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59.なりきり師、思い付く。

 ギルマスとマーガレット所長の休憩の為もう少しこの階段で過ごす事になった。



「どうやってあのボスを倒したんですか?」


「あぁ、アイツな…実は倒してないんだ…。」


「えっ?」


「休憩のついでに話してやるよ。実はな……」








 〜グリードVSクリスタルカブト〜



「やっと行ったか…悪いが速攻で終わらせる!ウェポンチェンジ!おるぁっ!」


 上から巨大なハンマーで敵を叩きつける。



『ピュン……ドーーーーン!!!』



「なんだと?」


 おれの前方…クリスタルカブトからすれば後ろにハンマーの衝撃が逸れた。

 それにより生み出された衝撃波が木々を吹き飛ばす。



「魔法を反射するだけじゃねぇのか…これはますますアイツらを逃して正解だったな…。」


 しかしそうなればコイツに通る攻撃ってなんだ?打撃もダメ、魔法もダメ、あの感じだと遠距離系は多分跳ね返されるよな……



〈キュキュキュキューーー!!!〉



「はっ、タックルカブトと違ってカワイイ鳴き方するじゃねぇか。

でも鳴いてるだけじゃおれは倒せねぇぞ!ウェポンチェンジ」


 ハンマーを鞭剣に変え今度はクリスタルカブトに巻き付ける…。



「おっ、今度は跳ね返さねぇな。だったらこれでどうだ!」


 巻き付けた鞭剣を一気に締め上げる。



『ピュン……パシーン!』



「なっ…」


 締め上げた途端に巻き付いていたはずの鞭剣が全て弾かれてしまった…。

 どう言う原理かわからないがワイヤーは切れ、剣はバラバラになった…。



「チッ…ウェポンチェンジ」


 バラバラになった鞭剣をしまい次は槍だ。


 しかし不気味な程アイツからは何もして来ないな…。なんなんだコイツは…戦う気があるのか?


 一方的におれが攻撃してるがその全てを防いでしまうしおまけに反射のカウンターまで付いてくる…。

 今までの流れから予測するにあの反射の方向は恐らくランダムだ…。


 そこまではわかった。ただ戦い方がわからねぇ…。



「本当にクソ面倒臭ぇ特性もってやがる…。」



〈キュキュー!キュキュ!!!〉



「悪いがモンスターの言葉はわか…チッ」



『カキンッ!』



 コイツ最初からこれを待ってやがったのか…。

 他に敵の気配を感じ振り向いた時にはもう目の前に空からタックルカブトが襲いかかって来ていた。


 間一髪で槍をタックルカブトに当てタックルカブトの突進を逸らす。



「メスは守られて当然ってか?まるで女王様だな。」


 タックルカブトは一体ではない。まだ距離はあるがよく見ればどんどんこっちに向かって来ている…。



〈キュキュキューキュキュー!!!〉



 どうやらあの鳴き声は仲間を呼び寄せる信号と命令を出す掛け声だ…。

 どの範囲のタックルカブトにまで聞こえているのかわからないが一人で相手するには面倒だな……


 間髪入れずに他のタックルカブトが次々に襲いかかって来る。



「チッ…」


 ここは一旦離れた方がいいな。タックルカブトを回避しながらクリスタルカブトと距離を取ろうとするが…



〈キューキュキュ!〉



 命令を出しながらしっかりおれに付いてくる。



「ちゃっかりしてやがる…おれは逃さねぇってか?」


 クリスタルカブトは一貫して攻撃はして来ない。だが一定の距離保ってを離れない…。

 だけどこいつは攻撃しないって前提で立ち回るのは危険だな。もしアイツが攻撃する隙を待っているだけだとしたら……



「どちらにしろこのザコは倒すがな!」


 迫って来たタックルカブトのツノを避け腹を槍でぶっ刺し風穴を開ける。



〈ゴォ…〉



 それだけでタックルカブトは消えていく。ユウキ達は苦戦していたが少し強くなったタックルカブト程度ならおれには何の脅威でもない。


 数が増える事は確かに危険だが倒して数を減らせば増えないのと同じだ…。



〈キュ!キュキュー!〉



 クリスタルカブトの命令でタックルカブト達は一斉に回転しながら突進してきた。



「ウェポンチェンジ」


 槍を二丁拳銃に変える。



「奥義・ホーミングランチャーズ」


 二丁拳銃がさらに16発装填のロケットランチャーに変化する。肩に乗せ狙いを定める必要も無く撃つ。


 この技は銃を装備している時しか使えない。前に使ったリッパーソードは剣装備でないと使えないと言ったようにおれの奥義はそんな能力ばかりだ…。


 タックルカブトに向かってミサイル達が飛んでいく。このミサイルは避けた所で追跡する。

 まぁ真っ直ぐ突っ込んでくるしか能がないタックルカブトには関係ない話だがな…。



『ボーンボーンボーンボーンボーン…』



 回転しているタックルカブトの貫通力はそこそこだがホーミングランチャーズの前では意味をなさなかった。

 爆発に巻き込まれ一体また一体と数を減らしていく…。



「守ってくれる兵士はいなくなったぞ。さぁどうする?お姫様。」



〈キュキュキューキュキュ!〉



「また呼ぶのか?いいぜ好きなだけ呼べよ。おれもその間にお前の倒し方を見付けてやるよ!」








 〜休憩中の階段〜



「それでどうなったの?倒してないんでしょ?どうやって逃げてきたの?」


「まぁ焦るな、話には順序ってもんがあるんだ。」


「早く続き聞きたい!ねぇギルマス早く!」


 ホークがワクワクモードに入ってしまった。こうなったら止まらないぞ…。



「ホーク落ち着いて!そんなんじゃギルマスも話せないだろ。静かにしてる方が早く聞けるぞ。」


「わかった!」


 わかったって口では言ってるけどワクワクは抑えきれてない…座ってるのに身体が上下しちゃってるよ…。



「つってもそこからはゴロズが合流して逃げるだけなんだがな。」






 〜再びグリードVSクリスタルカブト〜



「やっぱり攻撃は跳ね返すか…」


 持てる限りの攻撃方法を試すが全て反射されてしまった…。

 斬撃も一点突きもその他も全てダメ…。



「こりゃおれじゃ倒せそうに無いな…」


「グリード!無事か?」


「ゴロズか、お前が来たって事はユウキ達はちゃんと逃げれたんだな?」


「あぁ無事に階段で休んでるよ。それよりどう言う状況なんだ?説明してくれ。」


「あのボスは攻撃を全て跳ね返す。そのせいでダメージの入れようが無いんだ…。

一定の距離を保って離れないしタックルカブトを呼び寄せる鳴き声を使ってくる。

アイツ自身は攻撃をまだしてこないが攻撃手段が無いのか、それとも隙を狙ってるのかサッパリわからねぇ。」


「なるほど、お前が手こずるはずだ。倒せないボスか…なら逃げるか?」


「あぁ、だが逃げるにしてもついてくる。わざわざ階段の近くまで連れて行って十階層を攻略した後のユウキ達の帰りまでそこから動かないとしたら、階段を出た途端にボスとかち合ってしまうからな。できればそれは避けたい。」


「それはそうだ。ユウキちゃん達は帰りは三人になる。いくらシルバちゃんがいるにしてもタックルカブトに苦戦するユウキちゃん達には危険すぎる。」


「だからどうするかさっきから考えてるんだが、いい案が浮かばねぇ。ゴロズ何かないか?こうしてる間にもタックルカブトはまた集まってくる。」


「ねぇグリード、アイツが跳ね返すのは攻撃だけなのか?」


「どう言う事だ?」


「例えば地面に埋めるとか、周りの木を倒して動けなくするとかは試したか?」


「いや、そこまではやってない。……そういえば鞭剣で巻き付けた時は締め付けるまで跳ね返されなかったな…。」


「巻き付けるだけなら跳ね返さない……!!それよ!アイツが跳ね返すのは攻撃だけ!ダメージが入らないのなら跳ね返さない。」


「なるほどな気付かなかったぜ…おれもまだまだだな。」


「それならあたしに任せなさい。今は一旦退却よ。」



〈キュキュキュキュキュー!!〉



「あら、キャワイイ鳴き声ねぇ…声だけなら取り替えてあげてもいいわよぉ〜。」


 ゴロズがクリスタルカブトに即座に近付き持ち上げる。



「攻撃の暇なんて与えないわよ。ドラァァッ!!」


 階段とは逆方向に思い切り投げる。これなら投げているだけでクリスタルカブトにダメージを与えていない。

 クリスタルカブト自身が攻撃してくる可能性もあったが、ゴロズの早業によってそれもできなかったようだ。



「今よグリード!階段に急いで!」


「わかった。」








 〜再び休憩中の階段〜



「それで逃げて来たんだ。」


「マーガレット姐さんパネェ!!!カッコいい!」


「ホークちゃん、あたしを褒める時はカッコいいじゃ無くて綺麗の方が好ましいわぁ〜。」


「悪いことをしていないホーク君に過酷な罰を与えるのはやめてください。」


「シルバちゃん嫉妬しないの!あなたもあたしを褒めたいんでしょ〜?マーガレットは全てわかってるわぁ〜♪」


「………はぁ…。」


 あっシルバさんが諦めた。ため息ついて何も言わなくなっちゃった。


 それにしてもあのクリスタルカブトはギルマスの話を聞く限り無敵だ…。

 攻撃だと判定したら反射してしまう。魔法も物理も関係ない。そんなボスの倒し方なんて……あれ?いや待てよ…



「ん?どうしたユウキ黙り込んで。」


「おれクリスタルカブトの倒し方わかったかもしれません。」


「本当?」「本当か?」「本当かい?」「本当なの?」


 全員がおれに詰め寄ってくる。圧が凄い、圧が…



「確信があるわけじゃないですし、本当に通用するかわからないですけどね…。」


「説明してくれ。」


「わかりました。」

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