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プロローグ
赤。
それが記憶の始まり。
一面赤の中に、自分がいる。
何故此処にいるのか……
此処は何処なのか……
そんな疑問すら湧かず、ただ座っているだけ。
何も考えず、ただいるだけ。
そんな状態が続く中、何の音もなく静かだったのが変わった。
(足音……)
沢山聞こえてくる。
段々大きくなるそれを呆然としながら聞く。
「っ……何だ、これは……」
声も聞こえた。
沢山の人の気配に、やっと体が動く。
……といっても、首をそちらへ向けただけ。
視線が合うと、その人は目を見開き、慌てた様子で近寄ってくる。
「大丈夫か!?
いったい何があったんだ?」
声をかけられ、少し考えてみる。
(何……?)
でも、それ以上の思考が働かない。
ぼんやりと目の前にいる人を見ながら、体が傾いていく。
驚いた顔が見えた瞬間、視界は真っ暗になった。




