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ナイショの王子様  作者: 朱空てぃ
交流会
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第126話 思わぬ訪問者

 紗奈はその足で悠の元へ向かう。寛人から受け取った鍵に書いてある番号の部屋に向かい、そのまま鍵を使った。ノックして開けてもらう事も考えたが、もしも悠が寝込んでいたら起こすのも可哀想だと思ったので、恐る恐るゆっくりと扉を開け、中の様子を窺った。


「悠くん……いる?」

「えっ!?」


 悠は水着から着替えようとしていたところで、入ってきたのが紗奈だったから驚いた。幸いだったのは、脱いだのが上に羽織っていたパーカーだけだった事だろう。


「さ、紗奈。なんで?」

「あ……うぁ…………っ」


 パーカーとはいえ、脱ぎ途中の恋人が目に入ったのだ。紗奈は大きく動揺して、後ずさった。既に閉じていた部屋のドアに頭をぶつけて、今度はうずくまって頭を押さえている。


「ちょっ…紗奈! 大丈夫?」


 頭を抱える紗奈に驚いて、悠は急いで紗奈の傍に近寄った。悠も一緒にぶつけた頭を優しく包んでくれる。


「ひぁ……。悠くん、近いよう」


 しかし、悠が上裸なせいか、頭の痛みよりも羞恥が先に押し寄せてきた。紗奈は顔を真っ赤にして、アワアワと口を動かしている。


 悠も最初紗奈が入ってきた時は驚いたのだが、ここまででは無い。水に浸かるならパーカーは脱ぐし、上裸でも問題は無いはずだ。と彼は思う。


「男の上裸でそんなに照れる?」

「だって……。悠くんの身体、結構引き締まってる。かっこいい。それに、こんなに近いと恥ずかしいよ」


 そう言われると、悠もドキリとしてしまう。紗奈も水着姿なのだった。赤い顔にばかり注目していたが、紗奈の言葉に意識してしまい、悠の視線が下にずれる。


 紗奈の水着姿は試着の時にも見たし、普段の制服や私服越しでもわかっていはいたのだが、紗奈はかなりスタイルが良い。くびれの部分が特に色っぽく見えてしまって、悠は急いで紗奈から離れた。


「ごめん。そうだな」


 学校行事のおかげで、今日の悠は顔が隠れていた。紗奈の事を言えないくらい赤い顔になってしまっていた悠は、その事にほっとする。


「そういえば、紗奈はどうしてこの部屋に来たの?」

「あ。えっと、寛人くんが……悠くんは体調崩したからって。様子を見に行ってあげてねって」


 紗奈はやっと立ち上がり、悠の様子を改めて窺った。


「大丈夫そうだね。良かった」


 紗奈がほっと息をついて、微笑んだ。悠はポッと頬を染めると、頬をかいて弁明する。


「ん。まあ、調子に乗って海に入った俺が悪かったんだよ。大丈夫」


 実を言うと、悠はさっきまで少し震えていた。海が見えないようにカーテンも締め切った。だから、紗奈が来てくれた時は驚きもしたが、安心したのだ。


「紗奈に会えたおかげかも」

「それなら嬉しいな!」


 と、紗奈は本当に嬉しそうに笑った。


 満面の笑みを向けられて、悠は思わず紗奈の頬に軽く触れてしまう。


「二つのお団子。可愛いね」


 紗奈は水着に着替えた時に、髪型も一緒に変えた。その髪型を褒められて、紗奈は更に嬉しそうに顔を綻ばせる。頬に触れてくる悠の手にそっと自分の手を重ね、スリスリと甘えるように顔を動かした。


「ありがとう」

「…大分慣れてきたよね。前は少しスキンシップ取っただけで真っ赤にしてたのに」


 悠は今でもドキリとすることは多いが、やはり紗奈に触れていると安心するし、今みたいに可愛い姿も見られる。つい、紗奈へのスキンシップが増えてしまうのだった。


「悠くんは演技が演技じゃなくなってきたからつまんない。本当に余裕そうな顔なんだもん」

「恥ずかしいより、愛おしいが先に来るからね」


 悠が紗奈の頭を軽く撫でると、彼女は気持ちよさそうに微笑んでくれる。


 やっぱり義人と紗奈は似ている。と、悠は前に思ったことと同じことを考えながら、頭を撫で続ける。


 紗奈の頬がどんどん緩んでいくものだから、つい、くすっと笑みを零してしまった悠は、紗奈から「なんで?」と怒られてしまうのだった。

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