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79.なりきり師、覗く。

 〜ホークside〜


 ボスの足音が響く中シルバさんも合流しておれたちの準備は万端になっていた。そしてついに森の奥からボスが広場に出てきた。



「うわぁでっけーゴブリン…」


「やはりボスはキングゴブリンだったか…ちょっと予定より早いが気合い入れろよ!」



 森の奥から姿を現したゴブリンのボスは周りのゴブリンとは比べ物にならない位大きかった。



「どうやら間に合ったようね。ここからはあたしも戦いに参加するわ。」


「あっ、マーガレット姐さん!なんでここに?ユウキはどうしたの?」


「ユウキちゃんなら心配ないわぁ。ホークちゃんあそこ見える?」


「あそこ?」


 マーガレット姐さんが指差す方向を見てみる。



「あっ!ユウキだ!お〜いユウキ〜!」


 木の陰からこっちを見てるユウキを見付けたから手を振った。あれ?なんで慌ててるんだろ?



「ホークちゃんダメよ、ユウキちゃんは隠れてるのよぉ〜。そんな事しちゃ見付かっちゃうわぁ〜!」


「あっ、そうだった!ヤバい!」


 よかった……気付かれてない…と思う。キングゴブリンはこっちに向って歩いてるし他のゴブリン達はキングゴブリンを見てる。大丈夫だよね?



「ホーク、いくらおれたちがいるからって油断しすぎだ!そう言う所は直さなきゃダメだぞ!」


「ごめんなさい…」


「わかったなら今はいい。反省は戦いが終わった後にしろ!来るぞ!」



〈ゴブアァァァ!!!〉



 ドシンドシン歩いていたキングゴブリンが止まって持っている大きな剣を前に突き出し叫んだ。

 すると周りのゴブリン達が一斉にこっちに走り出した。


 さっきまでと違い陣形も連携もない。全員が一斉にこっちに来ている。



「ホーク君、やってみるかい?君の奥義なら結構な数を倒せるんじゃないかな?」


「えっ?でもあんなに範囲広くないよ?」


「もちろん全部倒せなんてそんな無茶な事は言わないよ。そうだなぁ…技の終わりを僕達の後ろで終われたら合格ってのはどうかな?」


「シルバさん達の後ろ?」


「そう。奥義を使って、行って、倒して、帰ってくる。ちゃんと奥義をコントロールしてないとできないんだよ。

ホーク君はデススパイダーの時コントロールができてなかったから空中で奥義の発動が切れちゃったんだよ。」


 そうだ…あの時途中で勢いが無くなって最後ギルマスに助けてもらったんだ…。

 そっかあれはおれが奥義のコントロールをできてなかったんだ…スキルって覚えるだけじゃダメなんだな……



「わかった!やってみる!」


 ちゃんと帰って来ないとな…あれ?そう言えばおれスパイラルストライクで真っ直ぐにしか進んだ事ないぞ……まぁいいややってみよう!



「奥義・スパイラルストライク!」


 ジャンプして回転が始まる。この奥義って使おうって思って発動したら勝手に動作が始まるんだよな。


 回転が速くなって竜巻がおれの周りに生まれる。この竜巻は斬撃だ。前は風に触れるだけで木も糸もモンスターも斬れた。



「よーし行って来まーす!」


 後は進みたい方向に向かうだけ。この奥義って目は回らないんだけど視界は回るんだ。回ってる内に慣れてくるけど最初はやっぱり見えにくいんだよね…



〈〈〈ゴブゴッ…〉〉〉



 あっ、ゴブリン達が驚いてる。そりゃ前から竜巻が来たら驚いちゃうよね。でもただの竜巻じゃないからね!



「はあぁぁぁぁ!!!」


 今の両手を開いてる状態だと前からの敵にちょっと当て辛い。だからこんな時は剣の角度を少しだけ狭める。

 一度勢いが付いたら後は両手を狭める程に竜巻が細くなって威力が上がる。



〈ゴブ!〉 〈ゴッ…〉 〈ゴブー!〉 〈ゴブッ…〉



『カカカカッ!』



 色んな音が聞こえる。キングゴブリンの命令だから向かって来る新しいゴブリンとか、おれに斬られて倒れていくゴブリンとか、アーチャーゴブリンの放った弓かな?弓が斬れる音とか…。



「あっ、魔法打ってきた!」


 避けないと……あれどうやって曲がるんだっけ?身体を捻って方向転換しようとするけど全然曲がらない…。



「あれ?あれ?」


 なんでだ?思ったようにいかないぞ…



「あっ…」


 変に身体を動かしたせいでスパイラルストライクが空中で解けてしまった…。

 もうマジシャンゴブリン達が打った火の魔法は目の前だ…



「ホーク君、まだまだ練習が必要みたいだね。」


「シルバさん?なんでここにいるの?」


 おれが止まった瞬間にシルバさんが空中でおれをキャッチしてくれてそのまま高くジャンプして魔法も避けてくれた。



「奥義のコントロールはすぐに身に付く様な物じゃないからね。一応後ろを付いて来てたんだ。まぁほら結果的に正解だっただろ?」


「そっか……おれ失敗しちゃったんだ…」


「そうだね。僕の出した課題は失敗だったけどこの戦った結果は失敗じゃないよ。見てご覧…」


 シルバさんが指差したのはおれがスパイラルストライクで通った後の所。

 最初の方はもうゴブリンがいたけど、一直線にゴブリンがいなくなってて、最後おれが止まった所でほんの少しだけど左にその線が向かってた。



「あの数十センチのズレは君が初めて意識して曲げたものだよ。今回は上手くいかなかったけど君のこの技はこの数十センチから始まるんだ…。

一杯練習してそしていつか自由自在に操れるようになった時、今のこの結果を思い出すといい。その時君はきっと強くなった事をより一層感じる事ができるはずだよ。」


「う〜ん…シルバさんの言ってる事難しすぎてよくわかんないや……」


「アハハ、今は別にわからなくてもいいよ。とにかくあの奥義をちゃんとコントロールできるように頑張ろうねって事だよ。」


「あっ、そう言う事か!うん!おれ頑張るよ!」


「さぁあっちも粗方片付いたみたいだね。次はボスだよ。今回はホーク君が僕達のリーダーだからね。しっかり頑張ってくれよ?」


「えっ?おれがリーダーなの?あれ?それよりゴブリン達がいなくなってる…?ギルマス達どうやったの?」


 おれはシルバさんの方を見てたから見てなかったけどシルバさんと話してる間にギルマス達が残りのゴブリンを一気に倒してしまっていた…。



「説明は後だよ。それより今は目の前の敵に集中してね。」


「あっうん…」


 ユウキのいない初めてのボス戦だ…。大丈夫かな?ちゃんと戦えるかな?

 ……ってダメダメ!いつもユウキに頼ってばっかりだったけど今回はおれが頑張るんだ!弱気になってちゃダメだ!


 シルバさんが着地しておれも降ろしてもらう。



「よーし!おれが倒してやる!」







 〜ユウキside〜


 あれがゴブリンのボスか…なんだろデススパイダーと戦ったせいもあってか脅威に感じないな……。

 木の陰から覗き込み遠目を使ってボスを確認する。



「あっ、そうだ今の内に鑑定でもしとこうかな。」


「お〜いユウキ〜!」


 げっ、ホーク…そんな大声で手を振ったら気付かれちゃうよ!おれ今戦えないんだぞ!

 ヤバいどうしよ!とりあえず隠れないと!



「ミラージュバリア!」


 MPも下がってる今だとミラージュバリアの消費MP20でも結構な痛手だ…


 はぁ…情けない…戦闘を任せっきりでただ隠れるしかできないなんて…早く奴隷終わらないかな…。


 その時ボスのゴブリンが大剣を突き出して声を上げた。さっきの咆哮とは違うんだろうけどそれでも大きな声だ。普通にうるさい…


 ゴブリン達が一斉に走り出したぞ…やっぱ突撃命令みたいな大声だったんだ…



「えっ、ホーク?」


 シルバさんがホークに何か言っててホークが前に出ちゃった…まさかあの大群とホークを戦わせるつもりなのか?


 ホークがスパイラルストライクを使ってゴブリン達に突っ込んで行った。そのすぐ後ろにシルバさんもついて行ってる。何をするつもりなんだろ?



【奴隷の熟練度が4に上がりました】



「でもやっぱあの奥義凄いよな…おれもいつか奥義を覚えるのかな?」


 デススパイダーを倒して鎮静剤の効果を確かめる為に休んでいた時にギルマス達に奥義の事を聞いてみた。







 〜デススパイダー討伐後〜



「ホークいつの間に奥義なんて覚えたんだ?」


「マーガレット姐さんが麻痺で動けない時にレベルが上がったんだ。そしたらスキルを覚える時と変わらない感じで覚えたよ!」


 あ〜そういえば結構リトルデススパイダーを倒したからな…。チリツモでレベルアップしたのか…。



「へぇそうなんだ。おれの今までの職業だと奥義って覚えなかったんだよな。中級職なら覚えるのかな?」


「そいつは違ぇぞユウキ!」


「えっ?」


「奥義ってのはな職業は関係ない個人のスキルだ。個人のセンス、才能、実力、レベル、きっかけがあって初めて覚えるスキルなんだ。

ホークの奥義で何か気付いた事はないか?」


「気付いた事?」


 なんだろ…?ホークのスパイラルストライク…あの技は竜巻を起こして突進する一点突破の体当たりだ。あれ?



「おれ知ってるかも…」


「気付いたか?そうあれはタックルカブトがお前達にやった回転しながらの突進と似てる。

恐らくだがホークの中で知らずの内にあの技がヒントになって出現したのがさっきのスパイラルストライクなんだろう…。」


「ホークが技をコピーしたって事ですか?」


「そうじゃない。ホークの才能とセンスが元々備わっていた自分の中の力を目覚めさせたんだ。

タックルカブトはただのきっかけにすぎん。元々あの技の素質がホークにはあったんだろう。」


「えっ、じゃあおれはどんな奥義が使えるんですか?」


「そんなのおれにわかるわけ無いだろ!おれだって自分の奥義がどんなのかなんて出現するまでわからねぇんだ…神のみぞ知る事だな。」


「そうですか…なら今度プライに聞いてみます。」


「あっ、プライ様が知ってるかどうかも…いや教えてくれるかどうかわからねぇぞ!だからちゃんと自分で見つけろ!間違ってもおれが聞けっていったなんて言うなよ!?」


 あれ?ギルマス焦ってる?あっ、おれがプライと会える事忘れてたな…ニヒヒ、ちょっと普段の仕返ししちゃおうかな?



「あ〜でもプライに聞いた方が確実だしおれも奥義覚えたいからやっぱり聞いてみます!ギルマスが聞けって言ったって言った位じゃプライは怒らないですよ!

あっ、でも勇者パーティーには神罰を与えたって言ってたな…」


「お、おい…ユウキ?まさか本当に聞かないよな?相手は神だぞ!?そんな事に力を使わせるなんてよくないだろ。なっ?」


「え〜でもギルマスがここまで教えてくれたのに悪いですよ。大丈夫ですってちょちょいと聞くだけだし。あっ、でも本当に怒ったらどうしよ…おれだけのお仕置きで済むかな…?」


「まさかおれにも神罰が下るのか?」


「……」


「ダメだ!ユウキ絶対に奥義の事はプライ様に聞くな!いいか約束だからな!」


「プッ…アハハハハ…ギルマス超焦ってる。ハハハ!ヤベー耐えられねぇ!ハハハ…」


「………」


「ハハハ…ハハ……ハ、ハ、ハ…」


 ヤバい…ついやり過ぎた…



「…どうやら死にたいらしいな!」


「いや、これはその…ギャーーー!!!」



『ゴンッ!ゴンッ!』






 〜再びユウキside〜



【奴隷の熟練度が5に上がりました】



 いや〜あれは痛かった。ゲンコツする度に力を強く込めてるよなあの人…しかもあの時は2回もやりやがったし…



「ハイヒール覚えた後でよかったよ…」


 ってそんな事思い出してる場合じゃ無かった!

 奴隷の熟練度も今の大量に倒したゴブリン達で一気に2も上がった。これなら案外早く終われるかもしれないぞ。


 あれ?ホークのスパイラルストライクがなんかブレてないか?



「あっ!!」


 いつも真っ直ぐに進んでたスパイラルストライクが少し左に逸れながらちょっとだけ進んで技が解けてしまった。


 シルバさんがすかさずキャッチして大ジャンプしたけど、あんな中途半端に止まったら戦闘じゃ危なっかしくて使えないかもしれないな…


 その後はギルマスがわかってたかのようにシルバさんがジャンプしたあと前にアブソープトレントの根っこを斬ったスキルを使ってゴブリン全部倒しちゃった…


 シルバさんも着地してホークもヤル気満々のようだ…。会話が聞こえないから喋ってる内容がわからない。



「こりゃ聞き耳スキルも必要だな…」


 おれだけ完全に仲間外れの気分だ…。べ、別に寂しくなんかないけどね………

 とにかくこのまま何事も無く終わってくれよ。

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