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妖精の前奏曲〜ヨウセイノプレリュード〜  作者: 未星
第一楽章〜妖精の羽音〜
5/5

罪の産物

____街外れの古びた公園。


そのベンチに寝転がる少年。

荒い息遣いだけが静かな夜に響く。


「…っ…この機械……結構、重い…」


真横に置かれた筒状の容れ物を軽く叩く露綺。

乱れた息を落ち着かせ、そっと中のものを覗いた。

ビクリと肩を震わせ、水色の瞳が不安気に揺れる。


「…何もしねぇよ」


その言葉で妖精の表情が徐々に柔らいでいく。

露綺は小さく笑う。


「今出してやる」


そう言って、筒状の機械に手を伸ばした時だった。


(…なんだ、この感じ。)


ザワザワと妙な風が吹いた。


(空気が揺れてる?いや、違う…空気の流れが変わった。)

「っ!?」


妖精の容れられた機械を抱え、露綺は咄嗟にベンチから飛び退く。


___スパン!!


突如、音が響いた。

音のした方に自然と顔を向ける露綺。


「………ベンチが…」


真っ二つに割れたベンチを見て唖然とする。

体中に電気が走るような感覚がした。

自分の全細胞が危険だと叫んでいる。

周囲に警戒しながら、妖精を守るように筒状の機械を抱きしめる。


(……何処だ…、絶対何かいるだろ…。)


冷や汗が首筋を伝う。


(…ただの人にこんな事出来るか?)


頭を回転させるが答えに行き着かない。

機械を抱きしめる腕に微かな振動を感じる。

妖精に視線をやると必死で何かを訴えかけているように見えた。


「え?…何?」


妖精はその小さな指を頭上に向けている。


「……っ…上かよ!?」


露綺は妖精が指す空へ視線をうつす。


「なっ…」


言葉にならない声が漏れた。


(なんだこの生き物…。)


公園のランプに照らされるそれ。

人間の骨格に鳥のような翼、全身を毛で覆われた奇妙な生き物。

グルル、と喉を鳴らす様は気味が悪い。

その生き物は耳を(つんざ)く奇声と共に、露綺へと向かってきた。

間一髪で避けるも、それは目と鼻の先にいる。


「…ゔ、ゔあぁぁぁぁあっ!!」


機械じみた動きで首だけを露綺に向け低い唸り声をあげる生き物。

垂れ流したままの唾液がポタリと地面に落ちる。

直ぐさま、その得体の知れないものと距離を取る露綺。


「な、んだよ…この生き物……」

「……研究者達の罪の産物“ソロー”」


立ち尽くす露綺の隣でポソリ誰かが呟く。

視線だけを横にずらすと、蜂蜜色の髪が視界に映った。


「お前…」

「走れますか?」


そう尋ねると同時に、少女は露綺の手を握る。


「絶対、その子を落とさないで下さいね」

「え?その子…って、おい!?」


露綺の言葉を遮るように走りだした少女。

小さな身体には不似合いな少女の足の速さに驚く露綺。


(こいつ、本当に何者なんだ…。)


街灯のない真っ暗闇の路地を迷うことなく進んでいく少女。

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