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ナイショの王子様  作者: 朱空てぃ
交流会
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第124話 海でのハプニング

 色々なお店を見て回って満足すると、全員でお待ちかねの海に行く。


 海では、泳げない悠は当然、砂浜でポツンと海を眺めているだけだった。たまにみんなが声をかけに駆け寄って来てくれるのだが、やはり少しだけ寂しいと思ってしまう。


 その結果……。


「際なら行けるかな?」


 悠は寂しさと、学校行事とはいえ、旅行ということもあり浮かれていたせいで、雰囲気に流されて波打ち際を歩いてみることにした。


「お。練習? 付き合うよ」


 寛人が悠を見つけて、声をかける。寛人は感性が鋭いので、悠が無理な時はきちんと注意してくれるだろう。


「ありがと。みんなは?」

「女子達は女子達……って言っても、北川さんのとこはちょっと男子も混ざってるか」


 寛人が指を指す方を見て、悠は顔を顰めた。


「くそ。俺も紗奈と遊びたい」

「たっぷり時間あるだろ。デートの予定も入れてたじゃん」

「みんなには感謝しかないよ……。交際を隠してくれてるのだって、もどかしいだろうにね」


 悠はそう言うと、調子に乗って少し駆け足になる。


「きゃあっ!」


 遠くで悲鳴があがったので、悠と寛人はそちらを振り返る。紗奈のクラスの女子が浅瀬で転んで海水を飲んでしまったらしい。紗奈が急いで介抱している。


「大丈夫ー!?」


 悠は近くには行けないので、浜の方から声をかけた。


「げほっごほっ……」


 苦しそうな顔……。


 咳き込む彼女の姿を見て、自分と重ねてしまった悠は、自分が溺れた訳でもないのに苦しいと感じてしまう。口元を押さえて、ゆっくりと浜に戻った。


 寛人も、悠の体調の変化にはすぐに気がついてくれた。一番近くについていてくれている。


。。。


 一方で、紗奈は苦しそうにしている女子生徒の背を擦りながら他の子達と話し合っていた。


「ホテルに養護教諭の先生もいるよね」

「うん。その前に向こうの水道でうがいとかしよ? 私、付き添うね!」

「けほっ…ごほっ……ご、ごめっ……」

「ううん! 大丈夫だから。今は喋っちゃだめだよ」


 紗奈はその女子生徒を水道のそばまで連れていく。今も苦しそうに咳き込んでいるので、手を引いてあげていた。


「海水は吐いた方がいいんだって。あんまり飲んでないよね? 大丈夫……?」


 彼女の背を摩りながら、紗奈は心配そうに覗き込む。


「うん……。ありがとう」


 水道で口の中をすすいだら、紗奈がすぐ近くに置いてある自販機で買ってきた水を手渡す。


「はい! お水飲んで?」

「え…あ、ごめんね。北川さん」


 女子生徒は、戸惑いつつも素直に水を受け取って、そのままゆっくりと飲んでくれた。


「気にしないで。先生のところ行こう?」


 足を軽く洗ってからビーチサンダルを履いて、紗奈はその女の子の手を取って先行する。


「あれ? 悠くんは?」


 一度中に入ることを伝えるために戻ってきたら、ビーチには悠がいなかった。紗奈はキョトンと首を傾げ、さっきまで悠と一緒にいた寛人に聞く。


 寛人は少しだけ眉を下げると、こう答えた。


「ちょっと体調が悪くなったんだってさ」

「そうなの?」

「その子を送るなら、ついでに様子見てきてくれる?」


 軽くウインクをして、寛人は部屋の鍵を紗奈に手渡した。紗奈は少しだけポッと頬を染めたが、しっかり首を縦にして頷くと、今度こそ女の子を養護教諭の先生の元へ送ってあげた。


「そんなに大量には飲んでないんですけど……」


 女の子はだいぶ落ち着いた様子で、先生の質問に淡々と答えている。紗奈はそれを少し離れたところで見守っている。


「そう。すぐにお水を飲んだのは良かったわね。体調が悪くなったりお腹を下したりしたら、またいらっしゃい。病院に連れていくわ」

「はい」


 体調も、今のところは悪くはなさそうで、紗奈はほっと胸を撫で下ろした。

※昨日、一緒に投稿するはずだった自己紹介を今日投稿しております。122話と123話の間にありますので、興味のある方はどうぞ。読まなくても支障はありません。

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