別れた道
仕事に疲れたエルピオン達はベッドに入るとすぐに眠ってしまった。
次の朝、エルピオン達はモーデル達にお礼を言い、エルスが連れてきてくれた馬に乗ってヘンデルを後にする。
湖に到着したエルピオンは驚愕する。
「水が、ほとんど無い」
「あそこが氷漬けになっしまったためだろうな。魚も死んでいる」
「それより良かったんでしょうか?カシューくんのこと」
出発する時、カシューはエルピオンたちと共に行かないと言い出したのだ。
「一緒に行かないってどういうこと?!君の一族の場所に行くんだよ?」
「今の僕が行ってもシュンさんの邪魔をしてしまう。それならば万全な状態になってから向かった方がいいような気がするのです」
彼は申し訳なさそうに頭を下げる。
「その方がいいかもしれないな。あそこに魔族が居るのならお前がいたら守りながら闘わないといけない。そうなると私が不利になる。お前はもう少し休んでから一族の元へ戻りなさい」
「シュンさん、ありがとうございます!」
カシューはシュンサクにもう一度頭を下げる。
「頭を下げるのを辞めてくれ。一応君は一族の王子なのだから」
「それは失礼しました。では皆さん、ご武運をお祈りしております」
カシューと別れたのはその時。気を確かにしていられるのか分からないが、仕方がなく置いていくことにした。
「師匠、本当に馬いいの?全部連れて行っちゃうよ?」
「大丈夫だ。問題ない」
「そう?なら私たち行くね。先に行ってるよ!」
エルピオンはシュンサクに手を振り、馬を走らせる。彼らの姿が見えなくなり、完全に孤独状態。
「さて、私も行くとしよう…」
シュンサクはお面を浮かせ、鋭い牙を見せる。その姿は獣同然だ。
◆❖◇◇❖◆
馬を走らせ走るエルピオン達。アーテルスは背後から妙な気配を感じつつも馬を走らせて行く。
「テルさん、どうなさいました?」
「いや、なんでもない。先を急ぐぞ!」
馬を走らせてから雲行きが怪しくなる。
「なんか暗くなってきましたね」
「こりゃぁ、一振来るな」
「えっ!雷?!ネー雷嫌い!」
ネールが叫ぶと雲の中を雷が走る。ネールはびっくりして馬から落ちる。
「ネーニャ大丈夫?!」
「いたた〜ッ!!おしり痛い…」
「大丈夫か?」
エルスは馬から降りてネールの元へ行く。
「ありがと〜」
するとエルピオンたちのすぐ近くで雷が落ちる。その衝撃で馬たちは驚き、エルピオン達を突き落とす。
「いった!おい待て!」
突然の衝撃にエルピオンは男っぽい口調になる。馬はエルピオンの声なんて聞かず、走り去る。
「お前ら大丈夫か?」
アーテルスがハルルカをお姫様抱っこした状態でやってくる。ハルルカは少し気まずそうにしている。
「大丈夫だよ。それとハルルカを下ろしてあげてよ」
「おっと、失礼」
アーテルスはハルルカを地面に下ろす。
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