75.なりきり師、VSエレメントレオン。
どんな属性攻撃も吸収してしまうエレメントレオン。
完全鑑定をした時は厄介な敵だと思ったけどさっきの攻撃で閃いてしまった。
閃いたと言うより前世で経験があったんだ。
「ダメです!僕の影系の攻撃だと吸収されてしまいます!」
「攻撃全部に対応するとか反則じゃないのぉ〜?あたしが殴ろうとすると毒に変わるしぃ〜!」
「くそ!おれの武器によって身体の構造を変化させやがる…どう攻めればいいかわからねぇ…」
ギルマス達はまだ気付いていない…。
グレイトワーウルフの時は前世の記憶なんていらないと思ったけど、なんだかんだいってやっぱり知識チートは役にたつんだよな……
「じゃあおれたちで倒してもいいですか?多分おれ倒し方わかったんで。」
「なんだと?それは本当かユウキ!」
「はい。ホーク手伝って!」
「えっ?いいけど何するの?」
ホークに耳打ちをして今回の作戦を教える。
「!?そんなので倒せるの?」
「大丈夫!任せて。おれが合わせるからホークは自由にやってね。」
「うん…わかった…。」
「おい、大丈夫なのか?」
「バッチリです!と言うよりおれの予想通りならこのボスが今までの中で一番チョロいです。まぁおれ以外だと難しいんでしょうけどね。」
「一体何をするつもりだ?」
「まぁ見ててください。すぐに終わらせますよ!ホークじゃあ手筈通り頼んだよ。敵の攻撃には気を付けてね。」
「わかったやってみる!」
さて、ホークにタゲ取りされないようにしないと。
「ヘイトキャッチ!」
できれば使いたくないと思っていたヘイトキャッチを早速使っちゃってるな……。
10メートル範囲にいる敵はエレメントレオン、ビュートレオン合わせて3体。
ビュートレオンなんかいくらいてもヒールを使えばHPが22になって簡単にワンパンできる。
エレメントレオンの攻撃にさえ注意していれば最早この階層は問題がない。
「なりきりチェンジ ヒーラー」
結界師も育てたいが、ヒーラーも熟練度があと2でマスターできるはずだ。先にヒーラーを終わらせてしまおうと思いヒーラーに転職した。
きっと七階層のボスなら経験値的にも2上がる位なんじゃないかな?熟練度9と10は必要経験値も多くなるしね。
〈シシャーーー!!〉
エレメントレオンはおれに向かって雷属性のエネルギー弾を打ってきた。
そのエネルギー弾をおれは勢いをつけ走り幅跳びの要領で大きく避けた。
地面に落ちたエネルギー弾はバチバチと雷が走っている。
「ユウキ行くよ!」
ホークもエレメントレオンの近くにポジション取りができ準備ができたようだ。さぁ始めよう。
「いつでも大丈夫だ!頼んだよホーク!」
「光源よ我が道を照らし示せ、ライトボール!」
おれがホークに頼んだ事…それはエレメントレオンに生活魔法を当てる事だ…。
ホークの使ったライトボールがエレメントレオンにフワフワと向かって飛んで行き当たるか当たらないか寸前の所で、その瞬間エレメントレオンは属性を変えライトボールを吸収し始めた。おれはそれを待っていた!
「ライトニングボルト!」
〈ジャジャジャジャジャ…〉
「よし!ビンゴ!」
何故この方法を思い付いたのかと言えばおれが俳優になる前、中学生の時に仲間内で集まってやっていたMMOのゲームで似たような敵がいたからだ…。
敵の攻撃を吸収してその吸収している間だけダメージが入ると言う鬼畜ボス。
それはクリアしてもしなくてもストーリー上何の変化も無く進める所謂負けイベントのボスなのだが、動画サイトにクリア動画を上げるガチ勢の人達がいておれたちもやってみようってなってチャレンジしたんだ。
その頃はまだネット環境が無い子もいて公園で集まって声を掛け合いタイミングを合わせてやってたな…。
結局クリアできずに諦めてしまったけどあの時の経験が今回は役に立つ。
なんたっておれはタイミングをはかってダメージを与える側をやっていたからな!
最初エレメントレオンにライトニングボルトで攻撃した時にあの時の事を思い出しそしてホークに生活魔法を打ってもらった。
結果は予想通り吸収している最中は他の攻撃を吸収できない。
生活魔法のようなダメージのないMP消費も少ない魔法を吸収させておれが威力の高く一番早いライトニングボルトを決める。
この方法なら簡単にエレメントレオンを倒す事ができるだろう。
「凄いよユウキ!ちゃんとダメージが入ってる!本当に生活魔法が攻撃に繋がったよ!」
「だから大丈夫だって言ったじゃん!ホーク敵の攻撃に気を付けながらどんどんいこう!ハメ殺しコンボで突破するぞ!」
「うん! 清らかなる水よ、我が元へ集え、ウォータークリエイト!」
ホークの掌にソフトボール大の水が現れそれをエレメントレオンに向って下から放り投げるように放つ。
エレメントレオンに当たる寸前の所で属性を変えまた凝りもせず吸収を始める。
だがおれはその瞬間を逃さない。
早すぎてもダメ、遅すぎてもダメ、丁度吸収している時に当たるタイミングでしかダメージは入らない。
「ライトニングボルト!」
ギルマスにおれ以外難しいと言った理由…その一つがこのタイミングだ。普通の魔法使いは詠唱がどうしても必要になる。
長ったらしい詠唱文を唱え魔法を吸収している1秒にも満たない瞬間に当てなければいけないなんて至難の業だ。
それを何回も繰り返して倒さなければいけない。頑張り次第で倒せない事は無いが無詠唱でもない限りかなり面倒臭いのだ…。
そしてもう一つ。それならギルマス達が物理攻撃で攻めればいいと思うかもしれないが大体こう言う敵は魔法と物理がイコールにならない。
シルバさんのシャドーソードなら別なのだろうがギルマスやマーガレット所長のような純粋物理では相手の身体が鉄や毒とかに変化してしまうだけだろう。
エレメントレオンはビュートレオンと違いダメージが入る前に属性変化をする。
最初にライトニングボルトを使った時こっちを見ていたエレメントレオンの死角の上空から落としたにも関わらず属性変化してライトニングボルトを吸収した。
それは速さだけではダメだと証明するようなものだ。ギルマス達の攻撃の場合エレメントレオンは吸収とは別に耐性に入ってしまう。
毒の上から殴る事もできるが好き好んで毒に触りたい奴なんていない。
もちろん今回はおれがいるので毒になったしてもすぐに回復はできるしダメージもハイヒールで治せるが必要のないダメージを受ける必要はない…。
そこでおれがエレメントレオンを引き受けたってわけだ。
「ホークどんどんいこう!」
「わかった!任せて!」
回復は最小限に、ダメージは最大限に与え、敵の攻撃を避けヘイトのコントロールも完璧におれが取りそんな事を繰り返す事6回。ついに終わりを迎えた…。
〈シシ…〉
【ヒーラーの熟練度が9に上がりました】
【スキル レジスティーを覚えました】
【ヒーラーの熟練度が10に上がりました】
【ヒーラー専用スキル エリアヒーリングを覚えました】
【ヒーラーの熟練度が限界まで上がりました】
【ヒーラーの上位職 プリーストが開放されました】
【なりきり師のレベルが6に上がりました】
【転職可能職業が増加しました】
「よぉし!ヒーラーも終わりっと!」
「ユウキ〜!凄い凄い!簡単に倒しちゃったよ!マップから反応も消えたしレベルも上がったから本当に倒したんだよね?」
「うん。倒したよ!楽勝だっただろ?あんなの倒し方さえわかってしまえば雑魚と変わんないよ。」
「相変わらずとんでもねぇ戦い方だったな…。」
「あっ、ギルマス。ビュートレオンの相手してくれてありがとうございました。」
「ありがとう。マーガレット姐さん!シルバさん!」
おれのヘイトキャッチでゆっくりだが近付いてきていたのだが姿が見えないビュートレオンをギルマス達がいつの間にか倒していた。
どうやって見付けてるのかはわからないが熟練の冒険者だから気配とかでわかるんだろうな。
「そんな小さな事は気にするな。それよりもだ!まさか生活魔法を戦闘に組み込むとはな…」
「生活魔法でも魔法は魔法ですからね。うまくいってよかったです。これでこのフロアも攻略完了ですね。次は六階層です行きましょう!」
七階層は苦戦する事なく突破だ。まぁそれはそうだろう階層を上がる度にボスは弱くなっていく。
十階層の強化ボスを倒したおれたちなら出口に向かうのにあれ以上の苦戦はしないだろう。
ダンジョン探索も後少しで終わりだ。




