪魔…………」
「残念。魔女よ」
炎がレンジフードから外に溢れ出し、天井へ這い上がり、メラメラ波打って燃え広がった。
彩美は自分の頭上を炎が覆っていくのをあっけにとられて見守るしかなかった。
「死ね」
マリーが指を振ると、炎が龍のように襲ってきた。
「きゃあーっ!」
彩美は弾かれるように廊下へ飛び出した。
「お父さん! お母さん! 火事よお! 火事よお!」
炎はメラメラ天井を追い越して広がっていく。
彩美は悲鳴を上げながら、焼け付く喉の痛みに泣きながら叫んだ。
「火事よ! 火事よ! 火事よお!」
生き物のように燃え盛る炎の中に呪われた魔女の笑い声がいつまでも響いているように彩美は感じた。
博美は一命を取り留めた。
彩美の訴えに警察が駆けつけ、重体の博美を発見した。
後ちょっと遅れていたら、確実に失血死していただろうとのことだ。
彩美も背中と右腕に大やけどを負って、手術を受けた。
それでも二人ともよく生きていたものだと思う。
メイドを務めた二人へせめてもの温情だろうか?
もっとも、二人とも本当に死ぬ目に遭って、博美は家族を失い、彩美も家を失って、全然、感謝する筋合いもないけど。
焼け落ちた家の跡から、マリードールは見つからなかった。
燃え尽きてしまったのかもしれないけれど、きっとそうではないだろう。
マリーは生きている。
今もどこかで、きっと。
彼女は、本物の魔女なのだから。




