戻りました
再び学校に通う事になって、アキはずっと心配していたけど、来れない時は電話をする事で渋々納得してくれた。
「また泊まりに来る」
「お前、そんな事をしたのか?
学校の寮に部外者は泊まれないぞ」
「理事長に許可はもらっている」
「……脅しただけだろ?」
二人の言い合いもしばらく聞けない。
でも、寂しいけど我慢。
また魔法で私とアキ以外入れなくなった部屋。
二人が帰ってすぐ寂しく感じるけど、この間みたいに泣く程じゃない。
「クウ」
「ピー」
名前を呼ぶと私の膝に乗るリス。
クウって名付けた。
私に甘えている時、クルルル……って喉を鳴らすから。
アキやソルドによると、クウはリスじゃないみたい。
でも見た目はリス。
あの大きな姿は魔法で大きくなっていただけらしい。
魔法が使えるリス。
私に懐いているから、私と一緒にいる事になったみたい。
他の人だと警戒して威嚇するからだって。
「頑張る
一緒」
「ピー」
クウの鳴き声は可愛い。
甘えている時も可愛いけど。
ちゃんと返事をしてくれるクウは賢い。
付けたばかりの名前も、もう覚えてくれている。
(アキとは一緒にいられないけど、ずっと会えないとかじゃない
ソルドとも会える
クウも一緒にいてくれるし
頑張ろう)
クウを撫でながらそう思う。
明日からまた学校に通う。
「ミイ!
もう大丈夫なの?」
「ヤン」
教室に入るとヤンが声をかけてきた。
「しばらく休むとか先生が言ってたから、心配したよ
体調を崩してたとか?」
(心配してくれてたんだ)
やっぱりヤンは優しい人。
「違う
声、ない」
「……え?
もしかして、声が出なくなったの?」
頷くと更に心配そうな顔をした。
「でも、もう平気なんだよね?
ミイ、喋ってるもんね?」
「昨日」
「昨日出たの?
もう大丈夫?」
「うん」
頷いたら抱き締められた。
「おかえり、ミイ!」
頭も撫でられる。
「……ただいま?」
合ってるかどうか不安だったけど、ヤンが笑顔になったから合ってたみたい。
「ピー」
クウが走ってきた。
ついて来ちゃったみたい。
「クウ」
手を伸ばすと一目散に飛び付いてくる。
「外、出る、メ」
でも私の言葉で悲しいって伝わってくる。
(ううっ……
でも、アキにクウは魔法が使えるから、あまり外に出しちゃいけないって言われてるし)
でも、クウは悲しそうに鳴いていて──
「威嚇、メ、よ?」
「ピー」
魔法を使わないなら、クウは普通のリスのようにしか見えない。
撫でると喉を鳴らすし、鳴き声からしてもリスじゃないらしいけど。
「可愛い!
この子は?」
「クウ」
「クウっていうの?
ペット?」
「アキ」
「?
アキ様に貰ったの?」
ヤンに通じなくてどう言えばいいか迷う。
(あ、クウが魔法を使える事は内緒だから、アキの仕事で会ったとは言っちゃ駄目かな)
アキから預けられたって事を言えばいいかな?
「預かる」
「ペットじゃなくて、アキ様から預かったの?」
頷く。
「そっかぁ
ミイに凄く懐いてるね」
「いい子」
「そうみたいね」
ヤンがクウを見て笑う。
クウはいい子だから威嚇をしない。
「もう大丈夫なのか?」
リアンに頷く。
「その動物は?」
私の肩にいるクウを指差す。
「クウ」
「くう?」
「アキ」
「……アキ様が関わっているのか
それならいい」
リアンはヤンよりも私の言葉が通じないみたい。
学校の勉強は、少し難しい。
いつも忙しいアキと離れている時、他にする事がないから勉強をしていた。
でも誰かに教わる事がなかったから、解らない所は解らないまま。
だからこうして誰かに教わる事は初めてだし、集中力が続かない。
時間を決めてやるって事をしていなかったから、慣れるまで大変そう。
「ピー」
「クウ、しぃ」
「ピィ……」
「……可愛い」
クウにシーってやると、寂しそうに鳴く。
撫でてあげると喉を鳴らすクウ。
いつの間にか授業はそっちのけでクウを撫でていた。
──反省。




