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ナイショの王子様  作者: 朱空てぃ
紗奈の誕生日
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第95話 贈り物選び

 義人と約束した土曜日。


 約束した通り一時頃に、悠はマンションの前にやってきた。エントランスで真人と一緒に待っていたのか、悠が到着したらすぐに出てきてくれる。


「真人さん。今日は義人くんをお借りしますね」

「うん。よろしく。門限は五時だから」

「わかりました。それまでに帰るようにします」


 義人は悠の足にピタッとくっつき、こちらを見上げてくる。


「にーに、今日は目がある」

「目はいつもあるんだよ。隠してるだけで」


 悠はそう言うと、義人の手を繋いで歩き出す。今も悠の目をジーッと見ていた義人に、悠はちょいちょいっと真人の方を指して、挨拶をするように促した。


「いってきまーす!」

「はい。いってらっしゃい」


 ショッピングモールは歩いて十五分程。しかし、中は広いのでどこに行こうか迷っているうちに時間は過ぎてしまう。早めに決めなければ五時なんてあっという間だろう。


「義人はねーねに何を買いたいの?」

「あのね。ねーね、最近カチューシャ好き」

「そうだね」


 悠が「一番好き」と言ったから、紗奈は学校ではずっとカチューシャをつけている。ホワイトデーの日にしたデートを思い出して、悠は思わず口元が緩んだ。


「カチューシャか。アクセサリーショップでも見に行く?」

「うん!」


 リーズナブルなアクセサリーショップは、中高生が多くいる。男と子どもで入るのは少し恥ずかしかった。チラチラとこちらを見てくるのだ。恐らく悠の容姿の事もあるのだろうが、男だけでここにいるのは珍しい。


「いらっしゃいませ。プレゼントですか?」


 店員がニコニコと、綺麗な営業スマイルで話しかけてくるので、悠は義人を抱え上げてこう答える。


「お姉ちゃんの誕生日プレゼントに、カチューシャを買いたいんです」

「まあ、ボクが?」

「うん! お小遣いこんくらい。」


 持っていたポシェットから取り出したのは、千円札だ。実は今朝、真人がジャラジャラとした小銭を千円札と交換してくれた。ちなみに、本来だったら義人の予算は六百二十四円である。


「そうですね。千円以内で買えるカチューシャならこの辺りでしょうか。少し予算をオーバーしてもいいなら、この辺りのカチューシャも人気です」


 安いカチューシャだと、今紗奈がつけているようなシンプルな物ばかりだった。少しお洒落な形だったり柄だったり、リボンがついているような物だと多少値が張る。


「義人で買えるのはこの辺だって」

「んー……。これ可愛い」


 悠に抱きかかえられたままカチューシャを品定めしていた義人が、ふと一つのカチューシャに指を指す。


 太いタイプのカチューシャで、真ん中で交差している形の、水色のカチューシャだった。


「義人。ちょっと、これ千五百円だぞ」


 五百円オーバーしている。義人のポシェットの中身は、どう足掻いても千円札が一枚だけだ。これでは買うことは出来なかった。


「これ買えない?」

「お金が足りない」

「足りない……。お手伝いしても?」

「え?」


 義人のお小遣いは、こつこつと由美のお手伝いをしたり、真人が言いつけた勉強を頑張ったご褒美で貯めたものだった。


 そのせいか、義人はお手伝いをすればお金を貰えるもの。と思っている。


「……そうだな。じゃあ、俺のお手伝いしてくれたら、五百円あげる」

「何する?」


 お皿洗いや洗濯物を畳むなどの手伝いは、ここでは出来ない。悠の要望は一つだけだった。


「俺もお姉ちゃんへのプレゼント、悩んでるんだ。一緒に選んでくれる?」

「うん! にーにもカチューシャ?」

「義人もにーにもカチューシャじゃ、ねーねがどれ付けようって悩んじゃうだろ?」


 くすっと悠は笑って、義人は抱っこされたまま首を傾げる。


「何あげるの?」


 義人を降ろした悠は、自分の財布から五百円玉を取り出して、義人の小さな手のひらに落とした。


「考え中。ほら五百円。そのカチューシャ、店員さんに渡しな」

「うん! お願いします!」


 また悠に抱っこしてもらった義人が、会計台にカチューシャとお金を置く。


 すると、店員が可愛いラッピングでカチューシャを包んでくれた。本当は五十円かかるメッセージカードまで無償で添えてくれたので、感謝しかない。


「す、すみません!」

「いえいえ。特別サービスです。本当は会員だけのサービスなんですけど、二人が可愛いから私のカードをこっそり使っちゃいました」


 こそこそと耳打ちで教えてくれた店員に、悠は頭が上がらない。


「お姉ちゃん、喜んでくれるといいですね!」

「はい! ありがとうございます!」

「本当にすみません。ありがとうございました」


 専門店を出た悠は、はーっと息をついて、大事そうにプレゼントを抱える義人の手を繋いで歩いた。

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