幼馴染ってやつはこれだから…〜羽ばたいた彼女〜
オレと由衣夏は、幼い頃からずっと一緒だ。
家が隣同士で物心ついた頃からよく遊んで
いた。
小学生になると毎朝登校班がおんなじ。
下校も低学年の頃は一緒だった。
基本低学年は、並んで帰る。
高学年にもなると下校は、自由に好きな人
と帰れる。
だから由衣夏は、仲のいい友達と帰ってい
た。
オレも遊び仲間と下校していた。
でも…
ついつい由衣夏を目で追っている自分がい
た。
気のせいかもしれないけど、由衣夏もよく
こっちをチラチラ見ている気がする。
下校は別々だけど家から帰ると雨の日は、
うちに遊びに来る由衣夏。
「おーっす。修也!」
「おー」
毎日雨でもいいな。
晴れの日は、由衣夏友達と遊ぶんだよな。
オレもそうだけどさ。
でも、本当は由衣夏と部屋でゲームをする
のが一番楽しい。
中学生になり由衣夏が遊びにくる回数も少
しずつ減っていった。
だから由衣夏がたまに来ると嬉しい。
ゲームもやるけど基本勉強を聞きに来る。
オレは理系が得意だから。
オレは、自分でいうのもなんだがかなりモ
テる。
でも彼女は、いない。
なぜならずっと由衣夏が好きだから。
しかし、勉強中いきなり由衣夏が…
「修也って昔っからモテるよねー。私は、修
也みたいな人と付き合うの無理だわー」
なんて言い出した。
えっ⁈
オレ告白もしてないのにいきなりフラれた
んですけど⁉︎
「なんでオレじゃ無理なの?」
「なんでって無理なものは無理なんじゃん?
で、ここの問題なんだけど解き方教えて」
「あー…うん。」
あっさり流されてしまった…。
そんないきなりフラれてから数ヶ月後、オ
レ達は中学を卒業して高校生になった。
由衣夏とは、同じ高校だ。
一緒に行こうと約束していたわけでもない
けど家からも近いしちょうどいい学力だっ
たためという理由だった。
しばらくして高校にも馴染んできたある日、
見てしまった…。
由衣夏が校舎裏でキスしているところを…。
うん…。
そりゃ、彼氏ができてもおかしくない。
そうだ。
そうだけどさ…。
失恋した時は新しい恋って言うよな。
オレも恋してみるか⁈
そしたら由衣夏を忘れられるかもしれない。
だから、オレに告白してくれた女の子と付
き合ってみる事にしてみた。
いざ交際開始。
…なんか、なんか…違う…。
うーん。
いい子なんだけど…やっぱりダメだった。
そしてあっという間に交際終了…。
それからオレは誰とも付き合っていない。
由衣夏もあの彼氏とすぐに別れてそれ以来
彼氏がいないみたいだ。
高校生活もそろそろ終わりを迎える。
久々に由衣夏がオレの部屋に遊びに来てい
た。
なぜこのタイミングで来たのかわからない
けど、やっぱり由衣夏といるのが一番だ。
二人で並んでゲーム中。
「ねー、修也」
「なに?」
「あたし修也ってモテるから彼氏にしたら、
絶対浮気されたりヤキモチ妬いたりしそう
で無理って思ってたの。」
「へー」
「でもさ、修也彼女とすぐ別れちゃったけど
その子と付き合ってるとき浮気しなかった
し、モテるのに女の子とっかえひっかえし
なかったね。」
「うん。そんな事してもな。」
「でね、で…なんであの彼女と別れちゃった
の?」
「なんでって…好きになろうと努力したけど
無理だったんだよ」
「そうなんだ。私も彼氏つくったの。でも…
すぐにダメになっちゃったの。」
「なんで?」
「本当は、好きな人がいたの。でもこんなに
世界は広いのに、このまま狭い世界で終わ
らせていいの?って思って少し羽ばたいて
みたの。でも…そんなの意味がないってす
ぐにわかった。自分から羽ばたいたから私
…だから…今更…」
ぐすっ。
泣き出す由衣夏。
「由衣夏。羽ばたいても戻ってきたんだろ」
「…うん」
オレは由衣夏を優しく抱きしめてキスをし
た。
少し遠回りしたけど由衣夏が戻って来てく
れてよかった。
「由衣夏大好きだよ」
「うん。私も修也が大好き‼︎」
おしまい