第7話 50番コロニー
更新のお時間です\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/うほぉ
前回までの星屑達は……
33番コロニーから避難の最中サイキは幼馴染のカナミと出会う。
彼女とは幼い時喧嘩別れした以来だった。
サイキはカナミとの再会で積もる話があったが、その話をする間も無く、軍関係者に呼び出しを受けてしまう。
呼び出された内容は軍における機密兵器の、搭乗実験だった。
確実に軍の機密に関わっていく……その事に彼女は内心不安で一杯になっていた。
「すまんなサイキ。これが完成すればあの連邦との戦力差も一気に狭まる。この機体が常備する武装から見てもな!」
何故か独房から出されている父からその言葉を聞く。
それとほぼ同時に、コロニー到着のアナウンスが響く。
『報告します……後5分ほどでコロニーに到着します。50番コロニーは高低差1500メートルの、自然豊かなコロニーです。主な産業は畜産。人口3億の資源生産を主とする超巨大なコロニーです。コロニー内部は求人も多数あり、新築物件も豊富です。尚到着後、次に目指すのは57番コロニーになり、到着は翌日となります』
そのアナウンスを聞いて、声質から『カナミ!?』と驚きが隠せない……
何故彼女がマイクアナウンスを任されているのか……そう思うと謎しか無い。
しかしアナウンスを聞いた、ドレイマン中将の心象は非常に良かった。
「ほう……軍関係者に情報通も居たもんだな。我が国家のコロニーの詳細を明確に語れるなど……。それもこんな本国から離れたコロニーで……非常に有能では無いか」
『そう言えばコロニー到着というそんな時刻か……連邦の襲撃も無く無事航行出来たな』とドレイマン中将は、何かを安心しているようだ。
『下船時にお荷物をわすれないようにお願い致します。この船は定期船ではございません。軍の大型戦艦を人道援助として使用しているものでございます。お忘れになられた荷物は、軍にて処分されますので、必ずお手に持て下船をお願い致します』
「うむ……素晴らしいな。軍のことも上手くアナウンスに混ぜておる。なかなか出来たものでは無いぞ?そう思うだろう?グレゴリ大佐」
ハラハラドキドキしながら、ドレイマン中将の言葉を素気なく躱す。
そして少しでも早くカナミの元に行けるようにと……怪しまれない様に話をした。
◆◇
「ちょっと……カナミ何であなたがアナウンスを?」
「え?あのドロシーって人に頼まれたの。サイキと一緒にいた時の事を見ていたらしくって……。仕事でマイクアナウンスする仕事をしないかって言われて……支給品もあるって言われてつい」
そう言ったカナミの家族を見ると、何故か軍関係者が食べる兵食を食べていた。
食べているそれは、軍関係者用の機内食だった。
「ちょ……ドロシーさん……兵士用の機内食を勝手に配布って……それも一般家族に!流石に怒られますよ?」
「大丈夫だって!予定外の事でどうせ人手が足りないんだ。予定時刻が遅れるより、この方が遥かに怒られないはずだよ!ボランティア!ボランティア!!」
そう言われ周りを見ると、確かにスムーズに下船を始めている。
職探しをする人が多い上に、コロニーの総人口まで言ったカナミの情報は非常に助かった様で、カナミ自身は周りから色々質問攻めに合っていた。
そしてドレイマン中将に誉められたドロシーは超絶ご機嫌だ。
そんなカオスな状況下で、軍から軍関係者へ向けてアナウンスがされる……
『軍関係者に報告。50番コロニーでは1時間後に搬入作業があります。その際タイタンの搬入も同時に行います。タイタン乗りは自分の機体を受け取る様に』
「お!搬入か……流石に33番コロニーでは出来なかったからな。ぶっちゃけ心配してたんだ」
そうドーガスが言う。
その理由も簡単だ……乗組員の食料を避難民に分け与えたのだから、その総数が減るのは当然だったからだ。
避難民の多くは、無一文でコロニーを追われる事が多い。
ドーガスは搬入品で喜んだものの『搬入の手伝いか面倒だな』とぼやいた時、ドロシーに『お前手伝いも何も手伝う為の機体がねぇじゃん』と痛い所をつかれた……
そして、自分の機体を失ったことを思い出し『あれは大失態だ……』とぼやいていた。
だが次の報告で態度が豹変することとなる……
『続いて搬入されるタイタンです。高機動型ゼイクS強襲型機、高機動型ゼイクK強襲型機、ゼイク強襲型、ゼイク偵察型2機、ゼイク爆撃型2機となります。続いて新型ロールアウト機体、バウンディSK58–10型1機、SK58-11型1機、SK58-12型1機です。個人宛の通知からパスワードを取得し、速やかに起動チェックを済ませて下さい』
「ま……マジか!減俸も覚悟してたのに……ちょっと自室でパスワード来てるか見てくるぜ!!高機動型ゼイク……ゼイクKだ……俺間違いねぇ!!」
「おい……ドーガス……待てよアタイも行く!!バウンディってなんだろう……ロールアウトの新型って言ってたぜ?まさか……新型はアタイのかな?」
どうやらドーガスを笑っていたドロシーも、自分の機体を撃墜され失っていた様だ。
撃墜された上で命が助かったのは運が良いことだ。
しかしタイタン乗りが仕事である機体を失ったら、もはや何にも役に立てない事を見に染みて分かっていた様だ。
その様は今の報告で一目でわかる態度だった。
◆◇
『ガシャン……ガシャン……ガシャン……ウィィィン………ズズズン……』
「おいドーガス。あっちのコンテナも頼むぜ!」
「おうよ!任せておきな。俺のバウンディちゃんがなんでも運んじゃうよ!」
「噂のバウンディか……可変機構付きタイタンって噂は本当か?」
「なんだ?しらねぇのか?バウンディは変形できちゃう可変機構付きタイタンなんだぜ?それも高機動型ゼイクの二倍の出力で移動できるんだ。なぁ?サイキ……」
「んぎ……んぎぎ………モービルワーカーより操作が難しい……何このバウンディって!!」
私は独房でお昼寝中の父に変わって、可変機構付きタイタン・バウンディを受け取り搬入の仕事を『させられている』……
だが非常に腹立たしい。
その理由は当然『ドーガス』に他ならない……
『父親の新機体を受け取るのは娘の役目だ……』と言う言葉までは受け入れた………
しかし『動作チェック』は嘘ばかりだ。
動作チェックと言う名の『強制労働』が待っているなど、私は夢にも思っていなかった。
結局私は夜勤から寝ることもなく、強襲を乗り越えてから強制労働に勤しみ、働き詰めの為もはやその怒りは120%だ。
「サイキ、それが最後のコンテナだ。コンテナハンガーをつけたら終わりだぞ!ほれほれ!さっさと終わらせろ。いい加減日が暮れて夜になっちまうぞ?」
「んぎぎぎ!!……むか……つく………覚えてろ……ドーガス……」
「それにしても嘘みたいだね……タイタンもワーカーも扱えるのに……可変機構付きの適性はゼロってさ!」
「俺もそれ思ったよ。確かにレバーコントロールには若干癖があるけどよ?そこまでじゃねぇよな?」
「ってかアタイは寧ろコッチ派だね。思ったようにドンピシャで動かせるもん……」
私はなんとかコンテナハンガーをセットした後、その場で突っ伏した途端、集中力が切れたため爆睡してしまった……