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友達ができました



「ねえ、アキ様とどんな関係なの?」


席に座るとすぐ、前に座ってる人が振り向いて話しかけてきた。


(どんな関係?)


「アキ……一緒

名前……嫁……

大事」


「あー……ごめん

何が言いたいか分かんないや」


(え……)


アキやソルドなら分かってくれるのに……


(もっと分かりやすく?

思った事を紙に書いた方がいいかな?)


どう言えばいいかも分からないし、言葉も上手く紡げないから、思った事をそのまま紙へと書く。


『アキと一緒に住んでる

 名前つけてくれた

 嫁って言われる

 大事な人』


それを前の人に見せる。


何かビックリした顔をしたけど、そっかぁと言いながら私に紙を返してきた。


「私はヤン

席も前後だし、これから仲良くしてね」


頷くとヤンが笑顔を見せる。


ヤンは一瞬男の人かと思ったけど、女の人。


フワフワな印象の灰色の髪に、橙色の瞳。




授業が終わってから、またヤンが振り向いた。


「一緒にご飯食べに行こう」


(一緒にご飯……)


頷いて席を立つ。


(これからはアキと一緒じゃないんだ)


アキは忙しいから、一人で食べる事も少なくなかったけど。


危ないから一人じゃ外に出ちゃいけないって言われていたし、アキがいない間一人で家にいたのは寂しかったけど、家にはアキの匂いがあったからあまり寂しくなかった。


でも此処にはアキの匂いがないから、まだあまり時間が経ってないけど寂しく感じる。


「ミイってさ

アキ様に名前つけられたって言ってたでしょ?

何でミイって名前になったの?」


歩いてる最中、ヤンが話しかけてくる。


「……猫」


「猫?」


「ミー」


「あ、鳴き声?」


頷いて答える。


「何で猫の鳴き声?」


「言葉、初めて」


「どういう意味?」


「喋った」


「ミイって喋れなかったの?」


また頷く。


「そっかぁ

じゃあだいぶ喋れるようになったって事だね」


「ん……アキ」


「アキ様のお陰なんだ?」


また頷く。


まだまだ全然話せないけど、此処まで話せるようになったのはアキのお陰。


焦らせる事なく、私のペースでゆっくりさせてくれるから、此処まで話せるまでになった。


アキと会った当初、全然話せなかった。


それから少しずつ話せるようになったけど、ある時また声が出せなくなった。


それからまた話せるようになってきたんだけど……


(私の言いたい事、アキやソルドには通じるけど、他の人にはあまり通じないんだな)


他の人と話す事なんかなかったから、通じないって事に困惑。



ヤンの後を歩いていく。


ヤンが歩いていった場所には、沢山の人がいた。


それと同時に色んな匂いがする。


思わず足を止めて見ていたら、ヤンが戻ってきた。


「どうしたの?」


首を振る。


こんなに沢山の人を見る事ってなかったから、圧倒されていただけ。


「気分が悪いとかじゃないんだね?

ほら、行こ」


手を引っ張られる。


嫌な感じはない。


アキとソルドとしか一緒にいなかった私は、人見知りはしないみたいだけど、たまに人に嫌悪を感じる事がある。


今まではアキがいたからすぐに遠ざけてくれていたけど、ヤンには嫌な感じがしないからよかった。


ヤンに引かれるまま歩いていく。


「此処で食べたい料理をとるんだよ

好きなだけ食べても、追加料金がとられないんだ」


そう言いながら料理をとっていくヤン。


(食べたい料理……)


小さいおにぎりを二つとった。


「え!? それだけでいいの?」


飲み物もとって頷く。


ヤンがとった料理はいっぱいで、何であんなに食べれるのか疑問だ。


二人で座り、ご飯を食べる。


(ヤン、食べるの速い……)


凄い。


私はおにぎりを少しずつ崩しながら食べる。


私が食べ終わるより先に、あんなに沢山料理をとっていたヤンの方が先に食べ終わっていた。


「ミイって可愛いよね

アキ様が溺愛するの、分かる気がする」


(……?)


お茶を飲んでたらそんな事を言われた。


「可愛い……アキ」


「は?」


「アキ」


「……アキ様を可愛いなんて言えるの、ミイくらいしかいないよ」


(そんな事ないと思うんだけど……)


アキ、可愛いし。


格好いいけど。


「アキ、泣き虫」


「え? そうなの?

冷静沈着って有名だけど」


(冷静?

そんなの見た事ない)


今度は私がキョトンとする番。


「ミイの前じゃ違うって事か

『ミイに何かしたら潰す』って言ってた位だもんね」


ヤンは納得顔。


(冷静ってアキが仕事中の話じゃないのかな?)


アキの仕事の話ってあんまりしないから、よく分からない。


「そんな子と一緒にいるなんて、ヤンは変わってるわね」


ヤンと話していたら、女の人が話しかけてきた。


(この人、嫌)


何か嫌な感じがする。


「私が誰といようと、サリスには関係ないよ」


サリスと呼ばれた人は、薄ピンクの癖毛の髪で、肩まである。


瞳の色は黄色。


何故か私を睨んでいて、嫌悪を感じる。


「アキ様にどうやって取り入ったのよ?」


強い敵意を向けられて体がすくむ。


「貴女も見たでしょ?

アキ様がミイを気に入っているのよ」


「アキ様に取り入ったからでしょ!?

こんな普通な子の何処がいいんだか……

あまり喋れない事で同情をひいたんでしょ?」


(この人、怖い)


思わずヤンの服を掴む。


「ミイ、気にしなくていいよ

サリスも、こんな事して何になるの?

アキ様の耳に入ったら潰されるよ?」


ヤンの言葉でサリスは私から離れていった。


「サリスはアキ様を慕っているみたいだから、いつも一緒にいるミイが羨ましいんだね」


(そうなんだ)


サリスが離れていった事にホッとする。


敵意を向けられるのは昔を思い出すから怖い。


また声が出なくなりそうで……


声が出なくなれば、またアキを心配させてしまうから。


またアキが別人のようになるのを見たくない。


昔に声が出なくなった時、アキはその原因となった人を一掃した。


“冷酷”その一言に尽きる。


アキを止められず、呆然と見ているしかできなかった。


それはソルドも一緒。


誰もアキを止められず、アキ自身が止まるまで待つしかなかった。


「ミイって誰と寮が一緒なの?」


話はもう変わってる。


「一人」


「一人で部屋を使ってるの?

泊まりに行っていい?」


「……無理」


「どうして?

私はミイの友達になれない?」


ヤンは悲しそうな顔をする。


「……友達?」


「そう!

私、ミイと友達になりたい」


(友達……

アキとソルドみたいな感じかな?)


友達ができるなら初めての友達だ。


(あ、でも……)


「泊まる、無理」


「え? どうして?」


「魔法」


「……アキ様の魔法?」


頷くとヤンが青い顔をする。


「徹底してるね……

ミイさえよかったら、いつでも私の部屋においでよ

同寮者もいるし、一緒のベッドで寝る事になるけど」


また頷く。


(アキに、友達ができたって報告しよう)


ヤンに笑顔を向ける。


初めての友達。


何故か驚いた顔をしたヤンだけど、すぐに頭を撫でられて、少し安心する。




その日の夜、寮に来たアキにヤンの事を報告。


嫉妬したアキに、散々啼かされてしまったのはいうまでもない。

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