若き長
大量に放電させるシュンサク。偽マヌスは毒液をシュンサクに投げつけるが彼は地面を破壊して姿を消す。雷のような移動速度に偽マヌスは動揺を隠せない。
「偽マヌスよ!お前の負けだ!」
シュンサクは偽マヌスの懐に入り込み刀を振り、首を斬り落とす。
地面に落ちる首。首と離れた身体は人形のように倒れる。
「勝ったのか?」
「そうだな…俺たちの勝ちさ」
シュンサクは自慢げに笑い喜ぶ。そしてエルピオンたちの元にゆっくり歩みよる。
「アーテルス、大丈夫か?」
「なんとかな…まだ毒素は抜け切ってないけどな」
「エルは?」
「大丈夫だよ」
エルピオンは立ち上がろうとすると振ら付きシュンサクにもたれ掛かる。エルピオンの視界はぐるぐると目眩がする。
「あれ?おかしいな…」
「エル、お前は少し座っていなさい。打ちどころが悪かったのだろう」
シュンサクはエルピオンを座らせて回復魔法をかける。
「シュンさん…これ」
ネールは粉々になったお面を持ってくる。
「ネーニャありがとう。でもそれはもういらないよ」
「いいの?」
「ああ、弱い俺と一緒にここに置いていくことにするよ」
「やっと…開放された…」
誰かが咳払いをして声を出す。それにハルルカは身構える。
「偽マヌス!まだ生きてッ!」
「いや、様子が違う」
シュンサクは振り返り、首を見る。すると首はマヌスの顔が砂とかして別の人の顔になる。
「君は?」
「君は確か…火山龍の若き長だね」
シュンサクは驚く顔をする。
「何故それを?!貴方は一体?!」
「自分は…カイリ・ユウ。君たちからしては『天空人』と呼ばれている者さ」
「天空人?!」
「何それ?」
「エル!天空人を知らないのですか?!」
「しらな〜い」
「ではご説明しましょう!」
天空人とはこの世界の創造主と言われる者たち。人類を生み出した言わば『神』と同じ存在。
下界に降りることがない彼らがここに居るはずがない。存在しないものと言われていたが、今ここにいるためなんとも言えない状態になっている。
「その天空人様がなんで俺のことを知っているのですか?」
「なぜ…確かになぜだよね。実はと言うと僕はいつも君のことを見ていた。しかしこの何百年間、君のことを見ていなかったのだ。それで火山龍の一族が人間によって滅ぼされ、若き長は魍魎化としてしまったと聞いてね、居てもたってもいられず下界した。その時にマヌスという者に闇の呪いを掛けられてしまって、やつの偽物として生きていた。堕天してしまってはもう帰ることも出来ない。それに自分はここで死ぬ」
「そんなことありません!」
シュンサクは魔法をかけようとするが、助からないと指示しているかのように魔法が使えない。
「自分の死期ぐらいわかっている。ところでエルとやら」
「私?」
「そう、君を見ていると…誰かを思い出す………」
天空人は次の言葉を発することも無く、砂となってしまう。
「もう、限界だったのですね」
「そのようだな」
「天空人の人が私を見て誰を思い出しそうだったんだろう?」
エルピオンは彼の言った言葉が脳裏に引っかかる。
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