第6話 カナミ
更新ですぞー!_(:3 」∠)_昨日更新わすれちった!!
前回の星屑達は……
危険な戦闘を終えたサイキは、偶然新型タイタンの確認に来ていたサイコミュー博士と、ドレイマン中将と出会う事になる。
しかしその出会い方は、義父グレゴリの軍規約違反というものだった。
運が良い事はサイコミューの提案で、規約違反の件はサイキの軍役を持って話がついた。
しかしその安易な考えは、大きく彼女の運命を変える事になってしまうとは……この時のは思ってもいなかった。
家族が離れ離れにならないか心配な私は、友人のカナミに声をかける……
「カナミ……家族と離れちゃうけど……大丈夫なの?」
「大丈夫!っていうか……サイちゃんに謝るのにちょうどいいわ。幼いとは言え……絶交だなんて言って御免なさい。あの時の幼い自分が馬鹿だったわ」
「そんな事ない!!悪いのは私だもん。それに……」
私はうっかりそれ以上の話をしそうになる……
カナミも『それに』の言葉に引っかかりを覚えたようだが、強く追求はしてこない。
お互い大人になった証拠だろう……今軍属としてマイクガールをしている私をみて、『おおよそ』の事は把握出来たようだ。
その理由が『義手』になるのは言うまでもない。
お互いの欠損部位はほぼ同じ、私が上腕で彼女がその少し上程度の問題だ。
だからこそ幼い頃馬があったのもある。
「って言うかサイちゃん、もう最後尾が折り返しで見えてきたよ!」
「本当だ。やれば出来るじゃん!皆さん……」
カナミはその言葉に『どんだけ上から目線よ!』と笑う。
「じゃあ私達も中に入りましょう。後は最終確認だから、正規兵さんに任せて」
そう言って私達は、戦艦搬入デッキに入った。
◆◇
搬入デッキには、待機場所の割り振りが決まってない市民が溢れていた。
軍役についた関係で私もその対処に追われるも、カナミは見るに見かねて手伝ってくれた……
しばらくすると艦内アナウンスが響き、発艦報告がされる……コロニーから無事出発できたようだ。
戦艦の搬入デッキにいる市民を、安全な場所へ移動させる仕事はなかなかの重労働だった。
人道援助とは言え乗っている船は戦艦であり、民間のコロニー間定期連絡船では無い。
到着まで個人部屋が与えられるわけではないので、その件の文句が多かったからだ。
そもそも個人部屋を与えると、その有無で揉めるのは見え見えなので、全員一律で雑魚寝である。
そして仕事を手伝ったからとて、カナミ達家族に部屋が与えられるわけではない。
「こっちこっち……私の部屋があるから、私が居ない間は家族はそこで過ごすといいよ。57番コロニー迄は聞いた限り割と遠いから。一応周りの人には内緒ね?」
私はそう言ってカナミを部屋を案内する。
何故こうしたかと言うと、私の睡眠場所は脳波計を測る為、サイコミュー博士達のいるラボになっているのだ。
サイコシナプス脳波測定とか言う物の関係で、暫くはそうするそうだ。
だからこそ夜は、全く誰も使わない空き部屋になってしまう。
「でも……それは軍の規律で怒られないの?」
「さぁ?」
ワタシが『さぁ?』と答えると、カナミは目を丸くする。
「実は突発的理由で昨日軍属になったばかりで……細かい仕組みは分からないのよ」
何故かそう嘘を言う……今日なったばかりなのに、1日前を装った意味が自分でも分からなかった。
そしてそれを聞いたカナミは『うん……聞かなかった事にする。部屋は遠慮なく使わせて貰うわ』と言ったので、若干気を遣っている可能性もある。
一応次のコロニーへの着艦は1時間13分後。
多くのストレスを抱えた市民が相手だ……ごちゃごちゃと問題が起きる前に、カナミの家族探しをせねばならない。
「家族の居場所は私にもわからないから、見つけに行きましょう?次のコロニーでは多く降りるだろうからそれまでに居場所を見つけないと」
そう言って戦艦搬入デッキを出ると、浮き上がって天井に頭をぶつける。
「あ……たぁ………」
「大丈夫?サイちゃん……もう宇宙空間航行中だよ?ちゃんとハンドエスカレター掴まないと……」
「あははは……はは……ウッカリしてました………」
そう言った瞬間館内アナウンスが響き渡る。
『特務室より急電、特務室より急電。サイキニ等兵、サイキ二等兵タイタンハンガーまで至急。繰り返す………』
「サイちゃん……何したの?」
「知らない……まだ何もしてない!……多分……」
◆◇
私はカナミと別れ、まだ慣れていない迷路のような艦内を進む……
宇宙空間は慣れていないので、私はハンドエスカレターを掴み損ね、何度も通路の天井に頭をぶつける。
「あ……たま……痛い………サイキ現着しました」
格納庫はモービルワーカーの作業場感があり、ついそう言ってしまう。
「声が小さい!それに遅いぞ二等兵。性根が弛んでおる!!」
「は……はい!!申し訳ありません!!」
私は力強くそう答え、声の方向を見る。
声の主はドーガスで、その表情はなぜか言葉とは真逆で非常に上機嫌だ。
「くぅ!このセリフを一度ー言ってみたかったんだ……あれ?どうした?サイキ………」
「あのね……ドーガス。サイキにそんな可哀想な冗談を言って……。例え冗談でも、隊長に怒られるのはアンタだよ?覚悟しときな……」
ドーガスは縫ったばかりと思われる、痛々しい頬傷を引き攣らせながら、『サイキ……冗談だ。隊長には……秘密な?』と言う。
『どうやら私は、笑えないこのお笑いに付き合う為に急いで走って来たのか……』と思った。
しかし実際はそうではなかったようで、破壊された連邦の機体の中から声をかけられた。
「おっと待たせてしまったね……ごめんねサイちゃん。いやぁ実は下半身のチェックしたくてさ!」
「か……下半身のチェック!?」
「おい!!サイコミュー博士……必要な言葉と説明を端折りすぎだ!!仮にも年頃の女性であるぞ。馬鹿者め!!」
そう言ったのは、ドレイマン中将だった。
ドレイマン中将と言えば、新造戦艦及び新タイタンの監査でコロニーを訪れていた、地位の高い公国関係者だ。
「すまんな。此奴は頭は良いのだが、総合すると結果的に馬鹿なのだよ……」
そう言ったドレイマン中将は、先だって鹵獲したブルーオーガと、下半身のまだ無いタイタン鋼鉄の乙女・セラフの兵装合わせ実験を説明した。
「……と言うわけで、高機動で有名なブルーオーガの機体とセラフが合成可能だと言うことがわかった。君にはサイコミュー博士が企画設計している、ESPKフィジカルテストをお願いしたくてね」
「そうそう!サイキちゃん。だからそこにあるパイロットスーツを着てきくれるかい?そのスーツは主にESPKを感じ取りやすくなる仕組みが織り込まれているんだ」
そう言われて、箱から出てもいないスーツケースを受け取る。
そもそもサイズも見てないのに、中の物が着れるかどうかも分からないのだが……と言いたいがそんな空気ではない。
何故ならパイロットスーツのケースは様々な種類があり、『どれかはサイズが合うだろう……』という感じで並んでいるからだ。
中のスーツは至ってシンプルで、通常のパイロットスーツと同じだ。
だがメットだけは特別性だった。
『また球体の中で怪しげなケーブルに繋がれる……』と私は半ば覚悟した……
勝手に乗り込んだ時は、怒りが自分の行動を後押ししてくれた。
しかし後々考えると、ケーブルをつけた直後から、全身が痺れるような感覚があったのだ。
しかし父の為にも選べる選択肢がない……指示を受けたままセラフの機体のコクピットに乗り込む。
ちなみに機体の下半身は主要箇所をケーブルで繋いであるが、その場凌ぎ間は隠せない。
『ESPKフィジカル・ミューテーションを確認。フィジカルアームverチェック。感度データ更新、再起動まで10……9……8』
「どうかね?サイキくん……」
サイコミュー博士は何故か実験になると、私を『君付け』で呼んだ……
多分それがスイッチが入った証拠なのだろう……先程迄の適当さを感じさせないからだ。
「はい……360度全体を見渡せます……足の感覚があると言うか……動かす感覚がある?……なんて言ったら良いんでしょう……後……痺れる感覚は薄らいだような……」
「……ほう……反射神経感覚と痺れか……。ふむ……じゃあ足首から先だけ動かしてくれるか?サイキくん……」
そう言われて足首から先を動かすと、離れた所にある破損した機体の足首が稼働していた。
「う……動いてる……あんな先にあるのに……あれ?……え?なんか感覚もあるし変な感じ……」
「先程から『動かしている感覚』と言うが……もっと詳細に話せんかね?サイキくん……」
私は博士のその要望に、ありったけの語彙力を使い話をする……
その熱意が伝わったかどうかは不明だが、サイコミュー博士の興奮はマックスだった。
「目立った痛覚はないが……痺れる感覚がある。幻肢覚の延長……機体にまで伸びた感覚……ふむ……脳波データから見て間違いなくESPとPKだな。……その脳波長であるのは間違いがない。これは……パーツをつけた幼少からの関係か……ブツブツ」
「それで?どうなのだ?サイコミュー博士。このオーガとの連結は……可能なのか?だとすれば稼働スピードや行動ステータスにどう影響する?」
「ブツブツ……え?連結?可能ですよ……見たままですね………コクピットつければ一般兵の兵装になるんじゃないですか?」
「『なるんじゃ無いですか?』じゃ無いだろう……そこが重要なのだ。おい!聞いてるか?博士……」
しかしサイコミュー博士は『ゲインは上昇値1.7だが反応速度は1000%?なんだ……この異常数値は……これは……オーガ機だからか?それとも……。おい馬鹿兵士共、下半身は何故破壊した……数値が取れないではないか!!』とお互い別の意味で憤慨している……
「作業班、一先ずこのブルーオーガとセラフ上半身を連結させろ。外装は破損している使えそうな機体から剥がしてでも仕上げろ!」
「は!ドレイマン中将様。直ちに作業に取り掛かります」
その会話を聞いて、降りても良い許可を得た私はコクピットから出た。