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師匠との思い出

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 森林の中を、二人の男女が決闘をしている。


「遅い!遅いぞ、エル!」


 男の方は、狐のお面を付け龍が渦巻いたかのような着物を来ている。女は、軽い軽装で煉獄の炎のような髪が特徴的だ。


「クソがッ!」


 彼女は斬りかかるように木刀を振る。だが、彼に弾かれ空中で一回転させられる。彼女は受け身を取れずに、背中から地面に叩きつけられる。


「痛っっってぇー!!」


「その男言葉のような喋りをやめろ!お前は女だろうが…」


「だってさ〜…」


 エルピオンは文句を言うように頬をふくらませて怒る。


「昔はそうでは無かっただろうに…」


 師匠は肩をすくめる。


「隙やり!」


 エルピオンは師匠のお面を外しに掛かるが、木刀で頭を叩かれる。


 ◆❖◇◇❖◆


 エルピオンが気がついた頃には、真夜中になっており師匠が火を炊いていた。


「目が覚めたか。食事にするぞ、こっちに来い」


 エルピオンはハイハイするように焚き火に当たる。空を見上げると、いつも火山龍(ヘルメルドラゴン)が飛んでいた。


「ねぇ師匠。なんでいつも火山龍が飛んでるのさ」


「私が居るからだよ。火山龍は暖かい場所を好む。我々が炎

を使うからこの辺の気候が暖かくなるのさ」


 師匠は串に指した砂漠豚(フローレン)の焼いた肉をお面を浮かせて口に運ぶ。師匠はいつも顔を見せてくれない。理由は分からない。どっちかと言うと、見てみたい。


「なんだ、食わないのか?」


「いや、食べるよ!」


 エルピオンは焼けた肉を口に運ぶ。やはり砂漠豚の肉は脂たっぷりだが、あっさりしていて旨みが閉じこもっている。


 ◆❖◇◇❖◆


 そんなこと考えながら、エルピオンは森林を登る。

 ここの気候は暖かい。奴らにとって居心地の良い場所。


「早く見つけよう。ここより暖かい場所は…っと」


 エルピオンは森林を出ると、絢爛豪華な衣装に身を包んだ貴族のような剣士と、見たところみすぼらしい服装をした女魔法使いと男の槍騎士と男の弓騎士がいた。

 みすぼらしい見た目の人は何かに脅えているように、体を震わせている。


「早く火山龍(ヘルメルドラゴン)を探せ!」


 剣士は探そうともぜずに、パーティーに命令する。


「そ、そんな事言われても…」


 魔道士は肩を震わせながら、その場から動けなくなってい

る。彼女は目に涙を浮かべる。

 エルピオンは哀れに思いながらも、空を見上げる。頭上には

鳥が飛んでいるだけ。火山龍の姿は見えない。ならば、呼び

出すだけ。


「獄炎の舞ー火山炎ー!!」


 エルピオンは剣で地面を突き刺す。そこから火山が噴火するかの如く、火柱が立つ。近くにいたパーティーは驚いて、後退りをする。


「何やっているのだ?あいつ…」


 剣士はおかしなものを見るかのように、ジト目をする。

 キャァァァァァァァア!!!!

 どこからともなく、ドラゴンの鳴き声が鳴り響く。


「来たか…」


 エルピオンは空を見る。


 山の上からマグマのような高熱で熱しられたような赤い鱗。蝙蝠のような赤い羽を動かし、こちらに近寄る。

 だが、横からさらに大きい火山龍がこちらに飛んでくる火山龍を攻撃する。


「なんで?!」


 エルピオンは思わず声が漏れる。そのドラゴンは体勢を崩してエルピオン達がいる大地に滑るように落ちる。


 そして2頭の火山龍は喧嘩を始める。確か大きいのがオスでそいつより一回り小さいのがメスだったはずとエルピオンは見る。それに火山龍は今は繁殖期。オス同士で殺り合うのはわかる。だが、相手はメスだ。メスを襲う火山龍は初めてだ。

 キェェェェェェェェン!!

頭が痛くなるほどの奇声にエルピオンは耳を押さえる。すると、頭に流れ込んで来るように、声が聞こえる。


「逃げて!」


「えっ?誰?」


 両者が噛み合っている間から、小さな火山龍が飛び出す。フラフラになりながらも、両者から離れる。

 それを見たオスの火山龍はメスから離れ、子供を狙う。

エルピオンはその瞬間を見逃さない。

 足に力を入れ、一気に進む。体制を低くしているオスの火山龍を仕留めに掛る。炎技でかかろうと思ったが、相手も炎属性。逆に相手に炎が飲み込まれる。ならば、師匠に教えて貰った()()()の方で斬る。


「水神の舞ー水龍ー!!」


 エルピオンの刃に水でできた龍が出現する。子供の火山龍が通りすぎ、エルピオンは剣を振るう。オスの火山龍の首が吹き飛び、胴体だけ後が、その場に崩れる。エルピオンは息を吐くと身体中からどっと汗が吹き出す。いつも水属性の技を使うと汗が止まらなくなる。いつか師匠に会えたらこうならない方法を教えてもらわなければ。

 ちょこちょこと小さな火山龍がエルピオンに近づく。


「良かった、無事だったんだな」


 キィィ♪

言葉は分からないが、喜んでいるようだ。ペロッとエルピオ

ンの頬を舐める。


「こら、やめろよ」


 エルピオンはあははと笑顔になる。はっと思い出すと、家族みんなが死んでから心の底から笑ったことが無かった。エルピオンはそっと火山龍を撫でる。


「ありがとな。笑わせてくれて」

ここまで読んでくださりありがとうございます。

ついにエルピオンの師匠が出てきました。これからどうなるのか、ご期待ください。

次回もまた読んでください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 師匠も出て来て盛り上がってきましたね。 評価やブックマークもさせて頂いたのでこれからも期待しています。
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