第123話 交流会のはじまり
待ちに待った交流会当日。紗奈達は、千葉にある大きなホテルに来ている。
「す、すごーい!」
「高そー……」
真っ先に出てきた感想は、立派で高そうなホテルだということだ。実際に高級ホテルなので、紗奈達の感性は大正解である。
部屋は修学旅行の班とほとんど一緒になるように決められているので、紗奈は千恵美と美桜と一緒だし、悠は寛人達と一緒である。
「荷物を置いたら、まずはオリエンテーションだっけ?」
「うん。それが終わったらみんなで遊ぶんだよね?」
「楽しみ!」
キラキラと目を輝かせ、紗奈はソワソワしながら案内に着いていく。悠達とはホテルの前で別れた。
荷物を置いて、オリエンテーションも終わり、紗奈達はまず近くの散策に出る事にした。
次の集合は午後なので、お昼も皆で好きに食べに行ける。
「ねえ、遊園地が見えるよ!」
「本当! 後でいつ行くか決めましょうね」
交流会のある程度の計画は立てている。遊園地があることも事前に知っていたので、最初から「遊園地には行こうね」とみんなで話していた。紗奈は今から楽しみで、遊園地の観覧車を眺めながらソワソワと身体を揺らしている。瞳も、いつも以上にキラキラと大きく見開かれていた。
「うん! 楽しみだなあ」
「ふふ。紗奈ちゃん、本当に楽しそう」
美桜の言葉に反応して、紗奈はクルっと振り返ると満面の笑みで肯定する。
流石と言うか、紗奈は人目を惹くので、スススっと同じクラスの男子生徒が寄ってきて、お誘いを受ける。桐斗がいないからなのか、男子達はいつもよりも積極的だった。
「これからどこ行くの?」
「一緒に海行かない?」
「牧本って水泳部で超早いんだろ? 見せてよー!」
ワラワラと集まってきて、近くにいた悠がその熱気に充てられる。
「海はお昼食べてからお友達と行く予定なんだ。ごめんね? 後で会えたら、みんな一緒に遊ぼうね?」
紗奈はニコッと笑って、丁重にお断りを入れる。桐斗と違って、他の生徒達はスっと身を引いてくれるので、紗奈の態度はいつもより柔らかい。
「そっかあ」
「いつでも待ってるよ! 俺らずっと海にいる予定だし」
「うん。またね」
男子生徒達が潔く身を引いて去っていったので、ようやく動きやすくなった。
「ごめんね」
「いいって! 早く行こう!」
土産屋だったり、アイスや海産物せんべいだったり、少々レトロな雰囲気の雑貨屋だったり。色々なお店が並んでいて、見ているだけで楽しかった。その結果、あっという間に時間が過ぎてしまう。
「可愛いマンボウだ」
紗奈がとあるストラップを手に取って、そう呟いた。
マンボウのストラップはかなりデフォルメされていて、目がキラキラしているのが妙にユニークだった。
「紗奈ってこういうの好きだよな。動物って言うか、生物?」
悠は紗奈が持っているのと色違いのマンボウを手に取って、ユニークなその顔を見て少しだけ眉を寄せている。(これ、本当に可愛いかな?)と疑問を持っているようだ。
「うん。悠くんだって羊さん、好きでしょ?」
「まあ……。動物の中ならそうだね」
マンボウには興味をそそられなかったのか、悠は手に持っていたストラップを元の場所に返しながらそう答えた。
「じゃあ海中生物は何が好きなんだ?」
寛人の質問に、悠は悩んでしまった。海の生き物にも可愛らしいものは沢山いる。
「ペンギン……?」
「ここには無いな。ストラップ」
「じゃあ、クジラ」
マンボウの上に置いてあるクジラを手に取って、悠は答えた。クジラの目も妙にキラキラしているのが、やはりユニークだった。
「えー? マンボウ可愛いのに!」
悠が気に入らないのなら仕方が無いが、紗奈は少しだけ、ほんの少しだけ、お揃いのストラップを持てるかもしれない。と期待していたので、不満げだ。
「はいはい。マンボウも可愛いよ」
そんなやり取りをした後、今日の思い出としてみんなでそれぞれが気に入ったストラップを買った。
「ペンケースにつけようかなぁ」
「うちはゴーグルケースに付けるよ」
みんなで遊ぶのはすごく楽しい。いい人達だから尚更楽しくて、紗奈はずっとはしゃぎっぱなしになっている。
そんな紗奈を見つめながら、悠もかなり浮かれてしまっているのだった。
※1週間のお休み、すみませんでした。今日からは、また毎日更新をしていきます!
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