第11話 天女様の現地視察の件
「しかし、縄文時代に戻るというのは、あながち悪くない選択なのかも知れません。」
「おっ、それはどういう意味かの。」
「縄文文明は、あの時代としては、世界でも際立って高度で先進的な文明でした。
また、一万年以上もの間、大きな戦争をすること無く平和に続いた文明は他に例がありません。
自然と共生し、平和に、多様な創造性、芸術性を持って生きる縄文人の生活スタイルが、戦争に明け暮れ、自然を破壊し、金、金、金で、人間性をも蔑ろにする時代より果たして劣っているのか。
私には、到底そうは思えません。」
「その通りだな。
今さらサステナブルとか言っているが、そんなものはとうの昔に縄文人が実現していたわい。
大地を派手にぶち壊しておいて、今更何をか言わんや。
自然と共に行きてきたあの母子。
コンクリートに覆われ、荒れ果てた大地を見て何を思うのか、、強く生き抜いて欲しいものだ。」
「その母子と弟ですが、何か変わった飲食店を家族でやっているようで、最近、結構繁盛しているようです。」
「おう、それは良かった。で、どんなお店だ。」
「秋葉原の裏道にあるコンカフェとかいう店らしく、なんでも内装や衣装、メニューとか、できるだけ縄文時代を再現してるようです。
双子の娘が歌ったり、踊ったりする、陽気なライブパフォーマンスも人気らしいです。」
「ほうっ、秋葉原、、ふふっ、良き良き。
陽気なライブパフォーマンスとな、、興味深いぞ。」
「天女様、秋葉原をご存知で?
あっ、天女様、アニメ、好きっ、、。
しっ、失礼しました。
そう言えば、最近、店長候補の若い男を雇ったようです。
命知らずなのか、バカなのか、モンスター討伐に参加したいと言ってきたようで、母親から、特別強化型バトルスーツの注文がありました。」
「何っ、あのとんでもスーツをか。
あれを着たいとは、そいつなかなか見どころがあるな。
で、秘密を守れる男なのか?」
「はい!大丈夫かと。
エージェントが母親から聞いた所によると、働き者でアイデアマン、なかなかいい男、信頼できる男だと。
そして、店が繁盛しているのはその男のお陰だとも。」
「うむ、いい男とな、、その男、気になるぞ。
我が地上に降りて、直接面談をする必要は無いか?」
「天女様が地上、それも秋葉原に、、恐れ多きこと。
エージェントに任せておけば良いかと。」
「いや、それでは安心出来ん。
よし、その男、我が直接会って人物を確認しよう。
どれだけの覚悟があるか。
ただのバカなのか?
あの母と双子の娘、そして、アップデートがままならなかった弟の様子も知りたいしな。
すぐ、旅の準備をしろ。
お前の分もな。」
「えぇ~。私もですか?」
「異論は認めん。
何があろうと、行くのだ。
あの、オタクと呼ばれる勇者達が世界中から集まる、聖地、秋葉原にな。」
「天女様、ひょっとして、遊び、、?」
「バカを言うな、現場を見ずに真実は見えぬもの。
エージェントに、視察の準備を指示しておけ。
特に、秋葉原という街で、我が違和感なく溶け込める衣装をな。」




