転生チートはマジカルアナル
「残念ですが、あなたは死にました」
「あなたにはこれから私の管理する世界に転生してもらい」
「魔王を倒していただきます」
「転生特典としてマジカルアナルを与えます」
「最強のアナルです」
「ではいってらっしゃい」
私はこのファンタジーな世界でそこそこ大きな貴族の三男坊として生を受けた。転生チートをもって生まれた私は必然的にアナルにものを入れがちな幼年期を過ごした。私は自分の武器のことを知り尽くす必要がある。私はこの武器で魔王を倒さなければならないのだ。そういったわけで私はハイハイよりも先に自分のアナルをいじることを覚え、乳母をよく困らせていた。
歩き回れるようになってから私の研究はさらに発展していった。どれだけの大きさの物を入れられるのかを調べるために、ペン・スプーン・家紋・箒・積み木・レンガ・火のついたキャンドル・庭に落ちていた大きめの枝・家宝の剣などなど、目につく物を片っ端からアナルに入れていった。
さすがチートというべきか、驚いたことに私の体の大きさを超えるものでも難なく収納することができた。しかも全く痛くないのだ。いくら入れてもお腹が苦しくなることはなく、むしろ重さで動けなくなるほうが先だった。
しかし転生チートをもってしても、私の人生は順風満帆とはいかなかった。8歳の時、魔力属性を調べる儀式で私に魔力がないことが判明したのだ。
この国において魔力の強さと量は重要なステータスであり、魔力を持たない私に向けられる目は次第に冷たいものとなっていった。(あるいはなんでもアナルに入れる私の癖のせいもあったかもしれない。)しかし私が落ち込むことはなかった。魔力はなくとも私にはアナルがあるのだ。
そしてとうとう13歳の誕生日に私は家名を名乗ることを禁じられ、家を追い出されてしまった。ただ手切れ金として十分なお金を渡されたので、かなり有情な待遇といえる。アナルが締まる思いだ。
家を出た私は東の国を目指すことにした。東の国は最も魔王に近い国であり、なんと魔王城から海峡を挟んだ真向かいに王都があるというとんでもない立地になっている。馬車の中で、私はこれからのことを考える。魔力のない今の私では魔物一匹倒すことはできまい。攻撃手段の確保が急がれる。アナルを締めて頑張らなければ。
火薬とアナルを組み合わせたアナル爆弾、及びそれに金属の球を加えたアナル鉄砲は半分成功、半分失敗といったところだった。物理的な威力は出たのだが、獣ならともかく、純粋な魔物には今一つ効果がなかった。魔王を倒すにはやはり魔法しかないのか……
しかしめげることはない。魔力がないなら人から分けてもらえばいいだけの話だ。幸いにして私には魔力をためるための器がある。私は冒険者ギルドに以下のような依頼を出した。
『内容:私のアナルに魔力を注入してください。
期間:一日
報酬:50万グラント
募集条件:中級以上の魔法使い。属性は問いません。
備考:食費出します』
受付の人には複雑な顔をされたが、違法な依頼ではないし、何より十分な報酬を出しているのだ。正式な依頼として受理していただいた。
次の日、ギルドから魔法使いが派遣されてきた。豊かな茶髪をもった上品そうな少女だったが、服にはところどころ補修の跡があり、金に苦労しているところが伺えた。
私は早速彼女の前でズボンと下着を下げ、私のアナルに魔力を放出してほしいと伝えた。彼女は顔を引きつらせながらも杖を穴に挿入し、魔力を注ぎこみ始めた。彼女は炎の魔法使いらしく、あたたかな魔力が中にたまっていくのを感じた。彼女は私の体を心配しているようで、作業中しきりに大丈夫か聞いてきた。優しい女性だ。
私のアナルにはまだまだ余裕がありそうだったが、彼女の魔力が尽きたためその場はお開きとなった。
次の日、手に入れた魔力を試すため荒れ地に向かうと、魔法使いらしき少女が多数のごろつきによって地面に押さえつけられているところが遠目に見えた。私はズボンと下着を下ろし、炎の魔力の一部を解放する。アナル爆弾から着想を得たアナルジェットにより、文字通りひとっ飛びでごろつき共の間に割り込み、少女を抱きかかえ、即座に再びアナルジェットで離脱した。
少女はひどくおびえていた。先ほどまでごろつきに襲われていたのだ。無理もない。彼女は氷の魔法使いだそうだが、動揺により魔力の集中ができなかったそうだ。
しばらくして落ち着いた後、彼女はお礼をしたいのでなんでも言ってくださいと言い出した。せっかくなのでアナルに魔法を注入してほしいと頼んだところ顔を真っ青にして後ずさりを始めたが、報酬として50万グラント払うと告げ札束を突きつけると、しばらく懊悩し最終的には何かをあきらめたように札束を受け取った。
まだ私のアナルには炎の魔力が残っている。ここに氷の魔力を注ぐとどうなるのだろう。違う属性の魔力を混ぜ合わせる実験は様々な研究機関で行われているらしいが、炎と氷のような相反する属性の魔力は反発しあってしまい、上手く混ざったという報告はない。しかし、私のアナルであればあるいは……
彼女が魔力を注ぐと、ひんやりとした魔力がアナルを通っていくのを感じた。私の第六感が中に残っている炎の魔力との類似性を感じたため、ひょっとして昨日の少女の親戚か何かかと思い尋ねたところ、どうも二人は双子の姉妹らしい。姉にも昨日魔力を注ぎ込んでもらったことを伝えると、彼女の目から光が消えた。
双子の魔力はアナルの中で混ざりあうことなく存在していたが、私がアナルを全力で締め付けると徐々に混ざり始め、ある時点から膨大なエネルギーを放出しながら一気に溶け合い始めた。
急激な反応に戸惑いながらも私の持ちうる力のすべてを肛門括約筋に集中させ、少しのエネルギーも漏らさぬようにしていると、お尻越しに少女が心配そうにこちらをうかがっているのが見えた。これほどまでの巨大なエネルギーをうかつに解き放ってしまえば彼女を傷つけてしまう。救いを求めるように周りを見渡すと、魔王城が目に入った。
私は姿勢を変えようとするが、少しでも動くことに力を使おうとすると肛門括約筋が緩みそうになってしまう。そこで彼女に頼んで、私のアナルを魔王城に向けてもらった。アナルの方向について細かく指示を出し、ぴったりと照準があった瞬間にアナルを全開放する。私のアナルから漏れ出したエネルギーがすべてを飲み込みながら魔王城に到達し――
光が収まったころには魔王城は更地になっていた。
こうして私は魔王討伐を成し遂げた。