子兎亭
よろしくお願いいたします
広い草原を抜け、丘から見える風景にエルピオンは歓喜のあまり、言葉を失う。
「エル、ここが…アルグリート国の…城下…町…よ…」
ハルルカは息を切らしながら、エルピオンに伝える。
「城下町!!初めて来た!」
「早く行くわよ…」
ハルルカは錫杖を付きながら、丘を下りて行く。エルピオンは追いかける形で、ハルルカに続く。
◆❖◇◇❖◆
丘を降りている途中で、多くの人が並んでいる。
「何かあったのかな?」
エルピオンがそう言うと、ハルルカは前の人に話しかける。
「すみません。この列は一体何で並んでいるのですか?」
前に居る猟師のおじさんは不機嫌そうだが、答えてくれた。
「アルグリート国に入る為の検査だよ。明日国王様がパレー
ドをするからって、検査が厳しいらしいのさ」
面倒くさげに答えてくれた。
「そうなんですか。ありがとうございます」
ハルルカはそのおじさんの後ろに立つ。
「エル、少し長くなるかもしれないけど、待ってましょう」
ハルルカは大人っぽく言う。エルピオンは承諾し頷く。
◆❖◇◇❖◆
長いこと待たされ、やっと二人の番になった。
検査場所は、門前で行うようだ。
「待たせてすみません。おふたりはどのような要件でこの国
に?」
若そうな兵士が訊く。
「旅の疲れを取るためよ」
エルピオンが答える前に、ハルルカが答える。
「そうなると、二人は旅人かい?」
「そうよ」
「それじゃボディーチェックしてもいいかな?」
「いいわよ。ただし、女性の人にお願いするわ」
「それはもちろんだよ」
兵士は門の壁をノックする。そこから回転式の扉が開き、女性が出てくる。
兵士は「ボディーチェックを」と言い、二人を誘導する。
中に入ると、小屋のような小さな部屋になっている。この部屋には女性特有の匂いが立ち込めている。この場所には女性しか入っていないようだ。
「それではボディーチェックをしますので、武器や帽子はそ
ちらの机の上に置いてください」
「わかったわ」
ハルルカは錫杖を置き、魔法帽子を脱ぐ。中からは薄紅藤色の長い長髪の髪が垂れ下がる。エルピオンはギョッとする。
「何?」
「いや、ルカってそんなに髪長かったんだね」
「そういえば言ってなかったね。ごめんなさいね」
ルカは申し訳なさげに話す。見た目の割に、大人っぽく見える。何かあるのだろうかと、ハルルカを見る。
「あの、早く荷物を置いてください。時間がありません」
「ああ、済まない」
エルピオンは腰に着けていた剣を外し、机に置く。さらに腰のベント型のカバンを降ろす。
「それで全てですか?」
女兵士はイラつきながら訊く。
「いや、まだある」
エルピオンはタンクトップの上の服を上げて中から隠していた短剣がジャラジャラと音を立てて落としていく。
「こうしないと出てこないんだよね」
エルピオンはヘラヘラ笑いながら、床に落ちた短剣を拾う。
「すぐ拾うから、少し待っていてくれ」
エルピオンは女兵士に言う。それを見たハルルカは目を見開き、驚くようにそれを見る。
「ーあんなの、どこに隠しているの?!しかも刃が剥き出しの
状態で!ー」
◆❖◇◇❖◆
「それでは、ボディーチェックに入らせてもらいます。御二方とも、腕を上げてください」
エルピオンとハルルカは腕を上にあげ、体を触られる。
物が無いことを確認され、二人は城下町内に入ることが許さ
れた。
二人は人並みを外れ、辺りは静まり返る。
「こっちで合ってるのか?」
「もちろんよ。ほら、あった」
視界に映った小さな宿屋。赤いレンガでできた壁に、森のように生い茂った屋根。見た目は小さな小屋のよう。
「ここが『子兎亭』よ。魔道士の人達が利用する宿屋よ」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
ゴールデンウィーク皆さんは何をするんですか?私は小説を書きまくります。これしかやることが無いので。
今、どんどん溜まっていってしまって、もしかしたら出来たら更新していく可能性もあります。
良かったらまた読んでください。