第13話 砲撃!
遅くなりました!久々の更新ですꉂ(≧∇≦)
前回までの星屑達は……
グレゴリ達が駆るバウンディは連邦との戦闘に備えていた……
その宙域に現れたのは、新兵器を牽引したサイキが乗るセラフだった。
非常に驚くグレゴリだったが、もはやその宙域から娘を撤退させている余裕はなかった。
何故なら既にグレゴリの搭乗するバウンディで、連邦タイタンへ向けて先制砲撃をしているからであった。
「ゼイク各機はバウンディ・ドロシー機を援護!主要電源であり、マゴス国の機密であるセラフの機体は何としても死守せよ!」
「「「サー!イエッサー!!」」」
「ドーガス、俺たちはドロシーの射撃を確認後、機動性を活かして攻めに出るぞ。宙域5を進んだ後、機体ダミーバルーンを展開。小隕石群で姿を隠し遠距離射撃にて数を減らす!」
「隊長任せといてくださいよ!このバウンディの機体テストに十分なデータをこの俺が出しますぜ!」
ドロシーは『寝言は寝てからいいな!』と吐き捨てると、粒子砲を抱え込む。
「ゼイク……背中の動力パイプを繋げとくれ!」
「ドロシー準備は良いか?」
「エネルギーチャージ開始。60%………80%………接続100%確認。電磁シリンダーにエネルギーチャージ開始」
そう言ったドロシーは『5から』カウントをする……
「目標は敵戦艦、ベアー級……ロック完了!連邦のクソ戦艦……墜ちろぉぉぉぉ!!」
『ドリュゥ……』と音がすると、巨大な光の球が砲塔の先端に出来る……
そしてその球から一直線に放たれた光の束は、あっと言う間に敵戦艦まで到達する……
「く!?はず……した?………」
自分が座標を外し、一瞬我を失ったドロシーはすぐに報告に移る……
何故なら既にグレゴリの隊長機とドーガス機は、攻めに出ているからだ。
「ほ……報告!!目標地点が大きくずれて7時の方向……敵戦艦後部に着弾………」
「ザ……ザザ……ドロシー機は次弾装填急げ。所詮試作兵器だ……外したからとて気にするな」
ドロシーはグレゴリに『次は当てます!!』と言い、狙撃用スコープに集中する……
「ドーガス、ドロシーの狙撃を有効打にする為に俺達が先行して新型の相手をする。集中を切らすなよ?バウンディはゼイク機とは訳が違うぞ」
グレゴリとドーガスは、バウンディのエンジンの出力を上げる。
連邦機に中距離戦闘を仕掛ける為に……
◆◇◆◇
『連邦視点』
33番コロニーを襲撃した艦隊……それは地球連邦のベアー級攻撃型戦艦である……
しかしコロニーで確認された艦船は、通常のベアー級とは異なる点が幾つも見られた。
主砲や副武装、タイタンの離発着のカタパルトデッキ……そして粒子砲対策されたぶ厚い新装甲。
造船された形状は、防御型であるタートル急に近い物だった。
33番コロニーで確認されたその戦艦は、敵国深くへ進軍する為の新造戦艦であり、通常のベアー級に比べると武装が遥かに異なっていたのだ。
黒い戦艦の見た目から戦艦名は『ブラック・グリズリー』と呼ばれ、彼等に与えられた特殊任務用戦艦である。
連邦の基本兵装のタイタン、オルトスを10機。
そして連邦新型タイタンであるブルーセンチネルとESPK試作機であるデュミナスを含め、合計12機のタイタンを与えられていた。
彼等に与えられた任務は、資源コロニーに偽装された軍事コロニーの調査及び兵器の鹵獲もしくは破壊だ。
当然その事は秘密に行う必要があるので、表向きの理由は別にある……
マゴス共和国で行われる『両国の会談に関する為の周辺コロニーの事前調査』が寄港の名目だ。
しかし彼等に想定外の事が起きた……
そのコロニーでは新機体の開発だけでなく、新型戦艦の開発も同時に行われていたのだ。
当然彼等は、与えられた任務に従い強襲する。
しかし逆に、新兵器のブルーセンチネルを破壊されてしまう……
結果、彼らは33番コロニーを襲撃したものの目的は達成出来なかった。
だが任務も果たせず、与えられた新型タイタンを失った状態で無様に帰国できる訳もない……
彼等は同時進軍していた補給艦から機体補給を受けた後、先回りして57番コロニー宙域まで強行軍した。
当然そこは自国領では無く、敵国宙域である……
だからと言って引き下がる訳にはいかなかった。
何故かと言えば、発見した新兵器の機体性能が異常な程高かったからだ。
その機体と新造戦艦見失えば、連邦にとって脅威になると判断した。
その結果、マゴス共和国へより近い宙域に踏み込んでいた……
◆◇
「1番隊、臨時指揮官機ラームより報告。ブラックリザード隊、全機宙域待機完了」
「2番隊指揮官機モーンス続いて報告。ブラックグリフォン隊、全機宙域待機完了」
「アイナ機より報告!デュミナス速やかに予定宙域に出撃。現在待機中……」
各部隊の隊長から通信がなされる。
それを聞いた艦長から、彼等に状況説明と作戦方針の変更点が告げられる……
『予定コースの割り出しでは、マゴス共和国新戦艦はこの宙域を通過する。今回の任務は鹵獲ではない……新型敵戦艦を含め、全ての破壊だ。新型との戦闘は避けられない』
「艦長……マジですか?敵新型の鹵獲も無しなんすか?」
「33番コロニーへの襲撃前に話してた『鹵獲した奴がそれに乗れる』ってヤツは……無しなんですかね?隊長」
当初は鹵獲予定だったが、今となってはそれも難しいと踏んだ艦長は鹵獲から破壊へ作戦を変更していたのだった。
そして艦長の代わりにその質問に答えたのは、ブルーセンチネルを操作していたパイロットだった。
『仕方ないさ……。我々は既に一度任務に失敗した。マイキー、お前も観念して艦長の命令に従え』
「それはテイラー隊長のセンチネル撃墜が原因じゃないっすか!俺敵国の新型楽しみにしてたのに!」
「そうっすよ。それにテイラー隊長の機体補給も間に合ってねぇし!鹵獲して使った方が早えんじゃねぇですか?」
部隊の部下達が思い思いに通信を入れる中、通信士から回線割り込みが入る……
『通信士から報告!識別不明の敵機体を確認。テイラー中佐……無駄話は終わりにして下さい』
『マイキーそこまで言うなら、新造戦艦を破壊する作戦を成功させた上で敵機体を破壊せず鹵獲しろ。話はそれからだ』
「ち……結局そうなるのかよ……まぁいいけどよ!んで?識別不明ってあの新型以外に何があるってんだよ!」
マイキーがそう愚痴を溢した瞬間、未確認不明機付近から閃光が起きる……
そして直後に通信士から緊急回避命令が下された。
『前方から高出力兵器反応!!直ちに全機回避行動』
連邦11機のタイタンパイロット達は、その報告に驚きが隠せなかった……