悪の王マヌス
幻覚の蔓のせいでシュンサクも幻覚を見ていた。それは自分の妻。彼女はシュンサクに駆け寄るが、彼はそれを切り刻み現実に戻る。
「マヌス…お前は許さない…!」
ゆっくり歩いているが殺気が止まらない。彼女は人によって殺されている。生きているはずがない。喜んでいても仕方がないこと。魍魎の心を弄びやがるやつのことが許せない。
「ー俺の心に…鬼よ宿れ!!ー」
シュンサクは道を抜ける。足元には蛇のように蠢く蔓が地面を擦る。その先には幻覚で動くことの無いエルピオン、ハルルカ、ネール、アーテルス、エルスの姿がある。シュンサクは無言でそれを見つめる。
「シュン、よく来たな」
エルピオンたちの上に居座るようにマヌスの姿。
「マヌス…」
「まさか俺の幻術にかからないとはね。驚いたよ」
「お前、この世界にいたんだな」
「もちろん!俺がいないとここの警備は誰がやるのさ」
不機嫌そうに笑顔で言うマヌス。しかしその笑顔が真顔になる。
「でも…お前がここに来たのはここを出るためだろ?絶対にさせないよ?」
マヌスは睨みつけるようにシュンサクを見る。シュンサクは怯みそうになるが背後からの気配に瞬時に反応して飛び跳ねて避ける。
「あらあら、避けられちゃった。逃がさないよ」
蔓はシュンサクにまとわりつく。
「捕まっちゃったね」
「まだだ!」
シュンサクは妖力を使い、蔓を千切る。そして刀を強く振り、衝撃波を繰り出す。
「どこ狙ってるのさ!」
マヌスはあっさりと避ける。しかし、シュンサクの目には悔しがる様子がない。
「狙い通りさ…エル!」
シュンサクは声を荒らげる。マヌスが振り向くと剣を振りかざすエルピオンの姿がある。
「ちっ!」
マヌスは舌打ちをしてエルピオンの斬撃を避ける。しかしその頬にかすり傷ができる。
「くそっ!掠っただけかよ!」
エルピオンは地面に降り立つとすぐさまに振り向き声を荒らげる。
「少し掠れればいい方だ。エル、マヌスを倒すぞ」
「もちろんだよ師匠!絶対に勝とう!」
二人はお互いの顔を見て頷き、マヌスに武器を構える。
「お前ら如きでこの俺に勝てるつもりか?笑わせる。まとめてかかってこい」
「そうさせてもらうぜ!マヌス!」
アーテルスの刃がマヌスの心臓に突き刺す。しかし効いている様子がない。
「魔王よ、こんなものでこの俺が倒せると思っているのですか?!」
マヌスは蔓を蹴り、アーテルスの顔を蹴る。そのままアーテルスは地面に転がる。
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