78.なりきり師、叫ぶ。
〜ユウキside〜
【奴隷の熟練度が2になりました】
【スキル 身代わりを覚えました】
「あっ、熟練度上がった!」
マップを確認していると全員がバラバラに戦っている。
でもなんでバラバラになって戦ってるんだ?ゴブリンがいくら弱いと言ってもホークは新人冒険者なんだぞ!危ないじゃないか!
「ホークちゃん頑張ってるのねぇ〜。」
「はい。でもなんでか知らないですけど一人で戦ってるんです…」
「あらそうなのぉ〜?まぁいいんじゃなぁい?ホークちゃんにとっていい経験になると思うわよぉ〜。」
【奴隷の熟練度が3になりました】
【スキル 肩代わりを覚えました】
「あっ、また上がった。でも危ないじゃないですか!」
ってか奴隷のスキルってろくなスキルがないな…悪食に身代わりに肩代わりって…こんなスキルなら覚えない方がいいんじゃないか?
「ユウキちゃん、心配なのはわかるけどあまり過保護過ぎるのはよくないと思うのぉ〜。
ホークちゃんだって成長してるのよぉ〜。それにもしホークちゃんが嫌がったらグリード達が一人で戦わせるわけないじゃなぁい!」
「それはそうですけど…」
「とにかくユウキちゃんは今戦えないんだから待ってるしかないの。ホークちゃんを信じてドンと待ってなさぁい!」
「はい…」
大丈夫かな…?どうせなら戦いが見える所で隠れればよかった…
〜ホークVSゴブリン集団〜
「うわっと…あっぶねぇ!」
ゴブリン相手に集中しすぎるとアーチャーとマジシャンからの遠距離攻撃が飛んできちゃうな…
やっぱり先に遠距離のゴブリンを倒さないと邪魔だなぁ…
「でも遠いんだよなアイツら…ほらよっと!」
ギルマスは普通のゴブリンだけスキルなしで倒せばいいって言ってたけどさっき流れで試してみたらソルジャーゴブリンもスキルなしで簡単に倒せた。
今回のダンジョン探索でレベルも一杯上がったしステータスもユウキ程じゃないけど上がってる。
おれだってちゃんと戦えるもんね!
「倒しながら倒すしかないかぁ…」
その為にもまずは近付かないとな…でも前には20体位ゴブリンがいるからな…どうやって進もうかな?
「うっし!ここは直感に任せて正面突破だな。そぉれ…」
〈ゴギャギャギャギャー!〉
おれが走り出そうとした時に凄く大きな叫び声が聞こえてきた。
うるさ過ぎてつい耳を両手で塞いでしまった。
「うわぁびっくりしたぁ!なんだ?」
びっくりしただけで何も起こらない。あれはボスの叫び声だったのかな?
「ん?何でアイツらピンってして動かないんだ?」
さっきまでニヤニヤしながらおれを見てゴブゴブしてたのに今は両手を下にして背筋をピンって緊張した顔で固まってる。
「なんだかわかんないけどチャンスだよね?」
だって動かないんだもん。戦いの最中に止まっちゃうなんてドジな奴らだなぁ!今の内に倒しちゃおう!
「それそれ〜!」
ラッキーな事もあるもんだな…おれは動かないゴブリン達の間を走りすり抜けながらすれ違いざまに斬り倒してまわった。
後はアーチャーとマジシャンを倒せば…
「ホーク!大丈夫か!?」
「あっ、ギルマスもう倒したの?早いね!ちょっと待ってて先にアイツら倒しちゃうから!」
動かないんだもんスキルは使う必要ないよね。
「はいこれで終〜わり!」
アーチャーゴブリン2体とマジシャンゴブリン2体を切り目の前にいたゴブリンの集団をやっつけた。
「おい、ホーク?なんともなかったのか…?」
「えっ?なにが?」
「何がって…さっきの咆哮聞いただろ?身体はなんともなかったのか?」
「あ〜あれ?うるさかったよね。思わず耳を塞いじゃったよ…でもあの後ゴブリン達がピンってなったからチャンスだと思って倒しちゃった!」
「そ、そうか…無事ならいいんだ……(これも状態異常耐性のおかげか…)」
『ドシン…ドシン…バキバキ……』
「うわっ今度はなに?」
森の奥からまた凄い音が響いてきた。森の奥って事はギルマスがさっき奥にいるはずだって言ってたボスかな?
「ホーク気を付けろよ!ボスが出たからには一旦縛りは辞めてここからは全力で戦うぞ。」
「はい!」
やっぱりボスなんだ。まだゴブリン一杯残ってたのに…
〜ユウキside少し前〜
「うるせぇ!どんだけ大きい声なんだよ!」
モンスターの群れから距離があるのにここまでうるさく聞こえる叫び声…ボスが出てきちゃったかな?ホーク達大丈夫かな…?
「……ぬん!!!」
「何やってるんですか?マーガレット所長……顔真っ赤ですよ?」
筋肉アピールだろうか?力を込め過ぎて顔が真っ赤だ。
「ユウキちゃん、あなたなんともなかったの?」
「???」
「驚いた…あたしでも3秒も硬直しちゃったのに…」
「硬直?あっ、あの叫び声ですか?」
「そうね。きっとボスが出たんでしょう。ユウキちゃんあたし達も行くわよ!」
「えっ?ダメですよ!ホークに隠れるように言われてるんで行きたくても行けません…」
「ユウキちゃん、ホークちゃんの命令は隠れる事でしょう?ここでなんて言われてないでしょう?なら隠れて近付けば問題ナッシングよ。
それにボスが出たなら話は別よ。戦える人数は多いほうがいいわ。あたしが連れて行ってあげるから、あなたの玉2つあたしに差し出しなさい。」
えっ、いやだ!玉2つ差し出せっておれに死ねって言ってるのか?思わず手で隠した。
「やぁね!そっちじゃ無いわよ足に付いてる鉄球の方よ……そっちでもいいけど♪」
「紛らわしい言い方しないでくださいよ!鉄球をどうするんですか?言っときますけど背負われるだけだとおれ耐えられませんよ?」
それはもうさっきシルバさんで検証済みだ。もう二度と経験したくない。
「大丈夫よ。ちゃんと考えてるわ。マーガレットアイデアは無限大よ!あたしの肩に跨がってユウキちゃん。」
肩に跨がる?肩車か?マーガレット所長がおれの前でしゃがんだ。
あっ、やっぱり肩車なんだ…
「これでいいですか?」
肩が筋肉でめちゃくちゃゴツゴツしてる…マーガレット所長の短い髪が生えた頭に捕まり落ちないようにする。
「立ち上がるわよ?」
「はい!」
鉄球も両手に持ってくれていて、足も全然痛くない。
今まで最悪だったマーガレットアイデアは不安だったけどこれなら平気だぞ!
「痛くなぁいユウキちゃん?」
「はい大丈夫です!」
これで隠れながら行けるなら遠目を使えば戦いが見える所まで行けるかもしれないな…。
「そう、よかったわ。それじゃあ行くわよ?」
「お願いします!」
肩が盛りってなって首と肩で太ももを挟まれた。腕と脇でふくらはぎを捕まれ両手に鉄球。これでおれの下半身はガッチリとホールドされた。
「しっかり捕まってるのよぉ〜。」
!!! ちょっと速すぎ…待って今のおれは力が弱くてこんなスピード耐えれないって…
「ギャアアァァァァ…」
おれの頭と地面が平行になってるから!肩車のはずなのに空が見えちゃってるから!
「ちょっとユウキちゃんうるさいわよ!敵に気付かれちゃうでしょ?」
「と、とまっ……止まって…」
「さぁ着いたわ。ユウキちゃんここで隠れてるのよ?あたしもホークちゃん達の加勢に行ってくるわね。」
「ハァハァハァ……」
やっと止まったと思ったらどうやら目的地に着いてたようだ…。
もう二度と!二度と信じないぞマーガレットアイデア!!!




