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無力

 偽マヌスの蔓がシュンサクに向かうが彼はそれを斬って間合いを詰める。

 しかし偽マヌスは余裕を見せつつ、ため息を着く。


「シュン…君はこんなものでは無いだろ?本気を出しな」


「なんだと?!」


「シュン、お前なぜ人間を助けたんだ?」


「!」


 シュンサクは動揺する。しかし隙は絶対に見せない。


「お前は人間が憎いから魍魎に姿を変えた。それなのになぜ人間を助ける必要がある?」


「確かにそうだな!だがエルは違う!あいつは俺の娘だ!」


「娘?」


 偽マヌスは嘲笑う。


「笑わせてくれるなシュン。お前は人間と関わったから弱くなった」


「俺は弱くない!」


「弱いよ。ならなぜお面(そんなもの)を付けて戦うのだ?」


「ッ!」


「そうだろ?!お前は昔までそんなお面なんてつけていなかったはずなのにね!」


 偽マヌスは蔓でシュンサクを吹き飛ばす。壁に体を叩きつけられる。体の軋む音がするが気にしている暇なんてない。シュンサクの目の前にアーテルスを刺した毒の針が迫る。シュンサクは帯電で蔓を焼き斬り、毒針を避ける。


「惜しかったな。あともう少しだったのに」


「貴様ッ!」


「シュン、君は無力だ」


「ッ!黙れ…」


「お前は誰も救えない。エルもお前の嫁も…仲間もな」


「黙れッ!」


 シュンサクは反発する。己の弱さを知られ、腹立たしく思う。


「本当のことを言ってやっているだけさ。誰も守れない弱き者よ」


 そう言われた瞬間、シュンサクは壁に叩きつけられる。受身を取っていないので痛みが倍増する。その衝撃でお面にヒビが入る。

 体に痛みが走り血反吐を吐く。お面の下から血が吹き出しながらシュンサクは己の弱さを痛感する。


「お前の…言う通りさ…。私は無りょ…」


「無力じゃ無い!」


 声を張り上げる女の声に全員が驚く。


「エルッ!」


 体をゆっくり起こすエルピオンの姿にハルルカは手を貸す。


「師匠は無力じゃない!最強だ!」


「エル…」


「お前の師匠は無力だ!誰も護れていない」


「違う!師匠は私たちを護ってくれている!」


「じゃあ!誰を護れているのだ!お前だって守ってもらえていないじゃないか!」


「師匠は私が幼い頃!人身売買から助けてくれた!魍魎となっても人を護ろうとした!仲間を守ろうとした!私たちを檻から解放してくれた!師匠は弱くない!」


「人間風情が何を言っている!」


「師匠はまだ負けていない!お面がなんだ!師匠()をバカにするのもいい加減にしろ!」


「!!」


 シュンサクはエルピオンの言葉に涙が零れそうになる。今まで、人として見られていなかった魍魎(自分)が、エルピオンは人として見てくれている。それだけで生きる意味を与えてくれる。


「そうだよなエル…!私…いや俺はまだ負けていないのさ」


 シュンサクは体を起こす。そしてお面がずり落ちる。刀に手を置き、シュンサクは居合の体勢を取る。

 彼の周りには放電する雷が龍のように動き回る。


「さぁ、お前の最後だ!その首、俺が貰い受けよう!」

ここまで読んでくださりありがとうございます!

ついにシュンサクのお面が外れ、素顔が顕になりました!ついにこの章もクライマックスになってきました。実を言うとここまでしかプロットを作っていないのでもっと遅くなるかもしれないのでご了承ください!

ということなので次回もお楽しみに!

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