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ナイショの王子様  作者: 朱空てぃ
夏休みの直前に
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第122話 これからの楽しみ

 悠はレディースの水着を見つめて、悩んでいる。


「んー……」


 紗奈はフリルやリボンが好きだから、ワンピースタイプでも可愛いものを選んでやりたい。悠はそう思って悩んだ。

 

 悩んだ結果、悠はバックリボンタイプのモノクロのフリルワンピースを選んだ。丈が短めなのは気になるが、そこは水着なので仕方がないだろう。これ以上わがままを言う訳にもいかない。胸の部分が交差していて、少しだけセクシーに見えなくは無いが、許容範囲だと思うことにした。


「紗奈。大丈夫?」


 試着室の前から声をかけて、紗奈が出てきてくれるのを待つ。顔を出した紗奈に水着を渡すと、紗奈はニコッと笑った。


「うん、ありがとう。着てみるね」

「うん」


 千恵美の方も水着は決まったらしく、「買いに行く」と言って、レジの方に向かう。


「俺も行くよ。二人は仲良くねー」


 春馬はそう言うと、彼女の背に軽く手を添えて歩いていく。千恵美が照れて縮こまっているので、悠まで少し頬を染めてしまった。


「そ、そっちこそ……」


 あれで付き合ってもいないのか。と悠は思うが、色々と事情があるのだろう。そう思いなおして、大人しく紗奈から声がかかるのを待っている。


「悠くん」


 紗奈に呼ばれたら、悠はすぐに顔を見せる。


 思った通り、胸元は少しだけセクシーだったし、背中のバックリボンは可愛らしいが、そこそこ広く開いている。丈もやはり短めだ。


「んー……。嫌だけど、ビキニよりはマシ」

「まだ駄目?」


 紗奈が首を傾げると、悠は複雑そうに唇を尖らせる。


「これくらいなら。可愛すぎて独り占めしたいけど」

「もうっ。サラッとそういう事言うんだから」


 紗奈は少しだけ照れて、水着を決定してくれた。しかし、ビキニ姿も悠に見せたいようで、二着買うらしい。「見るのは悠くんだけだから」と言って最初に気に入ったセーラービキニを選んだ。


 悠からしても刺激が強すぎるので勘弁してもらいたかったが、それを事細かに説明するのは、恐らく精神的に死んでしまう。


 悠は大人しく、紗奈がレジに行くのを見守った。


。。。


 目的の水着を買い終えた後は、服を買う。それが済めばやっと、菖蒲達と合流した。


「お疲れー」


 菖蒲は疲弊している悠の肩に手を置いて、コソコソと話した。


「紗奈の買い物、そんな疲れた?」


 菖蒲は、紗奈といる時には滅多に見せることがなかった、悠の疲弊した顔が気になったらしい。心配そうに悠を見つめている。


 悠は小さなため息をついた後、こう言った。


「買い物がって言うか……色んな意味で刺激的だった……」


 悠はチラッと春馬の方を見ると、ほんのりと頬を染める。そして菖蒲は、悠の言葉を誤解して、拗ねるように言った。


「結局惚気かよ」

「菖蒲くん。さっきから悠くんと内緒話してる。ずるい!」


 紗奈がぷくっと頬を膨らませるから、菖蒲は「はいはい」と苦笑しながら手を離す。解放された悠も、今日は困ったように笑っていた。


。。。


 お昼を食べた後は、約束通り全員でお店を見て回る。旅行用の日用品や、みんなで遊ぶための道具なんかを買った。


「ジャーン!」

「ちょっと、ここで開けないでよ」


 封は切っていないが、買ったばかりの商品を袋から取り出して、菖蒲が悠に見せつけるように差し出してきた。


 その商品は、プールや海が駄目な悠でも水遊びが出来るように。と寛人が提案した、水鉄砲だ。


「人数分買ったから、これで小澤も遊ぼうな」

「うん……ありがとう。でも、今はしまって」


 気持ちは嬉しいが、一応店中なので買ったものを出すのは良くない。菖蒲は「ちぇ」と唇を尖らせて、水鉄砲を袋の中にしまう。


「後は買うものある?」

「とりあえずは大丈夫じゃない?」

「でも、せっかくだからもうちょっと遊ぼうよ」


 千恵美の提案で、買い物の後もアイスを食べたり、ゲームセンターに寄ったりして過ごした。せっかく渋谷に来たのだから、お洒落な映えスポットという所にも行った。


「次に会えるのは交流会だね」

「うん! 今日は楽しかったよ」

「またね」


 夏休みに彼女と、友達とショッピングをする。悠にとっては初めての事で、物凄く楽しかった。以前の塞ぎ込んでいて卑屈な悠からは考えられなかった出来事だ。


「交流会も楽しみだね」


 自然とそう言って笑みが浮かぶ。本当に楽しみだ。これから、暑く楽しい夏休みが始まるのだ。

※予告通り、明日から1週間更新をお休み致します。よろしくお願いしますm(_ _)m

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