走馬灯
ライガルの攻撃を避けているとエルピオンは大きく空いた穴に足を滑らせてしまう。
「嘘!」
エルピオンは片手で地面を掴み転落を防ぐ。崩れそうな地面を掴んでいるが目の前にライガルが現れる。エルピオンを見つめる瞳は怨み、怨念の色を見せる。恐怖が体を走り、掴んでいる手が緩まってしまう。
気づいた時にはもう遅かった。エルピオンは真っ逆さまに落下していく。エルピオンはこのまま死ぬのでは無いのかと焦ってくる。しかし空中で体を抱えられる。目を開けると見知らぬ男。優しい瞳をしている。
彼は宙に浮いたままエルピオンに言う。
「このようなことで…巻き込んでしまい、申し訳ありません」
泣きそうな、消えてしまいそうな声にエルピオンは驚く。
◆❖◇◇❖◆
エルピオンが落下したのをエルスは見てしまった。それなのに助けに入れなかった。そんな情けない自分がなんだか許せない。エルピオンが落ちたのをほかのメンバーは知らないようだ。
「エルス、エルピオンどこに行った?」
「…。家の中に入ったのじゃないのか?」
咄嗟に嘘をついてしまった。そんな自分がなさせなく思う。
「魔女の毒!」
ハルルカは毒魔法を放ち、ライガルに攻撃する。しかし効いている様子が見られない。
「本当に何なんですか!魔法も攻撃も効かなすぎです!」
ライガルはハルルカを見ると光線玉を発動させる。ハルルカは走って避けるがつるの根に引っかかり転んでしまう。
顔を上げると目の前にライガルがハルルカを見つめている。
恐怖で動けなくなっている。
「ルカ!」
「ルカちゃん!」
二人はハルルカの元へ走る。しかし位置からして遠すぎる。ハルルカは走馬灯が見える。同期の魔女たちや学校の先生。家族などといった姿。ハルルカは涙が溢れる。
「エル…」
ハルルカは死を覚悟する。すると遠くで鳥の鳴き声。薄目で見ると炎の鳥、フェニックスがライガルに体当たりをする。
「「「フェニックス!!」」」
三人は声を荒らげて驚く。
「なんでここにフェニックスが?!」
「お前たち!大丈夫か?!」
フェニックスから飛び降りるのはシュンサク。
「シュンさん!」
「なんでフェニックスに乗って?」
フェニックスはライガルに攻撃を続けている。
「ケルピーを大人しくさせたらフェニックスが来てくれたんだ。エルたちが危ないってな」
「でもシュンさんのお陰で助かりました」
「それよりエルはどこだ?見当たらないが…」
「見失った。どこに行ったのかわからない」
エルスは目線をシュンサクから外す。言えるはずがない。エルピオンが大穴に落ちたなんて。
「まぁなんでもいい。とにかくライガルを倒すぞ」
ここまで読んで下さりありがとうございます!
エルピオンを助けたあの男、何者なのだろうか。ライガルが暴れだした真実を知るものなのだろうか?
次回もお楽しみに




