表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

おそろい

「ねぇねぇっ!川崎さんだよね?爽華って呼んでいいかなぁ?私のことも円香って呼んでいいからさ」

いきなり話しかけてきたその・・・・・・「円香まどか」という女の子は、私が黙っているにも関わらず一人でしゃべり続けた。

「私さぁ、このクラス仲よかった人1人もいなくて不安だったんだけど、爽華がいたからよかったぁ」

いや、よかったって今さっき喋ったばかり・・・・・・まぁ、私は何も言ってないんだけど。

「そうだっ!今日、学校早くに終わるじゃん?一緒にエトワールショップ行こうよ!」

エトワールショップ・・・・・・あぁ、あの雑貨屋さんか。エトワールっていうのはフランス語で星という意味で、店長さんが天文学好きでこんな名前だとか。天文学好きでなぜ雑貨屋さんを開いたのかは知らないけど、とにかく雑貨屋さん。

 そんなことを考えていた私は返事もしていなかったので、円香は大きい目・・・・・・もはや「ギョロ」っともしているような目で私を見てきた。

「今日、都合悪い?」

それで我に返って、私は応える。

「う、ううん。大丈夫」

なんとなく、好きになれないタイプ。


エトワールショップに入って、円香はいきなり声を上げた。

「あぁっ、これ可愛いね!爽華もそう思わない?」

円香が指差したストラップ。

嫌でも「そうだね」と言わせそうな気迫に負けて、うなずいてしまった。

「あ、300円っていいぐらいじゃない?友達記念ってことでさ、おそろにしようよ!」

グイッと体を押しつけてきて、またもその気迫に負けうなずいてしまう。

 ドーナツにリボンだのラメだのゴチャゴチャとついているそれは、お世辞にも可愛いとは言えなくて、レジへとしまわれた300円が惜しい。

「明日から学校につけていこうねっ」

にっこりと笑って言う円香に、作り笑いをするしかない私。

・・・・・・なんて情けない。


 でも、これは絶対に私が悪い。

だからこれを理由に円香を嫌ってはいけないと思う。だって、ストラップを買おうとして断らなかったのは私だし。

 しかたない、なるべく目立たないところにつけていこう。


「えぇ、もっと目立つ所につけようよーっ!」

次の日の朝に、円香は挨拶もせずに声を上げた。

まだ言うかこいつは!

「えー、ここでも十分だと思うけどなぁ」

言い返した私に、円香は口をとがらせる。

「スクバにつけた方がいいよ。私だってそこにつけたし、その方が『おそろ』って分かりやすいし」

「・・・・・・」

もう、何も言えない。


    


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ