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黒須お嬢様、VRMMOゲームを御遊興されるご様子でございます。  作者: トウフキヌゴシ
第一章、結成、クラン、”お嬢様のお茶会”ですわ。(チュートリアル)
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第八話、お嬢様は、巨大杭打機を装備なさるご様子でございます。

 相打ちでお嬢様は、”ホーンラビット・サウザンドレギオン”に倒されてしまったのでございます。

 始まりの場所で呆然と立ち尽くされております。

 そろそろ、姿を現したほうがよろしいでしょうか。

 しかし、お館様(黒須の父)にはなるべく手を出すなと言われているのでございます。



 櫻子(さくらこ)が始まりの場所に立っている。


「…………」

 ああ、またですわ。

 どうしても隣の町までたどりつけませんの。

 こんなにいい天気なのに。

 空を見上げた。


 ポツポツ

 ザアアアアアアア


 ゲリラ豪雨が降り出した。


「どうしてですのおおお」

 ”鈍竜”のバイザーが自動で下りる。

 ”鈍竜”は重厚なフルカバードの機体だ。

 体は濡れないが心は濡れた。


 しょんぼり。


 櫻子(さくらこ)は見事なしょんぼりを見せながら、”シズク”の店に入って行った。


「えーと、また駄目だったのか?」

 シズクから心配そうに声を掛けられる。


「……はいですわ」

 気落ちした声で言う。 


「一つ聞いていいか?」


「はい?」


「なぜ、武装しないんだ?」


「……わたくしはこう見えても箱入りのお嬢様なのです……」


「いや、確かにな」

 仕草一つとってもお上品である。


「……敵が怖いのです……」


「今までどうしてたんだ? 敵も出ただろう」


「目をつぶって、その場でじっとしておりました」


「あ~、”鈍竜”の防御力のなせる技か~」

 実は、ホーンラビットは敵対状態でいる距離が狭い。

 少し離れるとすぐに敵の状態でなくなるのだ。


 つまり、ホーンラビットからは簡単に()()()逃げられる。


「”鈍竜”を着ていては走れないかあ」

「原動機付き動甲冑(MA)を脱いで走ればいいんだけど」

 普段着でも隣町までたどりつけるといわれる理由だ。


「話は聞かせていただきましたっっ」

 突然背後から大きな声がした。

 振り向くと、クノイチ型のMAを着た金髪の女性が立っていた。

 160センチくらいの身長。

 見た目を変えているのか、耳がエルフのようにとがっている。

 頭にはホワイトプリム。

 口元はマフラーで隠されている。

「私の名前は、マリア―……”マリア”と申します」

(さくら)…、こほん、可憐で瀟洒で清楚なお嬢様」

「通りすがりの、お助け金髪クノイチメイドでございます」

 胸を張った。


 ポヨヨン


 厳つい胸部装甲がゆれる。


「は、はい」

 どこかで見たことがあるような?

 わたくしは首をかしげる。


「店主、目をつぶっていても当てられる武器があるではありませんかっ」

 金髪メイドが身を乗り出して言う。


「あ、いや、だから、MAを脱いで走ればだなあ」


「あるんですのっっ、マリアさん」

 

巨大杭打機パイルバンカーを出してくださいっ」

 キリッ。

 マリアージュがきめ顔で言った。



 ”巨大杭打機”


 通称、”パイルバンカー”

 直径、十センチ、長さ一メートルの杭を前方に打ち出す装置。

 杭の破壊力と、打ち出した時の衝撃波が強力である。

 なおその重量から重MAにしか装備できない。



「ほんとにいいのかい?」

 シズクだ。

 

「ふふふ、黒くて硬くて太くて長いでしょう」

 マリアージュが頷きながら言う。


「い、言い方あ」

 シズクである。


「はいっ、これを下さいましっ」

 わたくしは、”巨大杭打機パイルバンカー”を見て思わず叫んだ。

 


 櫻子(さくらこ)お嬢様が、巨大杭打機パイルバンカーを装備されました。

 巨大杭打機パイルバンカーは、浪漫(ろうまん)でございます。

 お嬢様がさらにりりしくかっこよくなられたのでございます。


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