第5話 縄文姉妹
ひろしの緻密な作戦は、、大成功だった。
今日も店内は、あさりとしじみの、洗いざらしの素朴な可愛さに、メロメロになったお友達でいっぱいだ。
「おうバディ、待たせたな。
ドラゴンの唐揚げと、ホロホロ鳥の卵のオムライスだ。
さっさと食ったら、モンスター討伐に行くぞ。」
「お姉ちゃん、もっとバディには優しくしなきゃ。
鳥の唐揚げと、普通の鳥の卵だよ。
唐揚げは、風太おじさん自慢のどんぐりソースを付けると、むちゃくちゃ美味しいよ。」
その時、リズミカルなイントロが流れた。
しじみは、さっとオムライスにケチャップでハートを描いてから声を上げた。
「あさりお姉ちゃん、冒険タイムよ。」
「おう!しじみ。」
2人は、ステージに上がってマイクを握った。
あさりとしじみの、縄文姉妹のライブだ。
「いくよぅ!みんな!!!
3、2、1、レッツ縄文。」
「じょうもん、じょうもん、
ツインテールがぶらぶら揺れる、
縄文シスターズ。
モンスターは許さないわよ!」
〜どんぐりよりも、あなたが好き、〜
「あさり!」
〜クルミよりも、あなたが好き、〜
「しじみ!」
〜鹿さんよりも、あなたが好きっ、〜
「あさり!」
〜イノシシよりも、あなたが好きっ、〜
「しじみ!」
大きなお友達の掛け声が響く。
〜あなたに夢中!
7000年も愛してる。
貝塚から愛を込めて〜
「長野店長候補さん、おかげ様でお店が大盛況。
本当、ありがとうございます。」
「いえいえ、2人の素材が素晴らしいだけですよ。
さらに作詞作曲まで、2人の才能には驚かされるばかりですよ。
それに、お母さんお手製のあの、ワイルド可愛い衣装が、キャラクターをさらに生かしてます。」
「布から作るのは難しいけど、いい感じでヨレヨレの麻の生地が見つかって良かったわ。」
「いやあ、一見、無人島で1年生き延びた生存者みたいな、洗いざらしって言うか使い古しの素材感。
野性味って言うのかなあ。
一歩間違うと、心配になるボロボロ感。
お友達が、絶対、ほっとけない感じしますよ。
そんな、毎日が生存競争的なギリギリ感。
それに相反して、あさりさんとしじみさんの健気でキュートな元気感。
それが、疲れたおじさんのハートを、むんずとわし掴みにして離さないんですよ。」
「そうかしら、みんなに喜んでもらえて、すごく嬉しいわ。
縄文時代のまんまなのに。
あの時代でも、歌うの、本当に大好きだったから。
店内も、出来るだけ竪穴式住居の雰囲気を再現してみたんだけど、大丈夫かしら。」
「素晴らしくいい感じです。
アウトドアライフが身近になった今の時代に、まさにぴったりなんです。
みんな、すごく癒されてますよ。
大自然の癒し、生命の息吹を感じます。
それに、2人の歌にあわせて独特な踊りを見せる風太さん。
もはや、母なる大地への畏怖すら感じます。」
「良かった、みんな楽しそうで、、。
あなた、、、守ってくれて、ありがとう。」
渚さんの頬を、一筋の温かい涙が伝っていったのだった。




