落雷
地面に降ろされたハルルカはアーテルスから少し距離をとる。
「馬から落ちた時庇ってくださり、ありがとうございます」
「感謝してるなら離れないでよ」
「離れますよ、突然抱き上げられるのですから」
「いや、庇ったとはいえ怪我でもしてたらダメだろ?特に足とか」
「それは大丈夫です。魔法で直せますから」
「そう言われてもね…」
「それよりさっきの雷、なんだか俺たちに向けてだったような気がするんだよね」
エルスは雷が落ちた場所に向かう。地面に触れると微かに能力を使った気配がする。
「もしかしてライガルが?」
「可能性はゼロじゃない。先を急ぐぞ、ライガルの神殿までそんなに遠くない」
エルスは歩き出す。その後をエルピオン達は続いていく。
◆❖◇◇❖◆
雷の音が激しくなるのを感じながら先を急いでいると、木のような形をした集落に到着する。
「エル、あれ!」
ハルルカが指さす先には黄金色の屋敷が見える。
「あれがライガルの神殿?なんか人が住んでいそうだね」
「あそこまで行こう」
エルスが先頭を歩いてくれるので安心していられる。そして橋を渡っていく。だが、一番最後のアーテルスが橋に入ると真後ろで落雷が起こる。
「何?!」
振り返ると、火の手が上がり、橋を燃やしていく。
「走れ!」
渡り追えると橋は崩壊する。
「私たちを殺しに来ているみたいだね」
「落ち着いて自分のところには来て欲しくないそうだな」
「落雷のことを気にしながら向かわないといけないな。嫌になるな」
アーテルスは頭を搔く。
「気をつけて進みましょう。できる限り私が防護魔法を発動していますので」
ハルルカは杖を構える。
「ルカ、あまり無理しないでね」
「もちろんよ」
ハルルカは頷いて言う。そしてエルピオン達は先を進む。
◆❖◇◇❖◆
上に向かうに連れて落雷も酷くなる。崖っぷちにある樹木が雷に当たり、燃えながら地面に墜落する。
「当たったらひとたまりもないな…」
恐怖する一行だが、止まっている暇がない。次第に辺りは暗くなるがそれを機にしている時間が無い。
「悪いが休む時間を取ってやれない。ネーニャちゃん、しんどくなったらテルもしくは俺に言ってくれ」
「もうしんどいって言ったらどうする…」
息を切らしているネールにエルスは彼女の前に行き、おんぶする体勢をとる。
「乗りな、先を進む」
ネールは申し訳なさそうにエルスの背中に身を預ける。エルスはネールを連れて先導する。
「先は長いぞ」
所々に岩の屋根の下で身を隠すことが出来たが少し休んでいると落雷が起こり、下敷きにされそうになる。
「あっぶな!」
「本当に休む時間が取れないな」
「本当です!」
ハルルカは頬を膨らませて怒る。
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