第12話 戦闘宙域
こんばんわー星屑の更新もしまーす!\( ॑꒳ ॑ \三/ ॑꒳ ॑)/
前回までの星屑達……
カナミは念願の義手を手に入れた……
その腕はサイキとカナミが喧嘩別れする原因となった物だった。
だが、その素性が知れた今、カナミは心からサイキに謝罪していた。
とは言っても、お互い小さい時にあった出来事だ……
そんな中、サイキは冗談でカナミにパイロットヘルメットを被るように勧めてしまう。
カナミの持つ特性と、サイキの持つ特性……双方に大きく違いが出ていたのだが、お互い気づく事はなかった。
お互いが笑い合うと同時に、突然コードレッドが艦内に響き渡るのだった……
グレゴリは仲間に注意を促す………
「ドロシー、ドーガス……やはり新型だ。全方位に気を配れ……絶対に集中を切らすな」
「何なんだってんだ!!やっとブルーオーガをぶっ潰したってのに!」
「隊長!索敵望遠モニターで確認。今度の相手は赤い奴だ!形はオーガ型……今共有します!」
「「何だ……これは!?」」
グレゴリとドーガスの驚き声が被る……
そこに写されていた機体は、自分達が死ぬ気で守ったセラフと同じ形をしていたのだ。
赤いセラフ……それが意図する所は、同じ技術を既に連邦が得ていたと言う事だ。
「隊長………セラフっすよね?コレ……。まさか既に鹵獲されたって事ですか?ってかマゴス国はアレをコロニー別に複数機作ってたって事っすか!?」
「違うな………ドーガス。あれはコロニーを急襲した際の鹵獲機体ではない。鹵獲しても……アレには専用パイロットが必要なんだ……整備程度の問題では無いだろう?」
「じゃあ!……じゃあ!!なんでアレが向こうにあるんですか!?隊長!!」
ドーガスの言葉に、隊長の代わりにドロシーが言葉を挟む……
「ドーガス落ち着きな!戦場でパニックになりゃ死ぬよ。……それに言わなくても決まってんだろう?あのクソッタレのルナフェンリル社だ……同じ技術を地球連邦とマゴス共和国に売りやがったんだ!!」
ドロシーがそう言う中、冷静に状況を把握していたグレゴリは、敵タイタンに相違点を発見する。
「よく見ろ奴の持つ兵装を。アレはヒートウェポンに実弾兵器アサルトキャノンだ。どうやら何か勝手が違う様だぞ?」
そう言われたドロシーはメモリーを巻き戻し再確認する。
しかしドーガスは興奮状態なのか、冷静な判断ができず文句を言った……
「そんな事くらいの違いがなんだって言うんですか?同じ機体に間違いは無いでしょう?」
「馬鹿なのかい!?ドーガス冷静になりな……。あの機体はマゴス共和国の持つ技術とは別物……中に乗ってる奴はアタシらと同じって事さ!」
「だからそれが何だって………」
ドーガスがそう言いかけた時だった、突然開いた通信回線から女性の声がする。
その直後、アサルトキャノンの無数の弾が三人の機体をめがけて飛んできた。
『三人共!!何をボケっとしてるの?散開回避!!』
「く!?」
「ぬあぁ!?」
「くひぃ………!?」
三人は、突然響いた通信回線の言葉に驚きながらも、回避行動に移る。
突然開いた通信回線に戸惑う三人だったが、グレゴリは次の言葉に動きが固まる。
「父さん!大丈夫?」
「!?……サイキ……サイキなのか?」
「ってかサイキちゃん……なんだい?その変な機体は……」
「それって50番コロニーで搬入した……ブルーオーガの宇宙用の足場か?」
ドーガスの言葉にサイキは『変形機構を備えた物のようです。名前はスペースフライヤーと言うそうで、粒子兵器の予備電源にもなるそうです……』と言うが、グレゴリが強引にその会話に割って入った。
「サイキ何をしている!?此処はお前が来る様な場所では無い……戦場だぞ!!」
「知ってるわよ!父さん。私が宇宙空間で満足に動かせるはずはない……。だからこれを父さんに渡す為に運んで来たの!」
サイキはコードレッド発令後、実験に夢中になっていたサイコミュー博士を正気に戻した。
その方法は『ぶん殴る』と言う力技であった事は言うまでもない……
しかしその甲斐があって、『ある武装』を手に入れることができた。
サイキは発艦訓練が待機となったパイロットにお願いをして、その新型装備を届ける事にしたのだ。
そして彼女は、びっくりする三人を放置して早速作業に取り掛かる。
「パイロットの皆さんお願いします!!」
「サイキ、此処からは俺達に任せておけ!通信士、通信回線を直ちに確保しろ!」
「ラジャー!…………宇宙線除去開始………母艦との通信確保に成功!……サイコミュー博士との回線繋がります!」
武装を運んで来たゼイクのパイロット達は、戦艦との交信をジャミングしている通信妨害兵器を除去した……
当然その除去は完全ではない。
しかし一時的でも繋げる事が重要で、その目的は僅かでもグレゴリ隊長機とサイコミュー博士の通信回線を開く為だ。
そしてサイコミュー博士の通信内容は、新武装の事で間違いはない。
『グレゴリ隊長機聞こえますかー?……ザ……ザザザ………残念ながら通信が単線なので一方的に話しますよー?……ビィービビビビ………サイキくんに渡したのは戦艦兵器である粒子砲をタイタン用に小型化したものです。……ザ……ザザザ………クールダウンに60秒かかるので連発はできません。バウンディ爆撃型機……のブツン』
「く!あの博士は……いつも要点を纏めずに話すな……」
「父さん、博士がこの武装はセラフとスペースフライヤーを電源として使えば、戦艦並みの粒子砲を3回撃てるって言ってたわ」
「だからって……何でお前が………」
「だってあの戦艦にいるパイロットで、私しかセラフは動かせないでしょう?」
グレゴリにそう説明がありつつも、どんどんその準備は進んでいる。
サイキは知っている事を何とか伝えようと、必死に話す……
「セラフとスペースフライヤーは『電源扱い』だから満足に動くことも出来ないわ。ドロシーさん……この武器をうまく活用して、戦艦にいる33番コロニーの市民を助けて!!」
「ア………アタシがコイツを撃つのかい!?」
「バウンディ爆撃型しか現状では、この兵器は撃てないらしいの!この兵器は元々セラフ用で、コンソールはバウンディ爆撃機を基礎に使ってるって!まだ試作品だから撃てるのが3回までだって……」
「な!?さ……三発!?……まさか……ぶっつけ本番でそれをアタシが撃つのかい!?……」
「撃たないと……あの戦艦には戦争に関係ない市民がまだいるの。彼等を助けないと!!」
サイキが涙ながらにそう言う……彼女は39番コロニーの惨状をその身で受けている。
ドロシーは自分の顔を思い切り叩くと、その意識を集中させる……
「ああ……もう!仕方ない。このドロシー姉さんに任せときな!!」
「ドロシー姉さん!!」
「ちょ……調子がいいね……!!はぁ……まさにあの親に育てられただけあるよ!」
ドロシーがそう言うと、グレゴリも文句を言うのを辞める。
娘のサイキが戦場に出ている事は許せないが、今はそんな事を言っている暇などない。
選択を一つ間違えれば、多くの市民の命は宇宙の藻屑と消えてしまう。
娘であるサイキの願い云々を言っているのでは無い……マゴス国の大佐の地位を貰う立場なのだ。
彼の優先順位は市民を助け、その上で攻撃を仕掛ける地球連邦を蹴散らす事にあるのだ。
「ドロシーが粒子法を展開後、俺とドーガンは打って出るぞ!」
「ま……マジっすか?機体テストがろくに終わってないのに!!」
「ドーガス、死にたくなければ確実に連邦の奴等を仕留めろ……」
ドーガスはその言葉を聞いて『マジかよ……でも……漸く本来の隊長に戻ったから生き残れる可能性はたけぇか……』と吐き捨てる。
「ドロシー……砲撃後、再砲撃のカウントを怠るなよ?」
「そうだぜドロシー!再砲撃の餌食だけは勘弁だ……」
そう言ったグレゴリとドーガスは、バウンディのエンジン出力をあげる…………