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10.なりきり師、大ピンチ。

 お祭りのように何体も次から次へとモンスターが集まってくるモンスターフェスティバル。

 大量発生で暴走するスタンピードとは違いとある場所を狙って発生するモンスター災害……。


 そして今回はおれたちがその場所だ…



「クソッ!余計な事をしやがって!スラッシュ!」


 残りのギャザーウルフとの距離をなくしスラッシュで仕留める。



「ホーク!ヤバイ!仲間を呼ばれた…恐らく逃げ切れない。ここに大量にギャザーウルフが来る。戦えるか?」


「当前!逃げ切れないんでしょ?戦うしかないじゃん!」


「わかった。それなら…なりきりチェンジ 魔法使い」


「ユウキ?なりきりチェンジは使わないんじゃなかったの?」


「そんな事言ってられなくなったからな…

ファイアーボール!ファイアーボール!ファイアーボール!ファイアーボール!」


 と、おれはファイアーボールを唱えまくった。



「ちょっ!どうしたんだよユウキ!?」


「少しでも戦場を広げる!ホークは警戒を怠るなよ!」


 敵の姿が隠れるような大きな岩にファイアーボールを当て吹き飛ばす。

 なりきりチェンジをしたのは武器を変え魔攻を上げる為だ。


なりきり魔法使いの杖 魔攻+10

なりきり魔法使いの帽子 魔攻+4  魔防+7

なりきり魔法使いのローブ 防御+5 魔防+5


 なりきりチェンジするだけで計14の魔攻を武器補正によって上げることができる。

 おれたちが見ているステータスには武器や防具の強さは加算されていない。

 できるだけ威力を高めてファイアーボールを打つ。



「ファイアーボール!ファイアーボール!」


 ファイアーボールを打ちまくり周りの岩を吹き飛ばした結果歪な形の円形ができた。

 先程までは直径5メートル程だったが少し広がり10メートル位なら見渡せる程になった。



「ユウキ!それ位にしとかないと魔力が無くなっちゃうよ!」


「大丈夫!ちゃんとわかってるよ。まだ平気だ!

それよりホーク、ポーションを渡しておく。ヒールを使う暇があるかわからないから持っていてくれ。」


 普通のポーションとマジックポーションをホークに渡す。ダンジョンに入る前に買っていた物だ。

 まさか一日目に使うとは思っていなかったが買っておいてよかった…。



「ありが─ユウキ!後ろ!」


 しまった!…もう来たのか?ちょうどホークにアイテムを渡したところなのでホークは剣を収めていた。

 まだ戦士に戻していないのに振り向くともう目の前までギャザーウルフが一体迫っていた。



「サンダーウィーーーップ!!!」


 なりきりチェンジをしている時間はないのでとっさに魔法を唱える。


 するとおれの手に雷の鞭が発生した。


 魔法を使った本人だからかわからないが、雷なのに持っていても全然痛くないし痺れないし感電しない。



「くらえ!」


 あと2メートル程に迫っていたギャザーウルフにサンダーウィップを振り攻撃する。



〈ギャガァァ〉



 うーわ…丸焦げだ……サンダーウィップは振った途端に相手の胴体へ巻き付きギャザーウルフを感電させた。

 射程は短いのか多分届いても3メートル位だが威力は申し分なかった。


【魔法使いの熟練度が2に上がりました】

【スキル ウインドサイズを覚えました】

【スキル アイスニードルを覚えました】



「すげぇ…ユウキ!めちゃくちゃカッコイイよ!」


「ハハ…魔法ってハンパないな…。」


 初めて魔法でモンスターを倒した事に呆然とする。


 駄目だ!今は戦闘中だ!早く戦士に戻って対応しなくては!



「なりきりチェンジ 戦士」


 戦士に戻り近距離戦闘ができるようにする。魔法使いだと魔力を使わないと全く戦えない。

 熟練度が上がってステータスも上がっただろうが確認する暇はない。


 このモンフェスをどうにかしなければ…



「ホーク!気合いいれろよ!」


「もちろん!」
















 〜同じフロアの別の場所のとあるパーティー〜



「ねぇねぇ聞いた?さっきの遠吠え!何処かでモンフェスやってるよ!面白そうだし見に行こうよ!」


 小さい体に魔法使いの装備を身に纏い、だが普通の魔法使いの格好と違いローブでは無く動きやすそうな服の少女。



「ユキノ、何を言ってますの?私達にそんな時間はありませんよ。」


 さっきの少女とは反対にカッチリとローブを着て、派手なメイスを持っている落ち着いた女。



「え〜!面白そうなのに!ねぇ、ショウもそう思うでしょ!?」


「そうだね。でもアイリの言う通り僕達にはやる事があるだろ?」


 ピカピカと輝く派手な装備を全身に纏い、どちらも否定せず、自分たちの目的を優先する優男。



「そうだぜ!こんな低階層でモンフェス起こすような雑魚に構ってる暇はねぇ!」


 荒々しくも雑魚に興味がないといった態度を取る筋肉モリモリの男。



「それを見るのが面白いんじゃん!わざわざこんな辺境のダンジョンまで来たんだしぃ〜ボク少しは楽しみがあってもいいと思うんだ!?」


「ユキノ、今回は我慢しよう?タツキの言ったように低階層のモンフェスなんて僕達が構う必要はないよ。

だって僕達は個人ではなく世界を救うために最下層の悪魔を倒さなければいけないんだから……。」


「ブー!しょうがないなぁ…今回は我慢するぅ。でもでもなら十階のボスはボクにやらせてよ?ね!いいよね?」


「仕方ないなぁ…。今回だけだよ?」












 〜ユウキ&ホーク〜


「ハァハァ…ユウキ何体倒した?」


「ハァハァ…今ので7体目だ。ホークは?」


「6!くっそ…まだ終わんないの!?」


 戦っている内に戦士の熟練度も6に上がった。

 あの後更に二人で計13体のギャザーウルフを倒しているが終わる気配がない…。

 それどころかますます遠吠えは増え倒しても倒しても次々にやってくる……。



「ホーク!疲れは?体力は大丈夫か!?」


「大丈夫!さっきポーション飲んだよ!凄いねこれ!傷が無くなったよ!」


 おれたちでも買える程度のポーションだ。深い傷だと治せないと思うが、幸いおれたちはそんな怪我は負っていなかった。



「それはよかった。あとこれも持ってて!二本しか買ってないから大切に使ってくれよ。」


 ポーション、マジックポーション共に一人一つ分しか買ってない。手持ちの金を節約せずにちゃんと買っとけばよかったな……



「これはユウキの分でしょ!?」


「おれにはヒールがある。まだ魔力もあるし、マジックポーションもある。ホークが使ってくれ!」


「わかった。ありがとうユウキ!」


 とは言えこんな事ずっと続けていられない…。

 これだけの数のギャザーウルフがこの階層にいるのかそれとも何処かでリポップしているのか……

 後者なら最悪だ…。終わることのないエンドレスバトルだ…撤退する事もそろそろ考えなくてはいけないな。



「オッルァァ!」


 ホークがまた一体倒した。もしここがダンジョンでは無くフィールドだった場合ギャザーウルフの死体と血で地獄絵図だっただろう。



「おっ!ユウキおれレベルが上がったよ!新しいスキルも覚えた!」


「ほんとか?よかったな。フンッ!でも今は目が離せない!ハッ!後でゆっくり見せてくれ!」


 戦いながら話せるまで戦闘的には余裕になった。

 ギャザーウルフは連携は取るが考えはなく突っ込んでくるだけだ。

 出てくる場所さえわかればレッサーネコマタとなんら変わりはない。



【戦士の熟練度が7に上がりました】

【スキル 兜割りを覚えました】


 熟練度が上がっても確認する時間がない…ステータス画面を見ている隙なんてモンスター相手に見せる事は出来ない。

 それにしても熟練度10倍ってつくづくチートだな…準備さえちゃんとしてればこの戦い方ってレベルアップに最適なんじゃないか?



「次から次へとしつこいんだよ!」


 ホークもコツを掴んできたのか難なく倒している。これで今おれたちの前に出てきた分は全て倒した。


 ほんの数十秒のインターバルだ…。


 少しの休憩がやっとできる…そう思ったその時少し遠くで遠吠えをしようとしているギャザーウルフを目の端が捉えた。



「させるか!ファイアーボール!」


 魔法使い武器じゃ無いので威力はさっきよりも落ちたがしっかりとギャザーウルフにヒットした。

 だけど遠吠えは止めれたがまだ生きている。



「ホーク!」


「任せて!双刀斬そうとうざん!」


 ホークの新スキル双刀斬。

 二本の剣を同時に振り抜きギャザーウルフを三枚おろしにした。骨もろとも斬り抜いている。



「よし!ホーク今が最大のチャンスだ!一階層に戻るぞ!」


「わかった!」


 見える範囲のギャザーウルフの毛皮をインベントリに回収し階段まで走る。

 おれたちの俊敏も上がったようでさっき走った時より早く走れた。



「ユウキもう帰るの!?」


 走りながら話す余裕がホークにはあるようだ…帰るのか聞いてきたので無言で頷く。



「そっか!りょーかい!」


 遠吠えは途絶えあれから聞こえなくなったがおれたちは構わずに走り続けた。



「ユウキ!見えたよ!上に戻る階段だ!」



 マップを使い一直線に戻ってきたので迷うことはない。おれたちはそのまま階段を駆け上がった。





「ハァハァハァ…ホーク…ハァ…怪我は無いか?」


「うん!大丈夫!でもユウキ疲れてるところ悪いんだけど水をくれないかな?喉がカラカラなんだ…」


「ハァハァ…わかった…」


 インベントリから水筒を出しホークに渡す。おれは長い距離を全力疾走したので、まだ息が整わない。



「はい、ユウキ飲める?」


 ホークは自分が飲む前におれに渡してくれた。自分の喉もカラカラなのに優しい子だ。


「ハァハァ…あり…がとう…」


 遠慮せずに貰う。ただの水なのに物凄く美味かった。



「それにしても長い間戦ったね!レベルも上がったし新しいスキルも覚えたし来てよかったね!」


 あんな目にあったのに『来てよかった』か…全く、ホークには敵わないな…

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