仕事
「全滅したって…本当ですか?」
「本当よ。彼が写真を撮ってきてくれたから」
サツキは全員に写真を見せる。それを見た全員は目を背く。写真には無残な死を遂げた人たちが映り込んでいた。
「これは酷いな…」
「誰がこんなことを…!」
「私の予想だけど…ライガルだと思うのよ」
「ライガルが?守り神が人を殺すのか?」
「本当に信じられないことよ。でも、彼らの体には焦げた跡があったの。あいつに間違いないわ」
「だからと言って、ライガルの仕業だとは言えないじゃないのか?」
エルスはゆったりと椅子に座る。
「どうしてそんなこと言えるの?」
「体が焦げてる。しかしそれがライガルの怒りを買ったことになるならそうなってもしょうがないだろ?」
「あなた、彼らが悪いって言いたいの…?」
サツキは怒りが籠った声色で言う。
「だからそれを俺たちが証明してきてやるよ。なぁエル」
「そうだね。証明してこよう!」
エルピオンはエルスを目を合わせる。
「出発は明日の朝!その間に休暇だ!」
「そうだな。モーデルさん、どこかに宿はありますか?」
「この辺だと宿代はかなり高いよ。だからここでゆっくりしていな」
「そのかわり、今晩は少しだけ働いてもらうよ」
ニタ〜ッと不気味な笑顔をするサツキにエルピオン達は顔を引きつる。
◆❖◇◇❖◆
「こっち赤ワイン、ボトルでね〜」
「はーい!」
エルピオンはサツキ言葉に反応する。彼女たちは泊めてもらう代わりに少しだけこのバーのお手伝いをすることになった。エルピオンとシュンサクは品出し。エルスとネールは客引きをするために外へ。ハルルカとカシューは皿洗いをするために厨房奥に移動している。アーテルスはと言うと。
「ちょっと待てよ!なんで俺だけ下処理係なんだよ!」
アーテルスは厨房内で叫ぶ。
「テルさん、少しうるさいです」
「悪かったな!」
アーテルスは手に持ったナイフでじゃがいもの皮を剥いていく。ナイフの扱いは比較的慣れている。そのせいなのかこの雑用のような仕事をさせられている。
「それが終わったら玉ねぎを切ってちょうだい」
「わかったよ…」
少し諦めたような口振りでモーデルに言う。渋々じゃがいもを剥いていくが目が疲れてくる。
表に戻り、エルピオンは赤ワインを取り出す。
「赤ワインおまたせ」
「ありがとう。お兄さん〜ワイン来たよ」
初め会った時と変わって色っぽいお姉さんのような態度を取る。
「わーいありがとう〜ねぇねぇそこのお姉ちゃん」
「私のこと言ってる?」
エルピオンは少し睨むような目線を向ける。
「そうだよ。君も一緒に飲もうよ」
「いや、私まだ未成年で…」
「いいじゃないかよ。サツキちゃんもいいよね?」
「ダメだよ。彼女は一時的に手伝いに来てくれている子だからお触り禁止。私みたいに接客の子じゃないから」
「いいじゃないか。少しぐらいバレないよ」
「ダメったら…」
サツキはしっかり阻止しようとする。しかし男は酔っ払っているのか言うことを聞かない。
絶対絶命のピンチ!そのタイミングでワイングラスが割れる音が響く。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
エルピオンのピンチにグラスを割ったのは誰なのか、しっかり読んでくれている人なら分かりますよね?
次回もお楽しみに!




