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53.なりきり師、虫特訓。

 モンスターの位置はわかるが絶対に戦わないで済むなんてルートは存在しなかった。

 戦わないで進もうと思うとかなりグネグネと回り道をしたり遠回りをして進まなければいけない…。


 普通のタックルカブトは魔法に弱いみたいだし最低限の戦いで済むルートを選びおれたちは九階層を攻略中だ。



「もうすぐ一体目と出会います。このモンスターはどんな攻撃をしてくるんですか?」


「タックルカブトの攻撃は主に体当たりだな。回転を加えて威力を高めてきたりして周りの木を折ってでも突っ込んでくるぞ。」


 名前の通りタックルしてくるのか…カブトムシのタックルかぁ…やだなぁ…



「図体はデケェから木に隠れるんじゃなく避けろよ!あと3つのツノを使って攻撃してくるからそれには注意しろ。真正面から受けると身体を貫通するぞ…。」


 ん?ちょっと待て…今サラッと変な事言ったぞ!

 ツノが3つもあるの?カブトムシなのに?それクワガタじゃないの?


 あれ?でもクワガタでもツノは2つだよな…?

 あれあれ?クワガタのあれってツノだっけ?ちょっと混乱してきたぞ…



「なんか一気にイメージできなくなったんですけど…タックルカブトはおれたちでも倒せるんですよね?」


「心配しなくても大丈夫よぉ〜。さっき戦ったアブゾープトレントよりも物凄く弱いもの♪」


 おれたちアブゾープトレントと戦ってないんだけど…てか普通の敵がボスより弱いなんて当たり前だろ……



「不安しかないんだけど…大丈夫かな…」


 そんな不安とは裏腹に最初のタックルカブトにはすぐそこまで近付いている…。

 この木を抜ければ姿を確認できるはずだ。



「うわぁ、デケェ…」


 ブーンビーとサイズ的に変わらない気がする…。今度は原付きサイズのカブトムシかよ……



「気持ち悪ぃ…それになんだよあのツノ…」


 虫嫌いにこれはキツイ…ブーンビーの時もそうだったが小さくても触れないのに、それが異常な大きさで存在するんだ…それはもうただの恐怖の塊でしかないのだ…。


 3つあるって言ってたツノは確かに3つあった。だがカブトムシの特徴的なツノの先端のY?T?っぽい部分が完全に尖っている。

 正面から見ると真ん中と左上と右上の3箇所にツノがあって、しかも根本に繋がる途中部分はギザギザになっていた。



「おれの知ってるカブトムシと余りにも違いすぎて弱そうな気があんまりしないんだけど……

とりあえずこの距離ならいけるかな?鑑定!」



タックルカブト


レベル20


HP462/462

MP81/81

攻撃163

防御135

魔攻55

魔防44

俊敏148

幸運72



 おや?…おやおや?ちょっと強くないか?確かにボスよりは弱いんだろうけどさ…強くないか?



「あの…タックルカブトってほんとに弱いんですか?なんか結構ザコ敵としては嫌なステータスしてるんですけど…」


「どう言う事だ?シルバ確かめてみろ!」


「わかりました。鑑定……なるほど、確かに普段のこのアイズダンジョンで出るタックルカブトよりステータスは格段に強くなってますね。」


 やっぱりそうだよね?普通に強いよね?魔法が弱点だって事は変わってないみたいだけどステータス高いよね?


 これまで活性剤のせいで色んな効果が出てたけどこの階層はどうやらモンスター自身のステータスアップだな…


 よりにもよって虫系モンスターで倒しにくくなるのは辞めてほしかったよ……



「どうします?気持ち悪いし帰りますか?」


「帰らねぇよ!次が目的地だろうが!せっかく最小限の戦闘で済むルートで来たんだどの道倒す以外の選択肢はねぇんだよ!行ってこい新人!」


「えっ、まさかおれたちだけでまた戦わせるつもりですか?」


 こんなステータスの敵はそんなに簡単には倒せないぞ…

 音を出したりして他のタックルカブトを呼び寄せても嫌だしギルマスがスパッと斬ってくれれば簡単に済むのに…



「何事も経験だ。それにだユウキ、これはお前の為でもあるんだぞ!」


「おれの為?」


「そうだ。冒険者にとって苦手な物は克服しなければいけない。

どうやらお前は虫が苦手なようだしここで嫌だからいけない。なんて事になったらおれはギルマスとして街に帰ったらお前と虫特訓をするつもりだ。」


「虫特訓…?」


「そうだ。ギルドの一室を貸し切って部屋中に何千、何万の虫を入れてその部屋にお前を閉じ込める。

荒療治だが最高の克服法だ…。」


 ゾーーーーーッ!!!考えただけで寒気がする…。冗談だよな?いや、この人ならやる。

 今までの経験からそう確信できる。このギルドの人達は全員頭がぶっ飛んでる節が何回もあった……



「ここで虫系モンスターに立ち向かうのと街に帰ってのおれとの虫特訓…。

どっちが頑張れそうかよぉーーく考えるんだぞ。」


「どっちも断るってのは…」


「もちろんない。」


 ですよねー…って最悪だこのギルマス…おれの嫌がる事をあんなニコニコしながら楽しそうに提案してくるなんて!


 マジで仕返しメーター振り切るからな!限界突破するからな!



「行けばいいんでしょ!行けば!!この借りは絶対返すからな!」


「あっ、ユウキ待ってよ!おれも行く!」


 虫特訓の方がタックルカブトを相手するより何倍も何十倍も嫌だ。虫は嫌いだけど仕方ない…カブト駆除するか…。

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