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『第5話 父の想いと重なる気持ち』

こんにちわ!今日はコロナ検査で遅くなりました!もう16時!!ꉂ(≧∇≦)


前回までの星屑達……


母を殺し、39番コロニーを襲撃したタイタンを発見した主人公は、セラフを起動し攻撃を仕掛けた……



しかしその攻撃はコクピットを貫くには至らない……


何故ならコンテナが邪魔をしていたからだった。


危機を察知した連邦兵は脱出機構を使用して逃げてしまう……


追いかけるにも下半身の無いタイタンは動くことさえ叶わなかった……


「お……お義父さん御免なさい……」



「…………何故乗ったとは聞かない。そもそもお前の義手はあの新機体の為のパーツで他ならない。お前が可愛いから、碌に調べもせずについ手新技術にを出した……。全ては父さんの責任だ」



「ええ!そうですよ。全部グレゴリさんの責任です!ですがサイキさん。貴女のお父様は心の底から貴女を愛している」



「その出まかせしか出ない口でよく言う……サイコミュー博士……」



「グレゴリ隊長、嘘では無いでしょう?だから『サイコミュー式サイコシナプス・フィジカルESPKアーム』を『予定数より余分に作ってくれ』と直接『私が』お願いされたんですよね?まさか……娘の為だったとは思いませんでしたが……」

 

 父の親バカ加減は、話を聞く限り意外だった。


 顔を合わせると、喧嘩していた記憶しかないからだ。



 だが父の事が『それだけ嫌い』と言うわけではない……義父グレゴリの見せる優しさが心苦しかったのだ。



 失った娘の代わりに自分が生きている……


 本来その愛情を受けるのは、グレゴリの死んだ娘であるのだから……



 それを言葉にして伝えれば、グレゴリは『気にするな』と言うに決まっている。


 最早解決法は無く、どうする事も出来ない事……それが分かるだけに非常にジレンマを感じるのだ……



 私は父と話す博士に質問をぶつける……



「サイコミュー博士……私が軍属志望の書面のサインしたら……本当に父も無事なのですか?」



 そう聞くと、サイコミューは真横を見て『ですよね?』と言う。



「サイキと言ったな。それは間違い無い。このESPKシナプス計画になくてはならない存在……。唯一の成功例が君だ」



「それがグレゴリさんの娘ともなれば、流石に無下にはできませんよねぇ!?まぁ軍法会議は避けられないでしょうが……」



「じゃあ……言ってることが違うじゃ無いですか!!」



「軍法会議は『形だけの物』と言う意味だ。安心しろサイキ……」



 義父は私の肩へ手を置き、そう静かに答える。


 父が重要ポストに付いているとは夢にも思っていなかったが、その認識の差は今でもすぐには埋まらない。


 

 それだけに、軍内部機密事項の職務規定違反で投獄されるのではないか……と不安で仕方ないのだ。



「そもそも我が軍のエースパイロット、黒狼・グレゴリ大佐の損失など考えられんがな……。それにしても……黒狼がまさか此処まで親バカとはな……そう思わんか?サイコミュー博士」



「それには私も同意しますよ……ドレイマン中将様。まさか報告した件が部下の為では無いとは……あの泣く子も黙るカタブツの黒狼が……ふっふっふっふ………」



「う……煩い!サイコミュー博士……そもそもあの件は出来る限り内密にと言った筈だぞ?その見返りに、お前が必要としていたルナ資源確保の戦略立案と、採掘調査を買って出たでは無いか!!」



「そんなこと無理に決まっているでしょう……最重要軍事機密ですよ?数を多く生産すれば、適応者配布先としての名を挙げる必要がありますよね?」



 そう言ったサイコミュー博士は『貴方にわたした分は、実験失敗として報告しただけでもありがたいと思ってくださらないと!』と言う。


 それをみたドレイマン中将は、『やれやれ……またか……』言う素振りを見せる。



 何やら不穏な空気が流れるが、自分の義手は最高機密だった様だ。


 それをあえて外装だけ市販品に見立てて設計し、グレゴリは私へプレゼントした訳だ。



 どれだけ義父は滅茶苦茶な事を言ったのかと思うと、のし掛かっている親御が末恐ろしい……



 しかし父がつい口を滑らせた事が、新たな問題を起こした様だ。


 何故なら、ドレイマン中将と呼ばれた軍のお偉いさんが、呆れて父を見ているからだ。



 軍の役職に疎い私でも、周りの言動で相当な相手と話をしている事だけは容易に想像がつく。


 そのドレイマン中将は意地悪く笑い、グレゴリに話をする……



「なんだと?グレゴリ大佐……お前……あの戦略の指揮を取ったのは娘の為か?……」



「あ……いや……コレはですね………ドレイマン中将殿………は……ははははは……」



「まぁ良い……結果的にお前の行動で、とんでもない実証報告を受け取れたんだ。その上収穫もあった。壊れているが連邦機の鹵獲も出来たんだ……それがあのブルーオーガだと解ればな!」



 流れる空気には、若干だが緊張感が薄れてきた様な感じを受けた。


 私は意を決して、必死に言葉を口から押し出した……



「もし……義父の件が穏便に済むなら……兵士でも何でも……私はなります……」



 その一言をずっと待っていたのだろう……サイコミュー博士は『ひょぉぉぉ!ほっほっほ!!そうで無くては!サイキさん』と言いながら、踊る様にぐるぐると周り出す。



 そして机の上にあったファイルと引っ掴むと、私に前に突き出した……



「では……このサイコミュー機関への入隊書面にサインを!お父様の事は私に任せて下さい。なに……2日程度は懲罰房に入りますが、形式的ですよ!ご飯もお風呂も問題無いです!何ならサイキさんの面会だって!」



「おい……サイコミュー博士それでは懲罰房の意味がないだろう?」



「え?何ですか?ドレイマン中将。えっと……確か今日は『お忙しい』筈だったでしょう?さぁ私の仕事の邪魔ですから、もうお引き取りを!」



 サイコミュー博士の異常ぶりは、今の一言で既に理解できた。


 自分の目的の為なら、軍の規則などクソ喰らえと言う感じなのだ。



 上層部の人間でさえも、自分の目的にために呼びつける鬼畜っぷりは、見ているだけで痛々しい……



 しかし父はどちらかと言えばドレイマン中将側だ……


 私と父は水と油なので、そういう意味では博士と私は仲良く出来そうだ……とは口に出して言わない。



 何故なら、義父グレゴリの刺さるような視線が痛いからだ。



「おい……サイコミュー博士。お前に任せなくても俺は平気だ。サイキ余りソイツに近付くなよ?絶対だ!」



 義父がそう言うと、ドレイマン中将は『一先ず2日後に軍法会議とする。今は此処のコロニーを離れるのが先決だ。稼働率が36%で、もはや生命維持もギリギリの数値だからな』と説明をした。



 今の情報はとてもでは無いが、民間人には話すことの出来ない内容だろう……


 しかしサインをした今、ドレイマン中将の顔は軍属の顔になっていた。



「サイキ……事情は前後したが、私は改めて君を歓迎する。共にこの国を守ろうでは無いか……ようこそマゴス共和国軍へ!!」



 ◆◇



 私はサインした後、父と共に重要最優先人物として新造戦艦へ乗せられた。


 名目上は新造戦艦だが、現状は破壊された33番コロニーの人道支援の為に民間人を多く運ぶ艦船になっている。



「乗船入口は此方です!列を守って言い争いせずに乗船お願いします。行き先は50番コロニーそして57番コロニーです。受け入れが決まっているので安心してください」



 私はそうアナウンスをする……乗船したが、何かをしていないと気が狂いそうだったからだ。



 頼みの綱の父親は独房に居て、呑気にお昼寝中だった。


 しかし問題は、その監獄房への出入りが禁止されたことだ。


 『話が違う!』と言いたいが当初の予定には無い『民間人の乗艦』があった為、おちおち独房で合って居られない状況になったのだ。


 だから嫌な事を忘れる様に、仕事にのめり込む事にしたのだ。


「乗船入口は此方です!列を守って言い争いせずに乗船お願いします。行き先は50番コロニーそして57番コロニーです。受け入れが決まっているので安心してください」



「なぁお嬢さん若いのに軍人なのかい?その義手……大変じゃったじゃろう……儂の孫も義手でなぁ……まぁ戦争被災者じゃからお前さんとは違うだろうけどなぁ……なぁカナミ?」



「なぁに?お爺ちゃん。又義手のお話?私は大丈夫!辛くなんかないよ?」



 その会話で相手の顔を見る……



「カ……カナミ!?」



「サ……サイちゃん!?」



 私達は『わー!!』と言ってお互いハグをし合う……



「カナミ!無事でよかった……」



「サイちゃんこそ!……でも此処で何を?まさか軍属に?」



 私は言葉なく態度でそれを示す……



「そうか……そうだよね!じゃないと此処で手伝う筈ないもんね?」



「そうなんだよ……猫の手でも借りたいくらいなんだから!」



 私は『割り込むやつに、列を守らないやつ、何食わぬ顔で紛れ込むやつ……』と冗談を並べる。



「それって全員割り込みじゃん!」


「だから!そうなんだって!!」



 積もる話をカナミとしたいが、残念ながらこのコロニーの着艦時間はあと1時間だ。


 兎にも角にも市民の乗船を急がせないと、空気がなくなり全員酸欠で死は免れない。



「話したいことは山盛りなんだけど……急がせないといけないから……」



「なら私も手伝うよ。だってこう見えたって、イベント管理会社で働いてた実績があるからね!」


 そう言うと、カナミは持っていたハンドマイクを半ば強引に取る。



『皆様、出発までお時間がありません。押さず急がず速やかに前の人に続いて乗船をお願い致します。クレームで列を途切れさせた場合、最後尾へ回って頂きます。ご自分の番号をご確認の上、速やかに列にお並びくださいませ』


 そう言ったカナミは『ムンズ』と私にマイクを握らせて返す。


 まるで私がそう言ったかのように、周りから睨まれるが……私じゃ無いと言えば今度は軍関係者からお叱りを受ける。


 これを俗に『板挟み』と言うのだろう……



「フォッフォッフォッ……流石儂の孫じゃ……お嬢ちゃんホレみんしゃい。『最後尾へ回される』と聞いた途端ダンマリだ。フォッフォッフォッ……」



「それはそうよお爺さん。だってもう此処でも空気が薄いもの。それに乗り遅れたらと思うと……ねぇ?」


 お婆さんはそう言うと、お爺さんの手を引いて戦艦の奥へ進んでいった。


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