業火の弓
店から出た二人はシュンサクたちの元へ歩く。
「待たせてすまなかったな」
アーテルスは男を引きずる形でシュンサクたちの前で止まる。
「そいつ、何?」
「こいつは俺の次に強い騎士、ーヘルガ・ガレオンーだ。騎士と言われているが、弓兵だ」
「弓兵…その割には弓も矢も持っていないが…」
「確かに、お前弓矢はどうした?」
「そんなもん隠してるに決まってんじゃん!山の中とかに」
「隠してきたと言うのか?どこにあるんだ?」
「…」
「なぜ黙る…」
「それが…よく覚えてないんだよ…どこに置いてきたのかをね♡」
ヘルガは誤魔化すように笑う。アーテルスは言葉を失い呆然とする。
「どうするんだよ…こいつをよ」
「海底に沈める…」
「冗談だよ!覚えてるよ!だから海底に沈めようとしないでよ!」
「お前の冗談は冗談に聞こえない」
「酷い!」
「いつまでこの茶番に付き合えばいいんだ?俺は早くネーニャを助けに行きたい」
殺気を露わにしてウルファスは怒る。その姿にアーテルスは申し訳なく思う。
「すまなかったな。ヘルガ、早く弓矢を取ってこい!」
「はいはーい、すぐ行きますよ」
ヘルガはコウモリのような羽を生やして空に飛び立つ。服装も黒いのですぐに暗闇の中に消え去る。
「俺たちはどうすればいいんだ?」
「まぁ、エル達を探すとしよう。彼女たちの匂いは何となく覚えてる」
アーテルスは即座に走り出す。その後を二人は追いかける。
◆❖◇◇❖◆
「………!……て!…ル!……てよ!!…エル!!」
「…っ!」
大きな声にエルピオンは目を覚ます。目の前には心配そうにショートカットになったハルルカの姿がある。
「ルカ…!どうしたのその髪?!」
「気がついたらこんな髪になってたの。たぶん火刑に処す時に邪魔になるからかもしれない」
エルピオンは自分の髪を触るとかなり短くなっており、ボブショートの様になっている。おかげでただの赤い髪になってしまっている。
「目が覚めたようだな、魔女よ」
檻の前には見知らぬ男が立っている。
「お前は?!」
「今晩はお前らの処刑の日だ。最後に食べたい物はあるか?」
「私たちを殺すのか?!」
「もちろんさ、だから髪を切り落とした」
彼の手にはハルルカの髪とネールの髪が持っている。
「お前の髪は珍しかったから俺が貰ったよ。それよりお前から悪魔やら魍魎の匂いがするがどういうことだ?」
「悪魔はたぶんアーテルスのだろう。魍魎は私の師匠のだろう」
「師匠?」
「シュンサクだよ!」
「シュン…サク?もしかして!狐お面を昔まで付けてたか?」
「師匠のこと知ってるの?!」
彼は少し悩んだ顔をする。すると上から階段をおりてくる音がする。
「お前からは少し詳しく話を聞きたいところだけど後にしよう」
彼はエルピオン達に背を向ける。一体彼は何者だろうか。
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