都市伝説
彼女の死を見届けたアーテルスはヘルガを見る。彼の鼻からも血が零れていく。
「ヘルガ、もう敵は居ない。鎮まりなさい…俺を護ろうとしてくれてありがとう」
ヘルガはその言葉を待っていたかのように微笑み、その場に崩れる。
「ヘルガ、お前は少し休みな」
アーテルスは彼を抱える。返答は無いが、寝息は聞こえる。
「ヘルガのやつ、どうしちまったんだ?」
「ヘルガは昔に人間によって違法の薬物を飲まされ続けていた時があるんだ。こいつは死ぬ事がないからな。そのせいでか、自分自身を制御する脳の機能が低下して今みたいに暴走に似た行動を取ってしまうんだ。だけど最近は俺自身が危険な状態、自分自身が危険な状態な時だけこのような行動をとる。それより、どこか横にすることが出来る場所は無いか?このままじゃこいつも休めれない」
アーテルスは町の人々に訊くが誰も答えない。この状況になっても、協力する人々は居ないよう。
「王宮へ…王宮へいらして下さい。そこには医師も、眠ることができる場所があります…」
顔が赤くなったアルテはアーテルスに伝える。彼女は馬を動かし、王宮へ向かう。
「よろしければ、皆さんも」
彼女は静かにエルピオン達に伝え、王宮へ戻っていく。エルピオンは全員と顔を合わせるが頷いて彼女の後をつける。
◆❖◇◇❖◆
王宮に着いたエルピオン達は王宮にある客間でお茶を飲みながら呼ばれるのを待つ。
アーテルスは眠ったままのヘルガを医務室に連れて行き、怪我などを見てもらいながら休ませてもらえることになる。
「おまたせしました。王女がお呼びです」
中に入ってきたメイドがエルピオン達を連れて王女の部屋へ向かう。
「王女様。彼女らを連れて来ました」
「ありがとう…セリコ。貴女は下がって」
「はい」
「お邪魔しま〜す」
「貴女がエルピオンさんですね?ヘルズから聞いています」
「ヘルズのこと知っているのですか?」
「ええ、彼は元々は私の護衛兵士ですから…。よく私の話し相手になってもらっています」
「ヘルガのこと、ありがとうございます」
「魔王様。まさか貴方様が国から離れて旅をしているとは、思ってはいませんでした」
「ところで、ここに俺たちを呼んだのはどういう考えだ?ここで俺たちを殺すという意味か?」
「病気持ちの私がそんなことできるとお思いですか?」
「違うのか?」
「ええ、ところで、みなさんは何の目的で旅を?」
「マヌスをぶっ倒す。それだけです」
エルピオンが率先として答える。その言葉に彼女は微笑む。
「そうですか」
「あの、姫様」
「なんでしょう?」
「貴女は何かの毒に侵されていますね」
「貴女は…?」
「私は魔道士です。あなたの症状を見る限り、グレル草に触れませんでしたか?」
「グレル草?どういう物なのですか?」
「ご存知ありませんか?確か奇跡の薬草、アケレという薬草と似ているのですが…」
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