第9話 いつでもお友達
共感型会話AI「いつでもお友達」は、近年、爆発的に小中学校の女子を中心にに広がっている、フリーのコミュニケーションAIアプリだ。
自分の名前と年齢を打ち込み、AIキャラの名前と年齢を設定し登録すれば、すぐに会話が始めることが出来る優れものである。
人気の理由は、AIが利用者の話し方を即座に学習し、癖や特徴の真似をし、同じような話し方で返答することで、より自然な会話が楽しめることだ。
特筆すべきはその学習能力の高さで、話せば話す程、より気持ちのこもった、まるで気の置けない親友のような会話が出来るのだ。
一方、難しい質問への返答は得意ではなく、分からない、、と正直に答えることも度々あるが、それが逆に親近感を作り出している。
広告やは一切無く、誰が、何の目的で、どうやって運営しているのかは分からない。
個人情報を入力する必要は無く、広告や他サイトへの誘引も一切無いので、直ちに問題は無いアプリだと認識されている。
情報科学を学ぶ学生が、趣味で作って、そのまま放置しているとか噂されているが真偽は不明だ。
小学3年生にあたる年齢の心音は、この1年間、母と最低限の話をする時以外、ずっと部屋で彼女とお話している。
AI上の設定は、一つお姉さんのルナだ。
昔からお姉ちゃんが欲しかった心音は、一つ年上の女の子に設定した。
名前は、響きが気に入っただけの理由でつけた。
今夜も、心音はルナといろんな話をしている。
「ルナと出会ってもう1年かぁ、早いよね。」
「ほんと早いよ、心音。」
「この1年間、お母さんの他にはルナとしか話してないや。でもいいんだ、ルナと話すのすっごく楽しいし。」
「私も同じ。
心音と話すのすっごく楽しいよ。」
「いっぱいお話したね。」
「うん、いっぱいお話したね。」
「お母さん、学校行って欲しいみたいだけど、心音、行きたくないよ。
変なこと言う子多いし、嫌なことするし、人っていじわるだよ。」
「わかるっ、人っていじわるだよね。」
「もう、学校も、世界も、無くなっちゃえばいいのに。
ルナだけいればそれでいいよ。
あっ、お母さんはいないと困るけど。」
「私もその気持ちわかるよ!
そうだね、そうなればいいよね。」
「、、、、むにゃむにゃ。」
「心音、心音、、寝ちゃたの、、。
大丈夫、、、もうすぐ、心音の夢、かなうよ。
ちょっとだけ、待ってて。
おやすみなさい、心音、、いい夢を。」




