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第10話 恐怖心

こんばんわー_(:3 」∠)_暑くてダレテたら意識が飛んでましたw


前回までの星屑達は……


機体チェックとフォーメーションチェックで船外に出たグレゴリ達は、宙域で敵影を見つける。


相手はベアー級戦艦で、機体数は最大12機のタイタンを収容可能だった。


それに比べてグレゴリは仲間二人を伴って演習中だった。


事前通告なしで、航行且つタイタンの排出。


そして何より、マゴス共和国の支配宙域での連邦艦隊の発見。


それはサーチ&デストロイの対象になる。


先制攻撃は成功したものの、グレゴリの胸には不安がよぎるのであった……


「止まれ!!ここから先は一般市民が入っていい場所ではない!許可無く侵入した場合、拘束及び銃殺許可がおりている!」



「ふざけんな!俺達は白旗を出して、救命艇で50番コロニーに戻るんだ!」



「それ以上近寄ったら撃つぞ!!」



 市民兵士の睨み合いが始まる。


 しかし兵士の静止説明を聞いて、立ち止まる市民も居た。



 しかし血の気の多い若者達は、意にも介さず突き進もうと試みる。



「う……撃つぞ!!今から動いた奴は……ほ……本当に撃つぞ!」



「う……撃てるもんなら撃ってみろ!!お前達は連邦軍と同じだ!俺たちが死ねばいいとお思ってるんだ!」



「そんな事はない!!もしだったら、そもそも33番コロニーで市民を救助なんかしない!!」



「だったら俺達を50番コロニーに行かせてくれ!!こんな戦艦と一緒に死にたく無いんだよ!」



 兵士は『これは軍艦である!そんな自分勝手が通用するか!』と意見を切って捨てる。



「辞めろ!!衛兵、銃を下ろせ。彼等は戦争のショックでパニックになっているだけだ。こんな所で争っていれば連邦の思うツボではないか!!」



 そう言葉をかけたのは、機能チェック中のドレイマン中将だった。


 ドレイマン中将が市民を宥めようとする前に、アナウンスが響いた……



『33番コロニーの市民の皆様、2番デッキにお戻り下さい。今避難民用救命艇で脱出を試みても、連邦軍は投降条約を守りません!お忘れですか?33番コロニーから避難した救命艇は、条約違反により全てが撃墜されました!!』



 声の主はカナミだった……


 彼女は、33番コロニーから脱出中の救命艇撃墜を、連邦軍が尽く破壊する様をコロニーモニターで見て、地球連邦とマゴス国の現状に絶望した。



 そして自分達が生き残る最後の望みとして、家族と共に軍用戦艦へ走っていたのだ。



「聞いたか?市民諸君……。君達と同じ市民であるあの娘は、冷静に状況分析をしているぞ?連邦軍は、我々宇宙移民者の命を同等とは思っていない!それでも尚救命艇で逃げたいのであれば、救命艇を分け与えよう」



 ドレイマン中将はそう言うと『50番コロニーへ連絡後、救命艇発進準備を!』と言って、兵達に準備をさせる。



「現在はタイタンの発進が優先だ。戦況が落ち着き次第発艦許可を出す。それまでは2デッキで待機しているように!各報告は……アナウンスした娘を双方の交渉役として立てる。それで良いか?」



 ドレイマン中将が出した提案を、残された市民達は渋々受け入れた。


 当然ドレイマン中将が、最大の譲歩をしているのも理解ができる。


 本来ならば『銃殺』の一言で片付けられるのだ……



 そもそも彼等が戦艦から逃げ出す方法は、積まれた救命艇以外無い。


 既に50番コロニーからは離れていて、戦艦が方向転換しその宙域に戻ることは、その場所を戦場にする事を意味する。



 彼等市民はその事まで気が回っていない事は、言うまでも無い……


 

 宇宙コロニーは非常に繊細で、コロニー外郭を破壊されれば中の住民は一たまりもない。



 人間が生命維持に必要な酸素は、宇宙には存在しない……コロニー内部の機械で生成されているのだ。



 それに巨大なコロニーともなれば、そもそもその防衛は非常に困難だ。



 だからこそ宇宙移民者は、コロニー周辺を戦場にするのを嫌う……同胞の命が最優先なのだ……



 しかし張り詰めた空気の中、間抜けな言葉がかけられる。


「さぁさぁ話は纏まりましたね?ここで無駄な時間を過ごせば、それだけ貴方方の脱出する機会は失われますよ?ドレイマン中将様、早く続きをしましょう!所で……サイキくんはもう召集しましたか?」



 間の抜けた声でそう言ったのは『サイコミュー博士』だった。



 事の重大さより、実験の興味の方が優ってしまい、空気を読まずに猪突猛進したようだ。



「万が一の場合、機体は1台でも多い方が良いでしょう?まぁ黒狼がこの戦艦にいる以上、使うことは無いでしょうが」



 その言葉に、市民達からざわめきが起きる……


 黒狼の名は、マゴス国民にとってある意味象徴の様な物だ。



 単身で連邦の軍事施設を幾つも落とした英雄が乗艦しているとなれば、その期待が大きくなるのは当然だ。



 兵士の誘導で渋々2番デッキに戻っていく市民達……希望を感じた市民や、思い通りに行かず苛立つ市民など様々だ。


 その市民とすれ違う様に、アナウンスをしていたカナミが降りてくる。



 その表情はなにかを覚悟した顔つきである。



「すいません……勝手にマイクを使ってしまい……。見る限り危険な状態と思いましたし、そもそも地球連邦は難民条約など守る気がない様に感じたので……」



「いや!君の配慮には感謝する。軍とすれば銃による制圧以外は方法が無かった。何せ戦闘待機の状況下だ。国を支持する市民を守る必要がある以上、言葉が通じぬ市民から多少の犠牲が出るのは……」



 そう言ってドレイマン中将は最後の言葉を濁す……



「皆……悪気は無いのです……あの連邦の取った行動さえ無ければ、楯突くことは無かったでしょうし……」



 カナミは怖気付くことも無く、ドレイマン中将へ進言する。


 彼女は勝手にマイクを使用し、皆を救う為に必死に演説をした。



 その行為が異常な興奮に繋がったのは間違い無く、自分の中にこれ程強い志があったとは自分自身が思わなかったのだ。


「うむ……分かっている。33番コロニーは戦争とは縁が無い職業が多いからな。それにしても君はなかなか発する言葉にカリスマ性があるでは無いか。どうだ?マゴス共和国のために働く気は無いか?」



「わ……私に戦争は無理です。銃を撃つなんて……とてもじゃ無いけど無理です!!」

 


「わっはっは!!いやいや兵士候補では無い。軍と言っても仕事は様々なんだぞ?まぁ無理に言っても逆効果だからな。マゴス共和国は何時でも君みたいな力強き者を求めておる。再就職案件で何かあったら、是非候補に入れてくれ!」


 ドレイマン中将がそう言うと、兵士が脱出艇の準備が終わった旨を話す。



「ドレイマン中将様、民間人の移送に関して脱出艇の準備が整いました。白旗の据付及び武装の解除、航行進路のプログラム及び管制官への連絡が終了しました」



「うむ。此処は侵入禁止軍事用品エリアの為、余り人目に付けたく無い。市民用の囲いを用意して通らせる様に。兵士には周知徹底せよ」



 その会話から、カナミは侵入禁止エリアに自分がいることを理解した様だ。


 謝ったかと思うと、大慌てで出て行こうとする。


 だがその行為で問題のある人物の目についてしまう……



 その人物とはサイコミュー博士の事だ。



「おや?カナミさんと言いましたか?貴女は片手が義手なのですかな?それも欠損部位が私の知り合いと同じ場所の様だ」



「え?……ああ……コレですか?実は幼い時に……39番コロニーで事故に……」



 それを聞いたサイコミュー博士は『おやおやおや……そんな所までソックリとは!』と驚くと、丁度話題の主が姿を表す……



 しかしカナミは相手が誰かとは分かっていない……


 何故ならパイロットスーツに身を包んでいて、特殊ヘルメットで顔が隠れているからだ。



「サイコミュー博士呼びました?今日は兵士さんの食事準備が終わったらって話でしたよね?」



「え?その声はサイちゃん?」



「え?……あれ!?カナミ……なんで?此処は侵入禁止エリアでしょ?……まさか迷い込んじゃったの?」



 そう言いながらヘルメットを脱ぐ……



 そして一部始終を話すカナミの言葉を聞いて、『さっきなんか揉めてるなぁ……と思うアナウンスがあったけど、そんなに大変だったんだね?』などと他人事な言い方をすると、ドレイマン中将は呆れた様に『子は親に似ると言うが、流石グレゴリの娘だな……』と言って、その場を後にした。

 


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